M&Aは「Mergers and Acquisitions」の略で、会社の合併や他社の買収を意味します。
企業のM&Aには専門的な知識が必要でサポートする企業も多数存在します。
M&A業界の多くの企業では、どのような業務を行うのでしょうか。
また、転職するとなった場合、必要なスキルはあるのでしょうか。
今回はM&A業界への転職を検討している若手ビジネスマンに向けて、必要な業界知識やすべきことを紹介します。
<目次>
1.M&A業界の仕事内容・年収相場
2.M&A業界への主な転職先
3.未経験者もM&A業界への転職はできる?
4.M&A業界への転職を成功させるポイント
5.M&A業界への転職を目指すなら明確な展望が大切
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1.M&A業界の仕事内容・年収相場
M&A(合併・買収)業界では、企業の成長戦略の一環として他社の合併や買収を仲介し、交渉から契約締結までをサポートします。
この分野では、分析能力や交渉スキルが求められますが、その分報酬も高水準です。
なお、年収相場は経験や実績によって大きく変動します。
①M&Aアドバイザリー(FA)
アドバイザリーの仕事内容として、クライアント企業のM&Aに関する手続きを総合的に支援し、クライアント企業の利益の最大化を図ることが挙げられます。
例えば、「ソーシング」と呼ばれる顧客開拓や売却・買収方針の決定、アドバイザリー契約締結といった業務、「エグゼキューション」と呼ばれる基本合意やデューデリジェンス、最終契約書の締結サポート、クロージングといった業務が挙げられます。
年収相場は所属企業や部門、役職などにより異なりますが、平均的な業種よりも高い場合が多く、日系企業であれば、800万~3,000万円ほどの給与水準となります。
②M&Aコンサルタント
M&Aコンサルタントもアドバイザリーと同様に、企業のM&Aの相談に乗り、実行を支援する職業です。
M&Aアドバイザリーと仕事内容が共通していますが、実際のM&Aアドバイザーを務めるのはFAであり、M&Aコンサルタントは、これからM&Aを検討している企業や、M&Aを行った企業へのPost M&Aコンサルティングを提供しています。
アドバイザリーがサービスや職種を表し、コンサルタントが人自体を指すという分類をすることもあれば、前者は主に金融業界で使用されるのに対し、後者は主にコンサルティング企業で使われるという違いもあります。
③M&A仲介
M&A仲介は買い手となる企業と売り手となる企業の取引を成立させることを目的としたサービスです。買い手企業・売り手企業双方と契約するため、どちらか一方と契約するアドバイザリーやコンサルタントとはサービス内容が異なります。
平均年収は上場企業であれば、1,000万〜3,500万円にのぼるといわれます。
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2.M&A業界への主な転職先
M&A業界への転職先は多岐にわたり、投資銀行や仲介会社などが挙げられます。それぞれの職場では、業務の進め方や必要なスキルが異なる場合もあり確認が必要です。
以下で転職先ごとの特徴や求められるスキルについてご紹介します。
①M&A仲介会社
中堅企業・中小企業を中心に、M&Aの仲介事業を行う会社のことです。
譲渡企業(売り手)と譲受企業(買い手)の間に立って、中立的な立場で仲介・アドバイスを行います。
主に、契約企業から着手金や中間報酬、月額報酬、成功報酬などを得る形で、売上を伸ばします。
M&A仲介会社に転職活動をする際、アピールすると良いスキルの例として、銀行・証券会社・商社・保険・不動産などでの
法人営業経験が挙げられます。
また、企業オーナーとの折衝経験や財務会計スキルなどもプラスで評価されやすいでしょう。
②FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)
FASに転職する場合はBig4系と独立系の2つの選択肢があります。Big4系のFASとして、以下の4社が挙げられます。
KPMG FAS
EYストラテジー・アンド・コンサルティング
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー
PwCアドバイザリー
これらは高いコンサルティング能力と実績を持っており、大手企業のM&Aや組織再編に携わることが可能です。そのため転職の際には、デューデリジェンスや複雑な財務モデリングなどで、大手企業の幹部に引けを取らない会計・財務知識が求められます。
一方で、独立系とはBig4系に属していない国内のFASを指します。小〜中規模の案件に強みを持っており、直接経営者とやり取りできる場面が多いのも魅力といえるでしょう。そのため、コミュニケーション能力や人柄といった人間力で評価されることも多くあります。
③投資銀行
投資銀行は、M&A取引においてアドバイザリー業務の中心的な役割を果たします。FASとは異なり、ワンストップのサービス提供はしない反面、IPOや新株発行といった資金調達業務も担います。そのため、投資銀行の職員になると、市場分析や財務モデリング、交渉まで多岐にわたる業務を担当することになります。
あわせて、ビジネスレベルの英語力や資料作成能力といったスキルも求められます。
3.未経験者もM&A業界への転職はできる?
