高度な専門知識とスキルを活かして企業や社会の課題解決に取り組むコンサルタント(以下、コンサル)は、多様な業界経験を積めることや高い報酬体系により、人気を集めています。
競争が激しく、就職や転職の難易度が高い業界のため、コンサルティング業界(以下、コンサル業界)の種類や動向を理解したうえで、自身の強みをアピールする志望動機を考えることが非常に大切です。
本記事では、コンサル業界の志望動機の書き方やNG例、コンサルティングファーム(以下、コンサルファーム)の特徴について詳しく解説していますのでぜひ最後までご覧ください。そして、内定につながる志望動機の作成サポートを受けたい方は、お問い合わせフォームより当社コンサルタントにご依頼ください。
コンサル業界の志望動機を考える前に押さえるべきこと
採用担当者は志望動機の内容を通じて、応募者のコンサル業界に対する理解度や適性を見極めています。
ここでは、コンサル業界の種類や分類・業界全体の動向について解説します。コンサル業界に対する理解度を高めて、種類に合わせた的確な志望動機を作れるようになりましょう。
コンサル業界の種類・分類とは
一口にコンサル業界といっても、戦略系や総合系、IT系など多様な分野があり、それぞれで業務内容は大きく異なります。違いを理解せずに志望動機を考えてしまうと、企業の募集意図と噛み合わない内容になるかもしれません。
ここでは、代表的なコンサルファームの種類と特徴について解説します。
戦略系コンサルファーム
企業の経営課題に対して、経営戦略の立案やプロジェクトの実行支援を行うコンサルファームです。経営層と関わることが多く、広い視野や高度な論理的思考力、データ分析能力などが求められます。
主な戦略コンサルファーム
- マッキンゼー・アンド・カンパニー
- ボストンコンサルティンググループ
- ベイン・アンド・カンパニー
- ドリームインキュベータ など
総合系コンサルファーム
金融や製造業、公的機関など、幅広い業界に対応するコンサルファームです。戦略立案にとどまらず、業務改善やIT導入、組織改革、人材戦略など、企業が抱える幅広い経営課題の支援を行う特徴があります。
対応できる業務が幅広く、戦略から実行までを一貫して支援する「ワンストップ型」の体制が強みです。
主な総合系コンサルファーム
- アクセンチュア
- デロイト トーマツ コンサルティング
- PwCコンサルティング
- KPMGコンサルティング
- EYストラテジー・アンド・コンサルティング
- アビームコンサルティング
- ベイカレント
- クニエ など
IT系コンサルファーム
IT戦略の立案やシステム導入など、IT技術に特化したコンサルファームです。クラウド、AIなど、最新技術の知識を活用し、クライアント企業の業務効率化や新サービス創出を支援します。
DX推進に伴い、ITを活用した業務改革のニーズが高まっていることから、需要が拡大しています。
主なIT系コンサルファーム
- 日本アイ・ビー・エム
- フューチャー
- シグマクシス
- ノースサンド
- ディルバート など
シンクタンク
社会や経済が抱える課題に対し、データや情報にもとづいた調査分析を行い、解決策や政策を提言する機関です。シンクタンクは「政府系」と「民間系」の2つに分類され、前者は政府や公的機関への政策提言を行い、後者は民間企業への経営戦略の提言などを行います。
主なシンクタンク
- 野村総合研究所
- 三菱総合研究所
- 日本総合研究所 など
ハンズオン系コンサルファーム
コンサルが実際の現場に入り込み、プロジェクトの実行に主体的に関わる「現場密着型」の支援が特徴のコンサルファームです。経営層だけでは明確化が難しい、現場の問題点を洗い出し、解決策を提示します。
主なハンズオンコンサルファーム
- アリックスパートナーズ
- コーポレイト・ディレクション
- 経営共創基盤 など
中小企業向けコンサルファーム
事業承継やM&Aなどの経営課題の解決や、IT導入の業務改善、資金調達支援など、中小企業が抱える課題の改善に特化したサポートを行うコンサルファームです。経営者との距離が近く、柔軟なサポートが求められる傾向にあります。
主なコンサルファーム
- 船井総合研究所
- タナベコンサルティンググループ
- 山田コンサルティンググループ など
コンサル業界の動向
経営課題が複雑化しているという背景から、企業ごとに適切な解決策を提示できるコンサルファームの需要が高まっています。例えば、以下のようなケースです。
- 数多く登場しているAIやクラウドサービスの導入支援をIT系コンサルファームに依頼する
- 経営戦略を根本から見直すために、戦略系コンサルファームを利用する
- ESGやSDGsなど、社会課題への取り組み方を総合系コンサルファームに相談する
コンサルファームの需要が高まり、業界全体で慢性的な人手不足が続いていることから、新卒・中途採用のチャンスも広がっていると考えられます。
ただしライバルも多いため、自身がどの分野のコンサルファームに興味があるか、どのようなクライアント企業に貢献したいかを考えて、志望動機を作ることが大切です。
