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金融業界とは?業界動向や求められるスキル、転職成功のコツを解説

FinTech(フィンテック)市場の発展に伴い、転職者からの人気を一層集めているのが金融業界です。業界動向や求められるスキル、転職成功のコツなどを解説します。

金融業界とは?業界動向や求められるスキル、転職成功のコツを解説

金融×ITでサービスの革新的な進化を目指す「FinTech(フィンテック)」市場の発展に伴い、転職希望者から人気を集めている金融業界。 ここでは、金融業界の動向や求められるスキルのほか、転職成功のためのポイントなどについて総合的に解説します。  

お金の流れの一端を担い、経済を循環させる金融業界

始めに、金融業界の定義について確認しておきましょう。そもそも金融とは、あるところからないところへ、お金の融通をすることです。代表的なものに、銀行の預金や貸付といった業務があります。 しかし、金融業界に存在するのは銀行だけではありません。銀行以外にもさまざまな業種が存在し、それぞれの形でお金を扱っています。つまり、金融業界とは、社会におけるお金の流れの一端を担い、経済を循環させる企業が集まる業界だといえるでしょう。 金融業界への転職を希望する場合には、自分がチャレンジしたい領域を明らかにし、その業務内容や仕事内容、ビジネスモデル、求められる人物像、技術、知識について理解を深めておくことが大切です。  

金融業界の主要な業種

金融業界には、具体的にどのような業種があるのでしょうか。具体的な業種と業務内容について見ていきましょう。  

銀行

金融業の代表格ともいえるのが銀行です。銀行は、「人」「企業」「国・自治体」をめぐるお金の流れを管理し、その流れを整えることで経済活動にも貢献しています。 個人・企業などから預金という形で集めたお金を法人に貸し出し、元金と利子を返してもらうのが基本的な収益モデルです。  

証券会社

証券会社は、株式や有価証券、公社債などの発行・流通に関わる仕事です。具体的には、株式の売買を希望する人を仲介して手数料収入を得たり、みずから株式を売買して利益を得たりします。 「企業の株式を買い取って販売する」「株式を一時的に預かって買い手となる投資家を探す」といったことも、証券会社の仕事のひとつです。  

生命保険会社

生命保険は、加入者がお金を出し合って助け合う、相互扶助で成り立っているもの。事故やケガ、病気などで加入者の生命に危険が及んだときや、加入者が死亡した際には、共有財産から加入者または遺族に保険金を支払います。 生命保険会社は、こうした保険の仕組みが継続できるような体制を整え、保険金がきちんと支払われるよう管理するために存在しているのです。なお、保険会社の利益は、加入者から預かったお金を運用することによって生み出されています。  

損害保険会社

人にまつわる保険の仕組みを守る生命保険会社に対して、物に関わる保険を扱い、制度を守るのが損害保険会社です。 生命保険と同様の相互扶助で、加入者から保険料として受け取ったお金を管理し、「物を壊した」「対物事故を起こした」といった場合の損害額に応じて保険料を支払います。預かった保険料を運用して利益を得ている点も、生命保険会社と同じです。  

クレジットカード会社

クレジットカード会社には、カードの発行業務を担う会社、クレジットカード加盟店の開拓や管理を行う会社、クレジットカード会員の管理を行う会社があります。1つの会社が3つの領域をカバーすることもあれば、一部の業務を切り出して別会社に委託することもあります。 クレジットカード会社の利益は、会員がカードを利用した際の手数料です。例えば、手数料2%の場合、1万円の商品をクレジットカードで決済すると、クレジットカード会社が受け取る手数料は200円となり、これが利益になります。  

投資銀行

投資銀行は、一般的な銀行とは違い、法人や大口の個人に代わって金融取引を行います。有価証券の売買や企業の吸収・合併、企業の資金調達など、大規模な取引に関連する業務であることが特徴です。 アドバイスやサポートをした企業、個人から受け取った手数料が投資銀行の利益になります。  

ベンチャーキャピタル

投資家から集めた資金を、成長の見込みがある未上場のベンチャー企業に出資して株式を取得し、将来的にその企業が上場した際に値上がり益を獲得するのがベンチャーキャピタルです。一般的には、単に投資するだけでなく、ベンチャー企業が着実に成長するよう積極的に経営に関与し、企業価値の向上を図るサポートも同時に行う場合がほとんどです。 ただし、目をつけたベンチャー企業が必ず成長するとは限らないため、ハイリスク・ハイリターンの投資になることが多いでしょう。  

資産運用会社

資産運用会社は、投資のプロとして投資家の資産運用を代行するほか、投資信託(ファンド)を組成します。利益は、投資家から得る手数料です。「運用会社」や「アセットマネジメント会社」などと呼ばれることもあります。  

政府系金融機関

国の経済発展や、国の政策を推進するために必要なプロジェクトの支援、中小企業の活動支援、国民の安定した生活の実現などを目的として、国が出資する形で作られているのが政府系金融機関です。 日本政策金融公庫、国際協力銀行、日本政策投資銀行、商工組合中央金庫、沖縄振興開発金融公庫がこれに該当します。ビジネスモデルは、一般的な銀行と同じです。  

金融業界が中途採用を強化している背景とは?

