コンサルティング業界を志望する方にとって、KPMGコンサルティングは魅力的な選択肢の一つです。BIG4の一角であるKPMGコンサルティングでは、高い専門性を追求でき、安定したキャリアパスを築ける点が魅力であると同時に、多くのプロフェッショナル人材に対して門戸が開かれています。本記事では、同社の年収情報の他に、業務内容や転職難易度、選考プロセスなどを詳しく解説しています。
KPMGコンサルティングの概要
企業概要
KPMGインターナショナルの日本におけるメンバーファームは、総称して「KPMGジャパン」と呼ばれています。KPMGジャパンは、監査、税務、アドバイザリーの主要3分野において、それぞれ専門性の高いサービスを提供する約10のファームから構成されています。このうち、アドバイザリーサービスの中核としてコンサルティング業務を専門に手掛けているのが、KPMGコンサルティングです。
企業名 |
KPMGコンサルティング株式会社 |
英語名 |
KPMG Consulting Co., Ltd. |
設立年月 |
2014年7月 |
資本金 |
1億円 |
代表者名 |
代表取締役 関 穣
代表取締役 田口 篤
代表取締役 知野 雅彦 |
従業員数 |
2,116名(2025年1月6日現在) |
所在地 |
東京本社
千代田区大手町1丁目9番7号 大手町フィナンシャルシティ サウスタワー
大阪事務所
大阪市中央区北浜3丁目5番29号 日本生命淀屋橋ビル 25階
名古屋事務所
名古屋市中村区名駅3丁目28番12号 大名古屋ビルヂング26階
福岡事務所
福岡市中央区天神1丁目12番14号 紙与渡辺ビル8階 |
設立経緯 |
2014年7月1日
「KPMGマネジメントコンサルティング株式会社」「KPMGビジネスアドバイザリー株式会社」「あずさITアドバイザリー部門」の合併により設立。 |
出典:KPMGコンサルティング株式会社|会社概要
強み・特徴
KPMGコンサルティングは、クライアントのニーズに寄り添い、戦略から実行まで総合的にサポートするコンサルティングファームです。世界各国のKPMGコンサルティングと連携して、グローバルな視点で課題解決までサポートします。
クライアントに対して柔軟な対応が可能であることから、日本国内のコンサルティングファームとして高い評価を得ています。
主な事業内容
マネジメントコンサルティング
マネジメントコンサルティング部門は、戦略立案からオペレーション改革、ITシステム導入、そしてDX推進に至るまで、企業の経営課題に対し上流から下流まで一貫した総合的ソリューションを提供しています。具体的には、営業、サプライチェーン、財務・会計、人事、ITといったクライアントの各機能部門(ファンクション)が抱える特有の課題解決に注力しています。
リスクコンサルティング
リスクコンサルティング部門は、リスクマネジメント、コンプライアンス遵守、内部統制・内部監査体制の強化、情報セキュリティ対策、人事関連リスク管理など、企業活動の基盤となるリスク対応を支援しています。
ビジネスイノベーション
ビジネスイノベーション部門は、AI、IoT、ブロックチェーンといった最先端テクノロジーを活用し、新しいビジネスモデルの創出など、新たな価値創造に挑戦する部門です。 従来のコンサルティングの枠組みを超え、クライアントと共同で新規事業やサービスを開発し、市場に対して直接的に価値を提供していく新しいコンサルティングモデルの確立を目指しています。
セクター部門
セクター部門は、プロジェクトの初期段階である案件獲得から、クライアントとの長期的な関係構築、そしてコンサルティングサービスの実行(デリバリー)における品質担保まで、プロジェクト全体をプロデュースする役割を担います。具体的には、「金融」「公共・インフラストラクチャー・エネルギー」「製造・自動車・医療」「サービス・情報通信・商社」といった主要な4つのインダストリー(業界)別に専門チームが構成されています。
KPMGグループ全体の業績
KPMGコンサルティングが所属するKPMGグループは、2024会計年度(2023年10月〜2024年9月)において、世界総収益384億米ドル(前年度比5.1%増)を達成し、堅調な成長を記録しました。この成長は、テクノロジー、人材、ESG(環境・社会・ガバナンス)への戦略的かつ継続的な投資が実を結んだものです。KPMGコンサルティングが属するアドバイザリー部門も、デジタル変革サービスへの需要などを背景に2%の成長を達成しています。
