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監査法人に転職するには?平均年収と業界で働くメリット・デメリット

  監査法人といえば、難関国家資格者である公認会計士が働く企業というイメージが強いのではないでしょうか。もちろん、公認会計士がいなくてはならない会社ではあるものの、未経験でも入社できる可能性もあります。そこで今回は、監査法人の基礎知識や監査法人が求める人材、さらに年収、転職のポイントなどについて解説します。「監査法人の仕事に興味がある」という人はぜひチェックしてみてください。   <目次> 1.転職前に知っておきたい監査法人の基礎知識 2.転職前に知っておきたい監査法人の平均年収 3.監査法人に転職するメリット・デメリット 4.監査法人に転職する方法 5.監査法人への転職でよくある質問 6.監査法人の転職はエージェントの活用がおすすめ  

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1.転職前に知っておきたい監査法人の基礎知識

転職するのであれば知っておくべき監査法人の概要について解説します。  

監査法人とは?

監査法人は、企業が作成した財務諸表を確認して意見を表明する「会計監査」を組織的に行うことを目的とした法人です。公認会計士法に基づき、最低5人以上の公認会計士が集まることで設立できます。  

監査法人の仕事内容

監査法人の主要な業務は「監査業務」と「非監査業務」に大別できます。監査業務は、前述した会計監査に関わる業務のことであり、企業が作成した財務諸表の内容が適性かどうかを公認会計士がチェックし、誤りがあれば訂正を促し、粉飾決算などがなければそれを企業の株主や債権者に証明するのが主な目的となります。投資家や金融機関にとって財務諸表は投資や融資の重要な判断材料であり、その信頼性を担保する監査法人および公認会計士の役割は非常に大きいといえるでしょう。監査を受ける企業にとっても財務諸表について「適性」と意見をもらえることは、資金調達の円滑化にもつながります。 基本的に監査法人による会計監査を受けなければならないのは、法律で定められた一定規模以上(資本金5億円以上もしくは200億円以上の負債を抱える株式会社)の企業になります。そのため、監査業務を遂行するためには多大な労力が必要であり、公認会計士のチームである監査法人が組織的に行わなければなりません。このような背景から監査法人の業務の大半は監査業務なのが一般的です。 非監査業務は、会計監査に関連するコンサルティング業務が代表的です。特に資金に焦点としてクライアントの成長、発展、課題解決を支援する「財務コンサルティング」を手掛ける監査法人が多いのが特徴といえるでしょう。財務コンサルティングは経営・投資戦略や事業再生、資金調達支援、M&Aアドバイザリーなどにさらに細分化できます。また、リスク管理、コーポレートガバナンスといった内部統制に関わるコンサルティングを行う監査法人もあります。  

監査法人の業界構造

監査法人の業界は「法人の規模」によって、「大手監査法事(BIG4)」、「準大手監査法人(中堅監査法人)」、「小規模監査法人」の3つに分類されるのが一般的です。大手監査法人は、有限責任監査法人トーマツ、EY新日本有限責任監査法人、PwC Japan有限責任監査法人、有限責任あずさ監査法人の国内トップクラスの監査法人であり、国内にあるほとんどの上場企業や大手企業の監査業務を手掛けています。 次点の準大手監査法人(中堅監査法人)は仰星監査法人、三優監査法人などが該当します。クライアントの規模はBIG4と比べるとやや小さくなり、所属する公認会計士の数も少なくなります。そして小規模監査法人は組織やクライアントの規模は小さいものの、業界に特化したり、アグレッシブなコンサルティング業務を提供したりするなど、特色を出したサービスを提供している監査法人も少なくありません。準大手監査法人と小規模監査法人を合わせて「中小監査法人」と呼称することもあります。 年収・給料やクライアントの規模であれば、上層になるほど大きくなりますが、監査業務そのものは基本的にどの監査法人であっても同じです。また、小規模な監査法人であっても効率的な業務プロセス、組織体制を構築することで良好なワークライフバランスを実現しているケースもあります。転職を検討する際は、監査法人の業界構造に捉われるのではなくよりフラットな目線でそれぞれの監査法人の特色を見極める必要があるでしょう。      

2.転職前に知っておきたい監査法人の平均年収

前述の通り、監査法人の平均年収は監査法人の規模・階層によって異なります。また、年収を調べる際は「役職」ごとのサンプルも確認することをおすすめします。大手監査法人と中小監査法人の大まかな平均年収を以下でチェックしてみてください。  

