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自動車業界の現状や今後の動向は?転職成功のための対策について解説

自動運転や電気自動車など、自動車業界は大きな変革期を迎えています。市場の今後の動向を踏まえ、自動車業界の現状と将来性、求められる人材像について解説します。

自動車業界の現状や今後の動向は?転職成功のための対策について解説

かつての自動車業界は、新卒就職先あるいは転職先として安定した人気を保ってきました。しかしながら、昨今は次世代自動車の開発をめぐって、業界全体が大きく変わろうとしています。 市場の今後の動向を踏まえ、自動車業界の現状と将来性、求められる人材像などについて解説します。  

自動車業界の現状

これまで自動車業界は安定的な実績を重ねてきましたが、昨今は新型コロナウイルス感染症の蔓延や少子高齢化などの要因により、不透明な状況を呈しています。 自動車業界の将来性や展望について見ていく前に、まずは現状について見ていくことにしましょう。  

新型コロナウイルス感染症の影響により、先行きは不透明

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、飲食やレジャーをはじめ、多くの業界にダメージを与えました。もちろん、自動車業界も例外ではありません。そのため、2020年の新車の販売台数は大きく落ち込み、その後は回復の兆しを見せつつも、まだ完全な復活には至っていないといわれています。 また、新型コロナウイルス感染症以外にも、販売台数減少の要因はいくつも考えられ、自動車業界の将来に不安の影を落としています。  

生産・販売台数の減少

自動車の生産台数が落ち込んでいる、あるいは生産してもなかなか売れないというのが、現在の自動車業界が抱える課題となっています。その理由は決して単純ではなく、いくつもの要因が絡み合った結果であるといわれています。生産・販売にブレーキをかけている具体的な要素は、下記のとおりです。  

・半導体の不足

近年の自動車は、電子部品の塊です。次世代自動車の開発が進められる中、その傾向はますます強まっています。そこにタイミング悪くぶつかってしまったのが、新型コロナウイルス感染症の流行でした。世界的なパンデミックのために人々の外出が制限され、巣ごもり需要が拡大したのです。 また、各企業ではテレワークが推奨され、同時にDX化が進められたために、半導体の需要が急速に拡大しました。結果として、世界的な半導体不足が起こり、自動車の生産にも影響を与えることになったのです。  

・少子高齢化や人口減少

イタリア、ドイツなどの先進国では人口減少が進んでいます。日本でも少子高齢化は社会問題となっており、2021年時点では、11年連続で人口減少が続いています。 人口が少なくなれば、単純に購買力も下がることになるでしょう。高齢者向けのサービスや製品は今後の伸びしろが期待できますが、それ以外の多くの分野では小さくなっていくパイを前に、対応を迫られることになります。  

・若者の車離れ

人々の価値観の多様化は、さまざまな変化を世の中に与えてきました。「若者の車離れ」も、そのひとつでしょう。 かつては、自動車を持つということが豊かさの象徴だった時代がありました。高価な自動車を購入し、維持できるということが、大きなステータスだったのです。ですが、現代は違います。「維持費がかかる」「車に興味がない」などの理由から、自動車は必要ないと考える層が一定数存在するようになりました。 日本トレンドリサーチが行った2021年の調査では「免許を持っているが自動車は持っていない」という人は20代以下で最も多く55.2%。そのうちの約6割が、「車を持ちたいとは思わない」と回答しています。  

・公共交通機関の充実

自動車を持たない理由のひとつとして、「公共交通機関で十分だから」というものがあります。確かに都市部であれば、鉄道網や路線バスは充実しており、自家用車の必要性は地方に比べて高くはないでしょう。また、自動車を持たなければ二酸化炭素の排出が抑えられますし、渋滞や駐車場の心配もありません。どうしても必要なときにはレンタカーを借りれば、それで用は足りてしまいます。 地域によって違いは大きいものの、公共交通機関の充実度も、車離れを加速させる要因といえます。  

自動車業界に将来性はある?