以前の金融業界は、新卒のみに絞って採用し、育成する文化が強い業界でした。現在も盛んに新卒を採用していますが、近年は中途採用も積極的に行われるようになりました。同業界で豊富な経験を有するハイクラス人材を中心に、保険業界などでは業界未経験者の採用も行っています。 中途採用へシフトする企業が増加している背景には、どのようなことが挙げられるのでしょうか。ここでは、代表的な2つの理由についてご説明します。  

労働人口が減少している

金融業界に限ったことではありませんが、少子高齢化で労働人口が減少したことにより、業界内の人手不足が深刻化しています。特に若い人の人数が減っていることから、新卒採用だけに頼った人材確保は困難になりつつあります。  

業界からの人材流出が増加している

転職活動自体への心理的ハードルの低下により、かつては「入ることがステータス」であった金融業界からも転職する人が増えています。地方銀行の合併やキャッシュレス化に伴う現金所持率の低下などによって、業界の安定性に不安を感じる人が増えたことも、理由のひとつでしょう。 また、金融業界では、財務・会計から経営に関することまで、幅広い経験とノウハウが身につきます。そのため、これまでの金融業界の経験を活かすことができる業界が多いということも、金融業界で働く人が減少している原因のひとつです。 実際のところ、金融業界出身者は、メーカーやコンサルティングファーム、人材業界など多様な業界で活躍しています。 こうした動きの一方で、フィンテックやAI、仮想通貨といった新しい領域にチャレンジしている企業は、金融業界の新しい役割を作り出す革新性に魅力を感じる人が多く、新卒・中途を問わず高い人気を誇る就職先です。このような企業は、金融業界と聞いてよくイメージする「仕事がハード」「ワークライフバランスがとりにくい」といった風土とも無縁で、まったく新しい社風を築いています。そのため、従来型の厳しい風土の企業から、同じ業界内のスタートアップへと転職する人も少なくありません。 金融業界からの転職は、引き継ぎや後進の指導に時間がかかることを踏まえた活動が求められる場合が多いです。そのため、半年後くらいを転職成功の目途として、早くから転職活動を行うといいでしょう。    

金融業界に転職するメリット

金融業界に転職することで、どのようなメリットを得ることができるのでしょうか。ここでは、代表的な3つのメリットについてご説明します。  

年収が高い

金融業界の年収は、昔に比べて水準が低下しているといわれますが、それでも日本企業の平均年収である420万円に比べて高めです。特に、誰もが知る大手銀行や大手証券会社では、平均年収が1,000万円を超えることも少なくありません。  

福利厚生が充実

かつてはハードワークの代名詞でもあった金融業界ですが、近年はかなり働きやすくなったといわれています。ワークライフバランスに配慮した休暇制度、残業や休日出勤の削減、家賃補助などの福利厚生が充実している企業が業界内に多く存在しています。  

金融に関する専門性が身につく

金融業界で働くことにより、当然ながらお金にまつわる豊富な知識が身につきます。金融分野、財務分野の専門性を高めて強みにできることは、金融業界で働く大きなメリットのひとつです。 金融業界を長いキャリアにおけるステップのひとつと位置づけて働く人もいます。例えば、金融業界で得たノウハウを活かして、コンサルティングファーム、不動産業、IT企業、監査法人、企業のCFO(最高財務責任者)を目指すといったキャリアもそのひとつです。 金融や財務の領域でキャリアを確立したい人、他者との差別化になる強みを身につけたい人には、金融業界での経験は非常に有効だといえるでしょう。  

金融業界で求められるスキル・能力

金融業界では、どのようなスキルや能力が求められるのでしょうか。ここでは、金融業界で活躍するために、特に必要な5つのスキルと能力についてご説明します。  

コミュニケーションスキル

金融業界は顧客のお金を預かる仕事であるため、信頼を得ることが非常に重要です。職種にかかわらず、接する相手との心理的な距離を近づけることができるコミュニケーションスキルが問われます。  