【役職別】大手監査法人(BIG4監査法人)の平均年収

監査法人の役職はスタッフ、シニアスタッフ、マネージャー、パートナーの順でキャリアアップするのが一般的です。もちろん、企業によって詳細が異なる可能性もあるので、転職先を探す際はそれぞれの違いも意識してチェックしてみましょう。大手監査法人の役職別平均年収は以下の通りです。 入社後、まずは一般社員の扱いである「スタッフ」として3~5年働くのが一般的です。基本的に上長であるシニアスタッフ、マネージャーからの指示で監査業務に従事します。シニアスタッフになると、より難しく幅広い業務を任されるようになるのに伴い、年収は100万円ほど相場が上がります。マネージャーは一般企業でいう課長・部長級に該当する管理職です。大手監査法人であれば、1000万円超の年収を得られる可能性もあるでしょう。最後のパートナーは共同経営者を意味する監査法人における最高クラスの役職です。一般企業で例えるなら取締役などの役員であり、その役割も法人経営に関わるものが中心になり、業績に対する責任も大きくなります。その代わり、業界トップクラスの企業のパートナーとなれば、特に大きな年収を得られる期待は高まるでしょう。  

【役職別】中小監査法人の平均年収

監査業務については監査法人の規模で大きく変わることはありません。ただし、財務諸表の内容や業務の進め方などは異なる点も少なくないでしょう。年収面においては中小監査法人は大手監査法人と比べるとスタッフは約150万円、シニアスタッフは150万円、マネージャーは200万円、パートナーも200万円ほど差異があります。一方、大手監査法人と比べると昇進しやすい環境である可能性も期待できるので、将来的なキャリアや年収を考慮すると一長一短であるともいえるでしょう。  

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3.監査法人に転職するメリット・デメリット

監査法人への転職を検討する際に理解しておかなければならないのが、基本的に「公認会計士が優先的に採用される」ということです。次いで公認会計士試験合格者、USCPAの科目合格などが優先されやすいでしょう。そのため、監査法人に転職を希望するのであれば自身のキャリアや所有資格に適した募集要項なのかを見極め、その職種で監査法人で働くメリットとデメリットを明らかにしたうえで、選考に臨む必要があります。  

メリット

①資格を持っている場合、公認会計士としての経験を積める

公認会計士になるためには、公認会計士試験に合格した後、監査法人に就職して「修行」した後に公認会計士登録を行うのが一般的です。すでに公認会計士として登録している人であれば、異なる規模、クライアントを持つ監査法人に転職することでより多くの経験が得られるというメリットがあるでしょう。また、監査業務だけでなく財務コンサルティングや内部統制などの非監査業務に強みを持つ監査法人に転職できれば、より幅広いスキルや経験を得られるでしょう。  

②前職の知識を活かしやすい

基本的な監査業務の内容は監査法人によって大きな差異はありません。そのため、転職後をスキルや経験を「横ぐし」で活かしつつ、新たなクライアントや業界、業務に挑戦できるのは大きなメリットといえるでしょう。未経験かつ公認会計士の資格を問われない業務であれば、多様な業界に財務を主体とした提案を経験できるというメリットが考えられます。  

③高年収を得やすい

慢性的な会計士不足に陥っている監査法人が増えている昨今、公認会計士の有資格者であれば、実績と経験を重ねて転職すればより良い待遇で働けるチャンスがあるでしょう。一方、未経験・無資格者の場合、転職できる職種の代表格である事務職や監査アシスタントでは高い年収を得るのは困難です。比較的、年収アップが見込めるアドバイザリー・コンサルティング業務で資格不問の求人を探すなどの工夫が求められるでしょう。  

デメリット

①昇進が容易ではない

国家資格最難関とされる公認会計士が集まる監査法人において、パートナーはもちろん、マネージャーやシニアスタッフなどの昇進は簡単ではないことは容易に想像できます。特に監査法人の規模が大きくなるほど、その傾向は顕著になるので、公認会計士してのキャリアアップは1つの監査法人にこだわるのではなく、ポストが空いている監査法人に転職するなど、より俯瞰的な視野で考えることが大切といえるでしょう。  

②資格を持っていても、公認会計士としてチームで目立ちにくい

監査法人は同じ資格を有している人たちで構成されたチームで監査業務を行うため、対外的には個人が目立つ機会は多くありません。一方、会計士が少ない監査法人や一般企業であれば公認会計士としての個人の評価のされ方が変わる可能性も十分に考えられるでしょう。    

4.監査法人に転職する方法

監査法人に転職する3つの方法を紹介します。  

監査法人の定期採用を受ける

監査法人の定期採用は、公認会計士の試験の合格発表後に行われ定期採用の合格者はまとめて入社し、一緒に研修を受ける流れになります。公認会計士の合格後から2週間程度で採用が決まるのが特徴です。中途採用についてはBIG4クラスでも都度の自社採用も行っているので、敢えて定期採用を意識する必要性は低いでしょう。  