コンサル業界の志望動機を考える上での4つのポイント
ここでは、志望動機を作成する際に押さえておくべき4つのポイントを紹介します。
1.志望動機の目的を理解する
志望動機を考える目的は「内定を獲得すること」です。そのうえで、「どのような内容にすれば内定につながるのか」「他の候補者と差別化できるのか」を考える必要があります。
企業が志望動機を通じて知りたいのは、以下のような内容です。
- コンサル業界や自社の志望度は高いか
- 自社のコンサルティング業務を通じて何を達成しようとしているのか
- 自社にとって価値のある存在になれるか
- 志望者が考える業務内容とのミスマッチがないか
採用担当者に対して、入社後も継続して成長意欲があることを示し、長期的な貢献を期待させるためには、質の高い志望動機が欠かせません。
2.盛り込むべき点を外さない
志望動機に含めると良いポイントは次の通りです。
- 業界の動向やコンサルファームの強みを踏まえた志望動機
- 自身の経験やスキルを業務にどのように活かせるか
- コンサルとして取り組みたいテーマや解決したい課題
- 自己成長やキャリアアップへの意欲
- 会社の求める人物像に合致しているというアピール
志望動機を考える際は、抽象的な表現だけではなく、具体的な経験や視点を記載することが大切です。自身の強みやスキルが、コンサルファームでどのように活かせるのかを、明確に伝えましょう。
3.伝え方は「結論ファースト」
志望動機は、採用担当者に意図を正しく伝える構成が求められます。大切なのは「結論を先に伝えること」です。最初に主張を述べ、後からその理由や根拠を説明することで、論理的で説得力ある志望動機になります。
志望動機を組み立てる際には、PREP法の利用がおすすめです。
結論(Point)、理由(Reason)、具体例(Example)、結論(Point)の順番で説明することで、説得力のある説明が行えます。
- 結論:志望した理由を端的に伝える
- 理由:志望理由の背景を伝える(業界や自己分析の内容など)
- 具体例:具体的なエピソードや実績
- 再結論:志望理由を改めて伝える
志望動機を細かく分解し、PREPに当てはまる形で構築してみてください。
4.ストーリー性を追加する
ストーリー性があると、自身の経験や価値観が、採用担当者の印象に残りやすくなります。
ストーリーの構成は、以下を意識すると効果的です。
- 過去の経験による価値観
- コンサルへの興味の芽生え
- 特定のコンサルファームを選んだ理由
- 入社後のビジョン
他の応募者との差別化を図るためにも、自己分析を深め、自分ならではのユニークな経験や視点を軸に語ることを意識していきましょう。
コンサル業界の志望動機でやりがちなNG例
ここでは、実際によく見られる志望動機のNG例を詳しく解説します。志望動機を作った後にも見返して、当てはまっていないかを確認してみてください。
「やりがいを感じられると思ったからです」
「やりがい」は汎用性が高い言葉で、多くの応募者が使いがちな言い回しです。一見前向きにみえても、実際には抽象的で説得力に欠けてしまいます。印象に残りにくく、「またこのパターンか」と思われてしまう可能性もあるので、注意が必要です。
やりがいを理由にする場合は、過去にやりがいを得た具体的なエピソードとともに、「コンサルファームでクライアント企業にどのような価値を提供して、やりがいを得たいのか」を明確にする必要があります。
「自身のキャリアアップにつながると思い、志望しました」
「自身が○○したい」「自身の成長が目的」など、自分本位な動機は注意が必要です。コンサルファームは、クライアント企業に価値提供ができる人材を求めています。
そのため、自身の成長が、クライアントにどのような価値を与えられるかという視点が欠けていると、採用担当者の印象には残らないでしょう。
コンサルは顧客の課題解決を担う職業であり、常に相手の立場に立って物事を考える必要があります。「成長したい」という想いは悪くはありませんが、業務を通じて得られる結果に過ぎません。
あくまでも「顧客貢献」を第一にして、成長意欲を見せるようにしましょう。
「貴社の知名度と幅広い事業領域に魅力を感じ、志望しました」
「知名度」や「幅広い事業領域」などの言葉は、他の業界に置き換えても通じてしまう内容です。コンサル業界特有の「課題解決力」「論理的思考」「多様な業界知識」といった理解が欠けています。
他の業界や、他のコンサルファームと比べて、「なぜこのコンサルファームがいいのか」を明確かつ具体的にしましょう。
「多くのプロジェクトに携われると聞き、挑戦したいと考えました」
業務内容やコンサルの役割への理解が浅い印象を与えてしまいます。具体的にどのような課題に取り組みたいかが明確ではないため、説得力に欠けるでしょう。
また「挑戦」という言葉は自分本位であり、顧客貢献を第一に考えられていません。
コンサルと一口にいっても、業務内容や取り組みはコンサルファームごとに大きく異なります。事前に業界やコンサルファームの特徴を分析し、理解することが大切です。「プロジェクトを通して、どのような結果を出したいか」を重視しましょう。