KPMGグループは、AI技術(「KPMG Trusted AIフレームワーク」など)の活用推進、多様な人材の育成(IDE:インクルージョン・ダイバーシティ・エクイティの促進)、ESG関連サービスの強化といった分野へ大規模な投資を継続しており、グローバルな取り組みと成長が、KPMGコンサルティングを含む全世界のメンバーファームのサービス品質向上につながっています。
出典:KPMG|プレスリリース
KPMGコンサルティングの年収
KPMGコンサルティングの平均年収は、約1,000万円程度とされています。ただし、経験年数や役職、パフォーマンス評価によって大きく変動します。キャリアを重ね、シニアコンサルタントやマネージャーといった上位職へ昇進することで、1,000万円以上の年収が期待できます。
新卒の年収
KPMGコンサルティングにおける新卒の年収は、以下の通りです。
学歴 |
年収 |
学卒 |
570万円 |
院卒(修士・博士) |
590万円 |
出典:KPMGコンサルティング株式会社|募集要項
役職別の年収レンジ
役職 |
年収(目安) |
コンサルタント |
600万円〜800万円 |
シニアコンサルタント |
900万円〜1,100万円 |
マネージャー |
1,200万円〜1,500万円 |
シニアマネージャー |
1,600万円〜2,200万円 |
ディレクター |
2,000万円〜3,000万円 |
パートナー |
3,000万円〜 |
競合他社との比較
KPMGコンサルティングは世界4大コンサルティングファーム(BIG4)の一角を担うグローバルファームです。同じくBIG4の「PWCコンサルティング合同会社」「デロイトトーマツコンサルティング合同会社」「EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社」との平均年収の比較は以下です。
会社名 |
平均年収(目安) |
KPMGコンサルティング株式会社 |
1,000万円 |
PwCコンサルティング合同会社 |
1,000万円 |
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 |
950万円 |
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 |
800万円 |
KPMGコンサルティングの年収が高い理由
KPMGコンサルティングの年収が高い理由は主に以下の通りです。
コンサルティングビジネスの高い利益率
コンサルティングファームでは、各プロジェクトに高度な専門スキルを持つメンバーが招集され、現状課題の分析を通じて具体的な戦略や解決策を策定し、クライアント企業に提案します。KPMGコンサルティングのサービスは、その中でも専門性や付加価値が高く、高いプロジェクト単価を設定できるため、高い利益率を実現しています。
また、戦略の継続的な実行支援、多岐にわたる関連プロジェクトもサービスの提供範囲に入ってくることで、売上も向上させることができます。
クライアントへの高い付加価値提供
KPMGコンサルティングは、クライアント固有の課題や潜在的ニーズに対し、独自の分析や深い洞察にもとづいたオーダーメイドのソリューションを提案・実行するなど、付加価値の高いサービスを提供しています。
この徹底した価値提供が、継続的な高単価での受注や、幅広い業界からの高評価、そしてクライアントとの長期的な信頼関係の構築へとつながっています。
優秀な人材獲得・維持のための報酬戦略
高い報酬は、優秀な人材を惹きつけ、定着させるための戦略でもあります。高い年収水準を可能にする給与体系と、明確なキャリアアップの道筋を提示することで、コンサルタントは高いモチベーションをもって業務に専念でき、給与アップも念頭に上位役職への昇進を目指します。
KPMGコンサルティングの給与・評価制度
給与体系の仕組み
KPMGコンサルティングの給与体系は、年俸制を採用しています。この年俸には、固定給に加えて賞与(ボーナス)分が組み込まれており、役職や評価結果にもとづいて決定されます。
