KPMGコンサルティングは、世界四大会計系プロフェッショナルファーム(BIG4)の一角であり、世界150ヵ国以上に拠点を持つKPMGグローバルネットワークの一員である総合コンサルティングファームです。
「社会に信頼を、変革に力を(Inspire Confidence. Empower Change)」をパーパスとして掲げ、クライアント企業が直面する複雑な経営課題の解決に取り組んでいます。
本記事では、KPMGコンサルティングの事業領域や強み、年収や働き方の実態、そして選考を突破するためのポイントを詳しく説明します。
KPMGコンサルティングとは?
KPMGコンサルティングは、世界四大ファーム「BIG4」の一角であるKPMGグローバルネットワークの日本におけるメンバーファームです。
KPMGコンサルティングの会社概要
設立年 |
2014年 |
所在地 |
〒100-0004
東京都千代田区大手町1丁目9番7号 大手町フィナンシャルシティ サウスタワー |
代表者 |
代表取締役 関 穣
代表取締役 田口 篤
代表取締役 知野 雅彦 |
資本金 |
1億円 |
従業員数 |
2,298名(2025年7月1日時点) |
沿革 |
2014年7月1日:KPMGマネジメントコンサルティング株式会社・KPMGビジネスアドバイザリー株式会社・あずさITアドバイザリー部門の合併により設立 |
出典:KPMGコンサルティング株式会社|会社概要
KPMGコンサルティングはグローバルに事業を展開しており、「業界の先見性」×「デジタル」×「データ」を掛け合わせた経営戦略の策定や、新たなビジネスモデル構築に取り組んでいます。
KPMGジャパンの位置づけ
KPMGジャパンは、日本で事業を展開する、監査・税務・アドバイザリーの3つの分野にわたる10の専門ファームの総称です。その中でKPMGコンサルティングは、グループの「アドバイザリー」領域の中核を担う会社として位置づけられています。
同社は各分野のプロフェッショナルと連携し、クライアントに適したサービスを提供しています。
組織体制
KPMGコンサルティングの組織は、主に以下の4つのユニットで構成されており、それぞれの専門性を活かしてクライアントの課題解決を支援しています。
ユニット |
役割 |
マネジメントコンサルティング |
戦略策定から業務改革、組織・人事改革まで、企業のビジネストランスフォーメーションを支援 |
リスクコンサルティング |
ガバナンス、リスク管理、コンプライアンス体制の構築・高度化を支援 |
ビジネスイノベーション |
テクノロジーを駆使した事業変革や新規事業創出を支援 |
セクター |
案件獲得やクライアントとのリレーションシップ構築など、プロジェクト全体をプロデュース |
KPMGコンサルティングの事業領域
KPMGコンサルティングは、攻めと守りの両面からクライアントに寄り添い、継続的な成長に貢献し続けるファームです。主要な3つのサービスラインがあり、それぞれが連携して複合的な課題解決にあたります。
ビジネストランスフォーメーション
ビジネストランスフォーメーション領域では、企業の事業構造や業務プロセスの変革を支援します。
具体的には、事業戦略やM&A戦略の策定、業務プロセスの改革(BPR)、サプライチェーンマネジメントの最適化、人事制度の設計や組織風土の改革など、企業の根幹に関わる変革を幅広く手がけているのが特徴です。
テクノロジートランスフォーメーション
テクノロジートランスフォーメーション領域では、最新のデジタル技術を活用して企業の競争力を高める支援をします。
例えば、企業のIT戦略やDX(デジタルトランスフォーメーション)構想の策定、クラウド導入支援、AIやデータ分析を活用した新たなビジネスモデルの創出、SAPを活用した業務改革・高度化支援などの事例があります。
リスク&コンプライアンス
リスク&コンプライアンス領域では、企業経営を取り巻く様々なリスクへの対応を支援しています。
企業のガバナンス体制の構築や内部統制・内部監査の高度化、サイバーセキュリティ対策、不正調査やコンプライアンス違反への対応、ESG戦略の策定といったサステナビリティ経営の推進など、守りの側面から企業の持続的な成長を支えています。