「貴社の【理念】に強く共感し、自身の【強み】を生かして【社会貢献】に寄与したいと考え、志望いたしました」
オリジナリティがなく、インターネットや書籍で見かけるありきたりなフレーズやテンプレートをそのまま模倣したような内容だと、熱意を感じられません。言葉を利用すること自体は悪くありませんが、具体的な根拠やエピソードが必要です。
自身の経験や価値観を含んだ具体的なエピソードを絡めて、他の志望者と差別化を図りましょう。
「現在の業務が単調でやりがいを感じられなかったため、環境を変えたいと思い志望しました」
転職時には、前職に対するネガティブな感情を理由にするのは避けましょう。不満を抱きやすい、すぐ辞めるかもしれないといった、悪い印象を採用担当者に与えてしまいます。
「業務が単調」「環境を変えたい」といった表現も受け身な姿勢で、コンサルとして大切な問題解決力が乏しいと判断されるかもしれません。
「前職でルーティンワークをこなすうちに、『自ら課題を見つけ、付加価値を生み出す仕事に挑戦したい』という思いが強まりました」など、前向きな考え方に言い換える工夫が必要です。
コンサル業界の内定につながる志望動機の考え方5ステップ
志望動機の質は、採用に大きな影響を与えます。自己分析による自己理解と、コンサルファームへの理解を深めたうえで、自身の強みや価値観を論理的かつ具体的に伝えることが重要です。
ここでは、具体的に志望動機を考える手順を紹介します。
1.自己分析を行う
まずはこれまでの経験や成功、失敗体験を振り返り、強みや弱み、価値観を言語化しましょう。例えば、どのような場面でパフォーマンスを発揮できたのか、困難な物事にどのように向き合ったかを、具体的に整理していくことが大切です。
転職活動では、前職の業務で培ったスキルや実績、姿勢を軸に整理していくとアピールしやすくなります。自分の価値を客観的に伝えられるように、経験を掘り下げましょう。
2.転職・就職する目的を整理する
自己分析ができたら、なぜコンサル業界への転職や就職を目指すのか、理由を明確に言語化しましょう。
まずは「年収」や「前職の不満」など、志望動機として言いづらい内容も書き出して構いません。最終的に、キャリアアップやスキルの習得など、前向きな動機を中心にまとめるとよいでしょう。
ただし、前向きな志望動機は書き方によっては自己中心的な印象を与える可能性もあるため、「顧客貢献」や「価値提供」という要素も入れるようにしてください。
3.希望するコンサルファームへと自身の共通点を見つける
目的を整理したうえで、「なぜ希望するコンサルファームでなければいけないのか」まで説明ができると説得力が増し、面接官にも好印象を与えられます。
志望するコンサルファームの文化や価値観、事業内容などのリサーチを行い、暗記ではなく自身の言葉で言語化できるように深く理解しましょう。そのうえで、自身のキャリアビジョンや強みが、企業の特色や戦略にどのようにマッチするかを考え、具体的な共通点を見つけていきます。共通点を主軸にした志望動機を組み立てると、説得力のある内容になります。
4.長期的なキャリアビジョンを考える
入社後にどのようなキャリアを築きたいか、具体的なビジョンを示すことも大切です。5年後、10年後に、希望するコンサルファームでどのような立場になりたいかを明確にしましょう。
自身の中長期的なキャリアが明確だと、「長期的な視点を持って仕事に取り組める人」「長期的に働ける人」という印象を与えやすくなります。
5.志望動機を第三者にチェックしてもらう
完成した志望動機は、必ず第三者にチェックしてもらい、客観的なフィードバックを受け取ってください。ただ見てもらうだけでなく、以下の内容を評価してもらうことが大切です。
- 内容は伝わりやすいか
- 論理的な流れになっているか
- 抽象的な表現がないか
- 熱意が伝わっているか
- コンサルファームの担当者からみて納得感があるか
- 内容にミスマッチが起きていないか
客観的な視点でアドバイスを受けることで、より志望動機をブラッシュアップすることが可能です。
コンサル業界向けの志望動機を考えるには「タイグロンパートナーズ」がおすすめ
コンサル業界では高い専門性が求められ、志望動機にも論理性や具体性が欠かせません。説得力のある志望動機を作るには、正しいコンサル業界の知識を学び、自身の強みや価値観、過去の経験から得た知見を、希望するコンサルファームへマッチさせる必要があります。
また、作成した志望動機は、必ず第三者にチェックしてもらうことが大切です。その際にはコンサルファーム目線の意見があると非常に有利ですが、適した人を見つけることは難しいかもしれません。
もし、志望動機の作成に不安があったり、、チェックする相手が見つけられなかったりする場合は、ぜひタイグロンパートナーズのコンサルタントにお気軽にご相談ください。
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