自動車業界の先行きについて、あえてマイナス要素ばかりを挙げてきました。ですが、決して将来性が乏しいというわけではありません。もちろん、現状のまま何の対策もしなければ、自動車の需要は先細り、業界全体の規模は縮小していくばかりです。 しかし、枯渇していく化石燃料と環境問題への対応、IoTやAIの活用などを盛り込んだ次世代の自動車開発は、各メーカーにとって自社の存続がかかった大きな課題です。この変革期の向こうに、大きな可能性が待っているといえるでしょう。  

「CASE」が自動車業界を変革する

近年の自動車業界では、「CASE(ケース)」をいう言葉が注目されています。これは、従来の自動車の在り方を大きく変える革新的な発想を指し、次世代自動車のキーワードとなる概念とされています。 自動車業界の将来を考えるにあたって、不可欠ともいえるCASEの概念について考えてみましょう。  

CASE(ケース)の意味

CASEとは、メルセデス・ベンツの会長でダイムラーのCEOであったディーター・ツェッチェが、2016年にパリで開催された「パリモーターショー2016」において発表した中長期戦略です。これは、従来の自動車の在り方を大きく変える革新的な概念であり、「Connected」「Autonomous」「Shared & Services」「Electric」の4つの要素から成り立っています。それぞれの意味するところは、次のとおりです。 ・Connected(コネクテッド):他者とつながり、連結する ・Autonomous(自動運転):自動車が自律的判断を行い、走行する ・Shared & Services(カーシェアリング):共有によって、環境負荷を軽減する ・Electric(電気自動車):化石燃料から電力への転換 これらの概念は、すでに現実の自動車に反映され、その進化と普及は現在進行形で進められています。 CASEの概要についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。 CASEとは?これからの自動車産業に必要な人材について解説  

CASEによって、何がどう変わる?

CASEによって、自動車と自動車業界はどのように変わっていくのでしょうか。細かく見ていくと、実に多くの事象が挙げられますが、大きな変化としては2つです。 ひとつは自動車という「モノ」から、移動するという「コト」へ、自動車の持つ価値がシフトすること。もうひとつは、自動車関連企業の淘汰や統廃合が進んでいくということです。それぞれ詳しくご説明します。  

・モノの価値からコトの価値へのシフト

従来、自動車は移動の手段であり、同時に価値のある「モノ」でもありました。荷物や人を運搬するだけでなく、ステータスも合わせ持った財産でもあったのです。 しかし、CASEでは、「モノ」としての自動車の価値以上に、移動や運搬といった「コト」をいかに安全・便利・快適に実現するかという点を重視します。つまり、移動・運搬というサービスが、高品質で提供するツールという位置付けにシフトするのです。  

・関連企業の淘汰と統廃合

CASEが描く次世代の自動車を形にしようとすると、従来は不可欠だった技術や部品が不要になり、代わりに別の技術が必要になるということが起こります。その結果、自動車関連企業の淘汰や統廃合が進み、同時にこれまで自動車業界とはあまり縁のなかった業界からの、新規参入が促進されることになります。 例えば、電気自動車にはエンジンも燃料タンクも不要ですが、その代わりに大容量のバッテリーやパワフルなモーターが必要です。また、自動運転を搭載するなら、GPSシステムや運転制御システムが欠かせません。求められる技術や機能が大きく変わるため、業界を構成する企業の顔ぶれが大きく変わることになるでしょう。  

自動車業界の今後の展望

CASEによって訪れる革新的な変化に加えて、自動車業界にはいくつかの表面化した課題が横たわっています。それらは、以前から解決を求められていたものであったり、CASEによってより重要性を増したものであったりします。 自動車業界が今後解決しなくてはならない課題とともに、将来的な展望について考えてみましょう。  

作業効率を高め、慢性的な人手不足を解消する

長く続く少子化の影響で、労働人口は減っていくばかりです。あらゆる業界で人手不足が慢性化しており、それは自動車業界も例外ではありません。特に自動車は、開発から製造まで、専門的な知識と熟練の技術を持つ人材が必要です。 ベテランの技術者が退職すればその穴を埋めるのは簡単ではなく、新たな人材の育成にも時間がかかります。そのため、少ない人数でも開発・製造が停滞しないよう、あらゆる視点からの業務改善が求められます。開発期間の短期化や部品の共通化、ラインナップの見直しなど、業務プロセスや戦略の再構築も必要になるでしょう。 単に人手をそろえるだけではなく、人を育て、仕事の効率を高める工夫が重要になるのです。  

新興国での販路の開拓と拡大を図る

日本国内での自動車市場は、すでに飽和状態を迎えているといわれます。現在進められている次世代自動車の開発と市場投入が本格化するまでは、国内では「車が売れない状態」が続くとみられています。そこで急務なのが、新興国での販路拡大です。 新興国では道路事情や経済状況から、二輪車の需要が多いもの。しかし、都市部を中心に環境整備が進めば、自動車のニーズを掘り起こし、販路を拡大することは十分に可能です。すぐに大きな売上にはつながらなくても、将来的な可能性という点では、非常に有望でしょう。  