人によってはM&Aやコンサルティング未経験の方で転職したい場合もあります。転職自体は可能ですが難易度は高い点に注意が必要です。具体的には、書類選考から内定までにいたる確率は数%といわれているほどです。
ただし、近年は経営者の高齢化・後継者不足や企業のグローバル化が背景にあり、M&Aの需要が増加しています。市場自体が伸びており、未経験者採用も活発化しているためチャンスがないわけではありません。
外資系や一部の企業は経験者のみとなっている場合があり、M&A業界の職種によっても異なるため調査が必要です。特に、M&A仲介は未経験者でも採用されやすい傾向にあるといわれます。また、一般論として一定の業務経験があると転職が有利に働きます。例えば、金融機関での法人営業や戦略コンサル、事業承継、FAS・投資ファンド・商社・監査法人・会計事務所・税理士法人などでの実務経験が必要です。
このように未経験からM&A業界への転職は難易度が高いのですが、不可能ではありません。基本的なビジネススキルと財務知識があれば、M&A仲介を中心に採用のチャンスがあります。
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4.M&A業界への転職を成功させるポイント
M&A業界への転職を成功させるには、業界の最新動向を追い続けることや、関連する法律や財務分析の勉強をしておくことが不可欠です。そのほか、どのような資格や業務経験が必要でしょうか。転職活動時のポイントも含めてご紹介します。
①M&Aに関わる資格を取得する
まずは資格の取得が挙げられます。M&Aに直接関係する国家資格はありませんが、多くの民間資格がありアピールポイントとなりやすいためです。
例えば、日商簿記(2級以上)やM&Aエキスパート認定資格、M&Aスペシャリスト、JMAA認定M&Aアドバイザー(CMA)、事業承継士が挙げられます。そのほか、間接的に関連する国家資格もあると有利といえるため、中小企業診断士や税理士、公認会計士の取得も目指すことをおすすめします。
②転職先・職種に応じてアピールしやすいスキルを身につける
M&A業界への転職では、財務分析や戦略立案、交渉技術など、職種に応じた特定のスキルが必要です。例えば、FASでは財務分析の専門知識が、投資銀行では市場分析や交渉技術が重要視される傾向にあります。
転職活動時には自身が目指す職種を明確にし、その領域で求められるスキルや知識を身につけておきましょう。また、具体的な成果や経験を通じてアピールすることで、転職先の企業に自分の価値を伝えることも可能です。
③しっかりとした書類選考・面接対策を行う
履歴書や職務経歴書の準備だけでなく、面接での自己PRや業界知識のアピールも必要です。書類選考では、自分の経験やスキルが業界でどう活かせるかを記述し、面接では業界のトレンドや自身が取り組みたいプロジェクトに関する知識を伝えましょう。
また、転職をする理由は明確に伝えると同時に、入社後の目標やキャリアアップの展望をアピールすることで人間性も把握してもらいやすくなります。
④転職エージェントを利用する
M&A業界に精通した専門の転職エージェントであれば、業界の動向や求人情報に詳しく、自分に合った職種や企業を紹介してくれます。エージェントサービスに登録することで、履歴書の添削や面接対策など、
転職プロセス全般にわたってサポートを受けられるため、転職活動の成功率を高めることが可能です。
5.M&A業界への転職を目指すなら明確な展望が大切
M&A業界の職種や企業、転職活動時のポイントについて解説しました。
近年は未経験であってもM&A仲介などで採用のチャンスがありますが、職種や企業によって求められるスキルも異なります。そのため、M&A業界への転職を決意された方は、まずどの職種に就きたいのか、どのようなスキルを獲得したいのか、目標や将来の展望を明確化することが重要です。
必要なスキルが不足している場合は、積極的に資格の取得などでカバーし、専門の転職エージェントを利用することで、採用に至る確率を高めましょう。
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