年2回実施される評価面談で、個々のパフォーマンスに対するフィードバックや昇進・昇格に関する協議を経て年俸額が決定します。
賞与(ボーナス)制度
賞与(ボーナス)は年に1回支給されます。標準的な支給額の目安は、基本給の1〜1.5カ月分程度とされています。支給額は、年度末の業績評価にもとづいて決定されます。特に顕著な成果を上げ、高い評価を得た社員に対しては、この標準額に上乗せされた特別賞与が支給される場合があります。
残業代
月50時間分の固定残業手当が給与にあらかじめ含まれています。規定時間を超える時間外労働については、法定の割増率にもとづいた残業手当が別途支給されます。なお、実際の月間の残業時間は、個人の役職や担当するプロジェクトのフェーズ、状況によって変動することが一般的です。(シニアコンサルタント以上の場合)
昇給制度
昇給の機会は年に1回設けられており、業績評価の結果にもとづいて昇給額が決定されます。評価の結果に応じて昇給率は変動します。特に顕著な成果を上げた場合には、基本給に対して5%程度の昇給が見込まれることもあります。
昇給につながる評価は、個人のパフォーマンスや担当プロジェクトにおける具体的な成果、そして現在の役職や経験に応じた貢献度などが総合的に考慮される仕組みです。
人事評価制度の仕組みと評価基準
KPMGコンサルティングでは、昇進・昇給に直結する人事評価は年に1回実施され、1年間のプロジェクトにおける実績や経験をもとに総合的に判断されます。評価は、新しい知識・スキルの習得状況や課題解決能力といった個人の成長度合い、チームを牽引するリーダーシップ、部下育成への貢献度といった点が重視されます。
KPMGコンサルティングでのキャリアパス
社内でのキャリアパス
KPMGコンサルティングの社内でのキャリアパスは、主に以下の通りです。
- コンサルタント
- シニアコンサルタント
- マネージャー
- シニアマネージャー
- ディレクター
- パートナー
中途採用で入社する人も、これまでのご経験や専門スキルに応じた役職・部署に配属されます。入社後は、スキルや実績にもとづき、ステップアップしていきます。
社外へのキャリアパス
社外へのキャリアパス例として、以下の4つをご紹介します。
事業会社
企業の経営企画、事業開発、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進部門などに所属し、戦略実行の主体的な役割を担います。具体的には、中期経営計画の策定、新規事業の企画・立ち上げ、M&Aの推進、全社的な業務改革プロジェクトのリードといった業務を行います。
他のコンサルティングファーム
業界に特化したコンサルティングファームなどで、特定の専門領域を深めるプロジェクトや大規模案件などに参画する道があります。より特化したインダストリーやソリューションのコンサルティング、異なる規模やカルチャーのファームでのマネジメント業務などを行います。
ファンド業界
PEファンドやベンチャーキャピタルにおいて、投資先の選定・評価から投資後のハンズオン支援まで一連のプロセスに携わります。デューデリジェンスの実施、企業価値評価、投資契約の交渉、そして投資先企業の戦略策定支援や経営改善、役員派遣といった業務に従事します。
スタートアップ・起業
課題解決能力や事業構築スキルを活かし、スタートアップ企業の経営幹部(CxOなど)として、あるいは創業者として事業を推進します。事業戦略の策定・実行、プロダクト開発、資金調達、組織構築、市場開拓など、事業成長に必要なあらゆる業務をリードします。
KPMGコンサルティングの働き方
労働環境と残業時間の実態
KPMGコンサルティングでは、シニアコンサルタント以上の役職に、みなし残業制度が導入されています。これは一定時間分の残業代が給与にあらかじめ含まれているものです。
プロジェクトの内容や繁忙期には、クライアントの要求水準が高いため、長時間労働となることがあります。固定残業時間を超える労働が発生した場合の残業代の扱いや、実際の労働時間管理については、個別の雇用契約やファームの規定を確認することが重要です。こうした労働環境から、一部では「激務」との声も聞かれます。