環境に優しい自動車を開発する

日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにし、そのために2030年代にはガソリン車の販売をなくすという意向を表明しています。消費者も環境に対する意識が高まれば、「環境へのダメージ」が自動車選びの重要な基準となってくるでしょう。 それだけに、メーカーとしてもより一層、環境に配慮した自動車の開発を進めていく必要があります。  

次世代自動車の市場投入と、それに伴う課題を解決していく

AIによる自動運転技術は、次世代自動車の目玉ともいえる機能です。これが理想的な形で実用化できれば、渋滞や事故の抑制に大きく貢献するでしょう。 しかし、たとえ技術が確立されたとしても、不測の事態は起こるものです。その際、事故の責任は誰が負うのか。ドライバーか、あるいは自動運転システムの製造者か。これは一元的に決められるものではありません。社会的なコンセンサスが不可欠であり、法整備も必要です。自動運転ひとつとっても、これらの難しい問題を解決しなければ、次世代自動車の普及は望めません。  

今後の自動車業界で求められる人材

求められる技術や機能が変われば、当然ながら求められる人材にも変化が表れます。自動車業界でいえば、これまで求められてきた機械系の人材だけでなく、エレクトロニクスやソフトウェア、センサーなどを使用してさまざまな情報を計測・数値化するための各種センシング技術などに長けた人材が、必要不可欠となるでしょう。 こうした人材は、これまでの自動車業界にはいなかった人材です。IT分野での経験を持ち、ITとIoTに強く、情報系のスキルが豊富。まさに、IT業界で求められる人材が、今後の自動車業界でも必要とされていくといえます。 また、100年に一度といわれる大きな変革を乗り切るためには、0から1を生み出す「ゼロイチ」を実現できる人材が欠かせません。企画力と実行力に加えて、周囲を巻き込みながら状況を動かしていく、無から有を生む力が求められます。 もちろん、企画や営業、生産管理など、従来どおりの職種が不要になるわけではありません。作り出す自動車は変わっても、これらの仕事の重要性は、会社にとって変わりないからです。    

自動車業界への転職を成功させるには?

転職を成功させるには、それなりの準備が重要です。これから自動車業界への転職を考えているなら、次に挙げる項目について準備しておくといいでしょう。

どんな人材が求められているかを把握しておく

自動車業界全体、さらには転職希望の企業が、どのような人材を求めているのか。まずそれをしっかり把握しておくことが必要です。そして、自分のスキルや資質が、求められる人材像とどれほど合致しているかを事前に検証しておくのがおすすめです。志望する部署によっても、求められる能力は異なります。エンジニアであれば知識の幅よりも深い専門性が要求され、海外との連携が必要な部署なら語学力をチェックされるはずです。 また、資格や実績など、自分の実力を測れるものがあれば、用意しておくようにしましょう。  

試験対策は十分に行っておく

応募者数が多い企業の場合、面接の前に筆記試験が行われることも少なくありません。こうした場合は、事前に試験対策をしておく必要があります。 採用でよく使われるのは、年間200万人以上が受検しているといわれている、適性検査の「SPI」です。これは、知的能力を測る能力検査と行動パターンや考え方を測る性格検査に分かれており、どれほどの能力を持ち、どのような仕事に向いているのかを測定するために使われています。 SPIには問題集なども出回っていますが、対策のしやすい問題としにくい問題があります。対策しやすいところから手をつけて、回答スピードを上げるようにするのがおすすめです。  

面接では強い熱意を持って志望動機を伝える

自動車業界の面接試験は、受け答えの内容よりも、熱意が重視される傾向があります。中でも重要なのは、志望動機です。なぜその会社を選んだのか、その会社で何をしたいのか。将来の目標やビジョンについて、面接官に具体的に伝えることが大切です。 また、自分のやりたいことばかりでなく、「自分がどのように会社に貢献できるか」「それが会社にとって、どのようなプラスになるか」をアピールするのもいいでしょう。  

変革期ならではのチャンスがある自動車業界への転職

就職先・転職先として根強い人気を持つ自動車業界は、大きな変革期を迎えています。先行きが不透明な業界ではありますが、新たな価値を創造し、市場に提供できるチャンスでもあります。自動車業界への転職を実現させることで、ダイナミックに動いていく時代の現場に立ち合うことができるでしょう。 タイグロン パートナーズでは、プロフェッショナル人材に特化したトップレベルの人材紹介サービスを行っています。 自動車業界への転職を検討している方や優秀な人材を採用したい企業担当者の方は、ぜひタイグロン パートナーズへお問い合わせください。
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