KPMGコンサルティングの強み
KPMGコンサルティングは、クライアント企業の課題解決に向けて総合的なコンサルティングサービスを提供しており、他社にはない独自の強みがあります。
強み①:一気通貫の支援力
KPMGコンサルティングの強みは、KPMGのグローバルネットワークを活かした一気通貫の支援力です。
KPMGは世界143の国と地域に約27万3,000名を擁するプロフェッショナルファームであり、その一員である同社は、監査や税務、法務など各分野の専門家と連携することで、業界や規模、フェーズにとらわれず、クライアントのあらゆる課題に対してワンストップでソリューションを提供しています。
特に、クロスボーダー案件やビッグディールにも柔軟に対応できる点は、他のコンサルティングファームにはない強みと言えるでしょう。
強み②:レガシーに縛られない意思決定
KPMGコンサルティングは設立から10年ほどの、比較的新しいコンサルティングファームです。後発の若い組織だからこそ、過去の慣習や硬直化したプロセスといったレガシーに縛られることなく、常に革新的な思考を保ちやすい環境が整っています。
また、同社は単なる売上や人員の拡張よりも「中身のある成長」を優先する方針を掲げており、少数精鋭の体制を維持しています。
ファーム名 |
従業員数(日本) |
PwCコンサルティング |
5,130名(2024年6月30日時点) |
デロイト トーマツ コンサルティング |
5,111名(2024年5月31日時点) |
EYストラテジー・アンド・コンサルティング |
4,075名(2025年3月1日時点) |
KPMGコンサルティング |
2,298名(2025年7月1日時点) |
出典:PwCコンサルティング合同会社|法人案内
出典:デロイト トーマツ コンサルティング合同会社|会社概要
出典:EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社|企業情報
同社では、自社の強みを最大限に活かせるテーマや、付加価値の高いプロジェクトを厳選し、リソースを集中させています。この選択と集中が、コンサルタント一人ひとりの価値発揮と、最終的な成果の質に直結していると言えるでしょう。
KPMGコンサルティングの年収・評価制度
転職希望者が特に関心を寄せるKPMGコンサルティングの報酬体系や、評価の仕組みについて説明します。
役職別の年収レンジ
KPMGコンサルティングの平均年収は約1,000万円です。また、役職ごとのおおよその年収レンジは以下の通りです。
役職 |
年収(目安) |
コンサルタント |
600万円〜800万円 |
シニアコンサルタント |
900万円〜1,100万円 |
マネージャー |
1,200万円〜1,500万円 |
シニアマネージャー |
1,600万円〜2,200万円 |
ディレクター |
2,000万円〜3,000万円 |
パートナー |
3,000万円〜 |
年収について詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
関連記事:KPMGコンサルティングの年収・役職別給与・賞与(ボーナス)などを徹底解説
評価制度と賞与(ボーナス)・昇給の仕組み
KPMGコンサルティングでは、半期ごとにプロジェクトでのパフォーマンス評価と、上司であるマネジャー以上からの評価をもとに総合的に評価されると言われています。
賞与は個人の評価によって変動しますが、年収に占める賞与の比率はそこまで高くないようです。昇給は基本的に実力主義であり、成果を出せば早い段階での昇進も期待できます。
KPMGコンサルティングは激務?働き方・福利厚生
高い専門性が求められるコンサルティング業務は、多忙なイメージが先行しがちです。KPMGコンサルティングにも「激務」は当てはまるのか、その実態とワークライフバランスを支える制度を解説します。
ワークライフバランスに関するリアルな評判
「プロジェクトや繁忙期によるが、全社的に残業を減らす意識は高い」という口コミが多く見られます。
口コミサイトによると、月間の平均残業時間は40時間程度とされており、BIG4の他ファームよりも比較的労働時間をコントロールしやすい環境にあると言えるでしょう。