福利厚生制度の内容
KPMGコンサルティングでは、主に以下のような福利厚生があります。
- 退職金制度(在籍2年以上)
- 公認会計士企業年金基金
- 健康保険組合カフェテリアプラン
- ワークライフバランス支援制度(産前産後休暇、育児休業、介護休暇、介護休業、看護休暇、短時間勤務制度、ベビーシッター育児支援補助、病児保育サポート制度など)
- マッサージルーム(東京事務所内、施術費用:30分500円)
上記の制度以外にも、多様な人材育成プログラムやキャリア開発支援制度などが整備されており、社員が働きやすく、成長できる環境を支えるサポート体制が充実しています。

出典:KPMGコンサルティング|柔軟な働き方~Well-beingに働く~
KPMGコンサルティングへの転職難易度
転職難易度と採用大学・学歴
KPMGコンサルティングへの転職は極めて難易度が高いと言えます。同社は世界的な知名度と高待遇を誇るため、コンサルティング業界でも最難関の一つとされています。
応募資格は一般的に大卒以上かつ社会人経験3年以上とされていますが、新卒採用では東京大学、京都大学、早稲田大学、慶應義塾大学といった難関大学出身者が多く見られます。
KPMGコンサルティングが求める人物像
KPMGコンサルティングでは、クライアントへの卓越した価値提供と、組織全体の成長に貢献できる人材を求めています。特に以下の資質を重視しています。
オーナーシップ
自らがKPMGコンサルティングを代表しているような高い意識と責任感を持ち、常に当事者として課題解決に取り組める方。現状に満足せず、主体的に自身の専門性やスキルを磨き続け、周囲を巻き込みながら目標達成に向けて粘り強く努力できるプロフェッショナルを求めています。
リスペクト
KPMGコンサルティングは、多様なバックグラウンド、専門知識、そして斬新なアイデアを持つプロフェッショナルが集う組織です。異なる意見や価値観に対しても真摯に耳を傾け、深く理解しようと努め、互いの個性を尊重し合えるマインドセットを持つ方を求めています。
コラボレーション
プロジェクトの成功にはチーム内や社内の各専門部署やKPMGのグローバルネットワーク、さらにはクライアントとも緊密に連携する必要があります。それぞれの強みを最大限に活かしながら、組織として最高の価値をクライアントに提供するために、建設的なチームワークを構築できる方を重視しています。
KPMGコンサルティングへの転職は転職エージェントの活用がおすすめ
KPMGコンサルティングへの入社後は、豊富な成長機会を通じて、専門性を高めながら上位の役職を目指せます。実力と実績に応じた昇格・昇給が期待でき、責任あるポジションへのステップアップも可能です。昇給のチャンスは年に1回設けられており、個人のパフォーマンスや担当プロジェクトにおける成果、現在の役職に応じた貢献度などが評価の主な基準となります。
加えて、充実した福利厚生制度や、オープンでコミュニケーションが活発な企業文化も、社員が長期的にキャリアを築き、成長し続けるための基盤となっています。
転職成功のコツと転職エージェントの活用
コンサルティング業界への転職を成功させるためには、業界に特化した専門知識と豊富な実績のある転職エージェントの活用が有効です。
書類添削や模擬面接
転職エージェントは応募書類の添削や模擬面接といったきめ細やかなサポートを提供してくれます。コンサルティング業界特有の選考(ケース面接、フェルミ推定など)には対策が必須です。
また、企業の組織文化やポジションの募集背景、プロジェクトの具体的な情報など、個人では入手しにくい詳細情報を提供してくれる点も大きなメリットです。
年収交渉や入社時期の調整
経験豊富な転職エージェントは、候補者に代わって企業側と年収や入社日といった条件交渉を行います。これにより、ご自身の希望に沿った、より良い条件での転職実現が期待できます。
タイグロンパートナーズの強み
タイグロンパートナーズは、特に年収1,000万円以上のハイクラス・プロフェッショナル求人に特化した転職エージェントであり、コンサルティングファームへの転職支援にも豊富な実績があります。
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