監査法人の知人紹介(リファラル採用)を受ける

監査法人の知人紹介(リファラル採用)を受けることで、人事部と直接コンタクトを取って採用されるケースもあります。ただし、紹介してくれる知人がいなければ、監査法人とつながることができないほか、必ずしも採用されるわけではありません。  

転職サイトや転職エージェントを利用する

監査法人の中途採用は、転職サイトに掲載されているケースが多いです。中小監査法人も転職先の候補に入っている場合は、複数の監査法人を比較検討しやすいのがメリットといえるでしょう。特に転職エージェントではアドバイザーが付いてくれるので、相談をしたりアドバイスを受けたりできるのは、現職と並行して転職を検討する人にとっては非常に大きな魅力といえるでしょう。さらにあらかじめ登録したキャリアシートや希望条件にマッチする求人を紹介してくれる転職エージェントサービスも魅力的です。  

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5.監査法人への転職でよくある質問

監査法人に転職を検討する際、よくある3つの質問について回答します。  

①公認会計士の資格がなくても監査法人に転職できる?

前述の通り、監査法人への転職は公認会計士やそれに準ずる資格の有資格者は優先的に採用される傾向があります。一方、BIG4においても所属する公認会計士(合格者含む)は50~70%前後であるため、特定の職種については無資格であっても転職できるチャンスはあると考えられます。 具体的には監査アシスタントや事務職のほか、アドバイザリー業務を行う「アドバイザリー専門職員」などが挙げられます。いずれも職種に適した実務経験がある人はより採用されやすくなるでしょう。ただし、アドバイザリー業務においても公認会計士が主体となる監査法人もあるため、転職先を探す際は業務内容やその担当レベルまでしっかりと確認することをおすすめします。  

②業界未経験者であっても採用される?

財務コンサルティングに関わるアドバイザリー業務の一部職種であれば、会計業界が未経験であっても採用される可能性はあるでしょう。特に金融機関出身だったり、金融コンサルタントなどの経験があれば重宝されるかもしれません。また、転職した監査法人の専門分野がキャリアと近しい場合もアピールしやすくなるでしょう。  

③40代以降でも採用される?

40代以降はポテンシャル採用が難しくなるので、20代、30代と比べると採用されるのは難しくなる傾向があります。特に無資格、未経験での転職となると監査法人への転職はさらに困難になると予想できます。一方、公認会計士は会計の専門家として「何歳でも働ける」と称されるほどの資格です。マネジメント経験や実務経験などを積み重ね、専門家分野を確立していれば採用される可能性も決して低くはないでしょう。  

6.監査法人の転職はエージェントの活用がおすすめ

監査法人への転職は公認会計士やそれに準ずる資格の有無によって、大きくやり方が異なります。有資格者、無資格者、異業種からの転職などケースバイケースであるといえるものの、自分のキャリアや転職する理由、条件などを棚卸してしっかりとマッチした監査法人を探さなければならないのは同じです。転職活動の「質」を上げるのであれば、転職エージェントの活用して自分以外の力を借りるのことは必要不可欠といえるでしょう。タイグロンパートナーズは監査法人への転職相談を積極的に行っているので、転職を検討している方はぜひお問い合わせください。  

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この記事の監修

山崎祥人

Yamasaki Yoshihito


【担当領域】 ・コンサルティングファーム ・ポストコンサル 【経歴】 早稲田大学卒業後、アビームコンサルティング株式会社にジョインしITコンサルタント・業務プロセスコンサルタントとして就業した後、大手日系・外資人材企業に属しタイグロン・パートナーズに参画する。 コンサルティングファーム・ポストコンサルを中心とした支援を行い、ジェネラルなポストの他、Withコロナにおけるイノベーション、X-Techを用いたDigital Transformation、SDGs支援等のポスト担当経験有。 【自己紹介】 コンサルティングファーム並びに同業界向けヘッドハンティング経験を活かし、網羅的に人材コンサルティング業務を遂行しております。 また、昨今はData Analytics分野・サイバーセキュリティ分野やそれを活用とした経営戦略コンサルタントポジション、新規事業創出ポジションなどを担当し、来たる2040年に向けた最適解を描けるよう支援させていただいております。 弊業界は機械的に人と企業のマッチングを行う者も多くおりますが、 私は皆様の中長期的に成し得たいことをヒアリングした上で、その達成に必要となるであろう経験とキャリアを身に着けられるよう支援いたします。
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