ファーム名 |
月間残業時間 |
デロイト トーマツ コンサルティング |
52.7時間 |
EYストラテジー・アンド・コンサルティング |
45.3時間 |
PwCコンサルティング |
42.1時間 |
KPMGコンサルティング |
41.1時間 |
※OpenWorkの情報をもとに作成
「Well-being」を実現する各種制度
KPMGコンサルティングは、社員の「Well-being」を実現するための制度が充実しています。
同社では2019年から働き方改革の一環として「LEAPプロジェクト」をスタートしています。多様な働き方を推進するため、以下のような制度の拡充に取り組んできました。
カテゴリ |
主な制度・取り組み |
柔軟な働き方 |
- フレックスタイム勤務
- シェアオフィス
- ワーケーション
- 服装自由化
- 在宅勤務制度
- 短時間勤務制度
- 一時退勤(中抜け)制度
- Multi-Experience Program(兼業制度)
|
ワークライフバランス |
- JUMP Friday
- 有給取得推奨日
- 残業時間の削減
|
キャリア形成の支援 |
- キャリアサポート面談
- 社内異動制度
- 再入社制度
- サバティカル休暇
- オンボーディングサポート
- キャリア形成のためのワークショップ開催
- オープンリクルートメント(社内公募)
- 在宅勤務専門社員
- キャリアデザイン研修
|
ライフイベントのサポート |
- ライフプラン支援休暇
- 産前産後休暇
- 育児・介護休業
- 子の看病休暇
- ベビーシッター利用補助制度
- 保育園費用補助
- 病児保育サポート
- 保活コンシェルジュ
- ワーキングペアレンツネットワーク
|
出典:KPMGコンサルティング株式会社|柔軟な働き方~Well-beingに働く~
キャリアやライフステージの変化にも対応できる手厚い支援が特徴です。
KPMGコンサルティングのカルチャー・社風
KPMGコンサルティングには、「オーナーシップ」「リスペクト」「コラボレーション」という3つのバリューが浸透しています。口コミサイトでも「誠実さや倫理観を重んじる風土がある」「人柄が魅力的で温厚な人が多い」といった評判が多く見受けられました。監査法人をルーツにもつことから、プロフェッショナルとしての高い倫理観が求められる一方で、個人の意見を尊重する文化が根付いているようです。
また、多様なバックグラウンドをもつ人材の活躍を推進する「インクルージョン、ダイバーシティ&エクイティ」にも力を入れており、性別や国籍に関わらず、誰もが活躍できる環境づくりを進めています。
KPMGコンサルティングでのキャリアパス
KPMGコンサルティングは「人を大切にするNo.1ファーム」を掲げ、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成支援に力を入れています。
一般的なキャリアパスは以下の通りです。
【プロフェッショナル職】
役職 |
概要 |
ビジネスアナリスト・コンサルタント |
プロジェクト内の担当領域で、クライアント担当者とコミュニケーションを取りながら業務の遂行と品質管理を担う。 |
シニアコンサルタント |
プロジェクトの中心的役割として、全体方針を踏まえて作業アプローチを検討・遂行し、クライアントへ示唆を提供する。下位メンバーの指導・育成も担当する。 |
マネージャー・シニアマネージャー |
チームマネジメントやメンバーの指導・育成を行いながら、クライアントリレーションを含むプロジェクト全体の統括を現場のリーダーとして担う。 |
アソシエイトパートナー・パートナー |
各部門または専門チームの事業運営を統括する。ファーム経営や事業拡大にも責任を持ち、プロジェクトおよびアカウントマネジメントの最終責任を負う。 |
【エキスパート職】
役職 |
概要 |
ビジネスアナリスト・コンサルタント |
プロジェクト内の担当領域で、クライアント担当者とコミュニケーションを取りながら業務の遂行と品質管理を担う。 |
シニアコンサルタント |