学ぶ意欲

金融商品は種類が多く、関連する法律や知識も多いため、常に学び続けなくてはなりません。毎日、最新の情報をキャッチアップし、他社の製品についても興味を持って学べる姿勢が必要です。  

仕事の丁寧さ

顧客の大切な資金を預かる金融業界では、正確性を欠いては仕事になりません。些細なことにも気を配り、丁寧に仕事をまっとうする力が求められます。  

ストレス耐性

金融業界では、職種によってノルマが課せられる場合があり、プレッシャーに弱い人には向いていません。顧客の資産にまつわるセンシティブな話をしなければならない場面もあるため、忍耐強く要望に耳を傾けなくてはならないこともあります。そのため、ある程度のストレス耐性がある人でないと、この業界で長く活躍するのは難しいでしょう。  

財務・経理スキル

何らかの経理・財務知識がある人は、業界で働く上でも有利であるといえます。経理をしていた経験があったり、簿記や公認会計士の資格を持っていたりすると、それらの知識が仕事で役立つシーンがあるでしょう。  

金融業界への転職成功のコツ

金融業界への転職を成功させるには、どのようなことをすれば良いのでしょうか。続いては、転職成功のためのコツを3つ見ていきましょう。 応募する対象を広げる 新卒採用が減っているとはいえ、求職者にとって金融業界はまだまだ人気の業界です。1つの職種にたくさんの応募者が殺到することも珍しくありません。 大手にこだわるとなかなか決まらない可能性があるため、規模の小さな企業を選択肢に加えたり、比較的新しい企業に挑戦したりするのもひとつの手です。特に、業界未経験者の場合、ライバルに経験者がいれば当然不利になるため、応募の対象はできるだけ広げておきましょう。  

別業界への応募はタイミングを見極めて

金融業界では、実際に働く現場の責任者と採用担当者のあいだで求める人物像に乖離がないよう、それぞれが複数回面接を行うのが一般的です。そのため、合否の判定にも時間がかかり、選考が長引く傾向があるでしょう。並行して異業種の企業の選考も受ける場合は、先に内定が出る可能性があるため、タイミングを考えて応募することが大切です。万が一、異業種のほうから内定が出た際の優先順位や判断基準も決めておくことをおすすめします。  

面接時はスキルだけでなく人間性もしっかりアピール

現場と採用担当者が何度も面接を実施するのは、実務的な経験やスキルだけでなく、応募者の性質を見極めたいからです。金融業界では、定められたルールから逸脱すると金融庁から業務停止命令が出る可能性があるため、一人の行動が企業に多大なリスクを与えることになりかねません。そのため、「チームワークを重視する」「約束やルールを守る」「誠実である」といった人間性の部分を重視する企業が多いのです。 スキルやこれまでの実績に加えて、自分を律して働く力、協調性・協働性などもしっかりアピールしてください。  

金融業界の転職・採用ならタイグロン パートナーズへ

金融業界は、フィンテックやAI、仮想通貨といった新しい領域にチャレンジしている企業を中心に、求職者にとっていまだ根強い人気がある業界です。そのため、金融業界への転職を成功させるには、求められるスキルや転職成功のためのポイントなどについて事前に研究し、入念に準備しておくことが必要です。 タイグロン パートナーズでは、プロフェッショナル人材に特化したトップレベルの人材紹介サービスを行っています。 金融業界への転職を検討している方や優秀な人材を採用したい企業担当者の方は、高い専門性に定評があるタイグロン パートナーズへぜひお問い合わせください。  

この記事の監修

野尻 剛二郎

代表取締役社長


【担当職域】 ・アセットマネジメント ・グローバルマーケッツ ・法務コンプライアンス 【経歴】 タイグロン パートナーズの前身であるアカマイフィナンシャルマーケッツジャパンの代表として入社以前は、日興証券ロンドン支店、リーマン・ブラザーズ証券、モルガン・スタンレー証券にて内外の機関投資家向け日本株式営業および営業のヘッドポジションを担当。その後、外資系大手サーチファームであるラッセル・レイノルズ・アソシエイツの金融担当のシニアコンサルタントとしてエグゼクティブサーチのキャリアをスタートさせる。英語堪能。南カリフォルニア大学にてMBA取得。 【自己紹介】 証券や資産運用会社のサーチを得意としています。自分自身が20代から30代のあいだに、日系・外資系証券会社においてビジネスの最前線にいた経験から、顧客や候補者と同じ目線での採用や転職のアドバイスができることが私の強みです。 弊社の特徴のひとつに、業界や採用企業の内部に精通し、ポジションを深く理解している点があります。転職をお考えの方、優秀な人材を募集している企業担当者の方は、ぜひ一度弊社までお問い合わせください。    
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