プロジェクトの中心的役割として、全体方針を踏まえて作業アプローチを検討・遂行し、クライアントへ示唆を提供する。下位メンバーの指導・育成も担当する。 |
スペシャリスト・リードスペシャリスト |
自身の専門領域に特化して、顧客開拓やプロジェクトを推進する。専門領域内で深化すべきテーマを識別し、ビジネスの拡大に寄与する。 |
プリンシパル |
市場での競争優位を決定づける卓越した知見を基に、戦略的に重要な案件を創出・遂行する。会社のブランド力向上や中長期的な成長をけん引する。 |
ユニット(部門)間の異動希望を出せる「トランスファー制度」もあり、自身のキャリアプランに応じて柔軟に専門領域を変更することも可能です。
出典:KPMGコンサルティング株式会社|キャリアパス
KPMGコンサルティングの転職難易度は極めて高い
こちらでは、転職市場でも高い人気を誇るKPMGコンサルティングの選考を突破するために押さえておくべきポイントを解説します。
転職難易度は高い
KPMGコンサルティングは、コンサルティング業界の中でも転職難易度が高いファームです。
BIG4の一角という高いブランド力から、優秀な候補者が殺到し競争率が高くなる傾向があります。また、コンサルティング業務そのものが高度な論理的思考力や専門性を要することに加え、選考過程では思考力や問題解決能力を試す「ケース面接」が課されるケースも少なくありません。そのため、付け焼刃の対策で選考を通過するのは難しいでしょう。
ただし、同社は近年の事業拡大に伴い採用を強化しており、第二新卒や20代若手層のポテンシャルを重視した採用も積極的に行っています。未経験者であっても、高い学習意欲や成長可能性を示すことができれば、十分にチャンスがあるでしょう。
求められるスキル・経験
KPMGコンサルティングの選考では、スキル、経験、そしてマインドの3つの側面が総合的に評価されます。
コンサルタントとしての基礎能力である論理的思考力と円滑な人間関係を築くコミュニケーション能力は必要不可欠です。
また、特定の業界や業務領域に関する専門知識、プロジェクトマネジメントの経験、そしてグローバル案件に対応するための英語力があると評価されやすくなります。
選考プロセスの詳細と対策
選考は一般的に以下の流れで進みます。
- 書類選考
- Webテスト・適性検査
- 複数回の面接
- 最終面接
書類選考では、職務経歴書を通じてこれまでの実績を具体的にアピールすることが求められます。
Webテストは「玉手箱」が用いられることが多いため、事前に問題集などで対策をしておきましょう。
面接は通常の面接に加え、ケース面接が実施されます。「なぜKPMGなのか」といった質問を通じて志望動機や人柄が評価されるため、自身の経験をKPMGのカルチャーと結びつけて語れるようにしておきましょう。
一方、ケース面接では、与えられたビジネス課題に対して論理的な解決策を導き出す問題解決能力が試されるため、書籍などでフレームワークを学ぶだけでなく、模擬面接で思考を言語化する訓練を重ねることが有効です。
最終面接ではこれまでの評価を基に、入社意欲の高さやファームとの相性について最終的な確認が行われます。KPMGのカルチャーに対する理解の深さや入社意思を熱意を持って伝えましょう。
面接対策について詳しく知りたい方は、以下の記事もご確認ください。
関連記事:KPMG面接対策ガイド|転職難易度・選考プロセス・面接対策を網羅
KPMGコンサルティングへの転職は転職エージェントを活用しよう
KPMGコンサルティングのような大手有名ファームへの転職は、選考対策を始め、まさに「情報戦」であり、独力での対策には限界があります。ファームごとのカルチャーや選考で重視されるポイントなど、内部情報や過去の選考情報に精通した転職エージェントの活用が転職成功の鍵を握ります。
コンサルティング業界への転職支援で豊富な実績を誇る転職エージェントを活用することで、書類添削や面接対策において質の高いサポートが受けられます。
タイグロンパートナーズにはコンサルティング業界に精通した専門性の高いコンサルタントが多く在籍しています。ハイクラス・プロフェッショナル人材に対し、他社とは一線を画す転職・キャリア支援を行っておりますので、ぜひご相談ください。