アビームコンサルティングは、日本に本社を置き、アジアを中心にグローバル展開する総合コンサルティングファームです。「Real Partner」という企業理念を掲げ、クライアントと最後まで伴走し、変革を実現することを使命としています。
本記事では、同社の事業内容や強み、平均年収、働き方、社員からの評判などを網羅的に解説します。同社への転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
アビームコンサルティングとは?
アビームコンサルティングは、戦略立案から業務改革、システムの開発・導入まで、企業の変革をEnd-to-Endで支援する総合コンサルティングファームです。日系コンサルティングファームとしての独自の立ち位置を確立しています。
企業概要と沿革
アビームコンサルティングの基本的な企業情報は以下の通りです。
設立年 |
1981年 |
所在地 |
〒104-0028
東京都中央区八重洲二丁目2番1号 東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー |
代表者 |
代表取締役社長 山田 貴博 |
資本金 |
62億円 |
売上高 |
1,408億円(2024年3月期) |
従業員数 |
8,816名(2025年4月1日時点) |
沿革 |
1981年:「等松・トウシュロス コンサルティング株式会社」を設立
1997年:「デロイト トーマツ コンサルティング株式会社」に社名変更
2003年:デロイト トゥシュ トーマツより脱退し「アビームコンサルティング株式会社」に社名を変更 |
出典:アビームコンサルティング株式会社|会社概要
同社は、2003年にデロイト トゥシュ トーマツのメンバーファームから独立し、アジア発のグローバルファームとして新たなスタートを切りました。2025年8月時点では日本、アジア、アメリカ、ヨーロッパの各地域に29拠点を展開し、顧客企業のグローバルなビジネス変革を支援しています。
プロジェクト事例
アビームコンサルティングが手掛けたプロジェクトの具体例をいくつか紹介します。
企業名 |
プロジェクトの概要 |
日清食品ホールディングス株式会社 |
ESG課題を財務指標やESG指標同士の関係性から多角的に分析しました。企業価値との関係を可視化することで、CSV経営(共通価値の創造)の高度化に貢献しています。 |
味の素株式会社 |
事業や国・地域を横断した新たな事業価値の創出を目指し、全社横断型のデータ活用基盤「ADAMS」の構築を支援しました。ユースケース起点のアプローチでデータの統合と活用を促進し、早期の事業価値創出に貢献しています。 |
東海旅客鉄道株式会社 |
従業員エンゲージメントの向上を目指し、KPI設計および分析基盤の構築を支援しました。従業員の貢献意欲向上を通じた企業の持続的成長に貢献しています。 |
出典:アビームコンサルティング株式会社|事例
アビームコンサルティングの強み
数あるコンサルティングファームの中で、アビームコンサルティングは独自の強みを持っています。ここでは、同社を特徴づける3つのポイントを解説します。
強み①:国内発の総合コンサルティングファーム
国内発の総合コンサルティングファームであるアビームコンサルティングは、日本に本社があるため、海外に本社を置く外資系ファームと比べて迅速な意思決定が可能です。日本企業の文化や独自の意思決定プロセスを深く理解しており、クライアントの状況に合わせたきめ細やかなサービスを提供できる点も大きな強みと言えます。
さらに、「日本発」でありながら、そのネットワークはグローバルに広がっています。アジア、米州、欧州の各拠点と密に連携し、顧客の海外進出やグローバルでの事業展開を強力にサポートする体制が整っています。
強み②:企業理念「Real Partner」に基づく実行力
アビームコンサルティングは、経営理念として「Real Partner」を掲げています。これは、単に解決策を提示するだけのコンサルタントではなく、クライアントと一体となって最後まで変革をやり遂げる「真のパートナー」であり続けるという強い意志の表れです。
この理念は、同社のコンサルティングスタイルにも色濃く反映されています。
- クライアント企業の文化を尊重し、一方的な変革を押し付けない
- 短期的な成果だけでなく、中長期的な視点で企業の成長にコミットする
- 戦略を描くだけでなく、実行フェーズまで責任を持って伴走する
こうした姿勢は多くのクライアントから支持を得ており、顧客満足度調査では継続取引意向が89.6%と高い数値を記録しています。
強み③:SAPソリューションにおける国内トップクラスの実績
アビームコンサルティングは、企業の基幹システム(ERP)領域、特にSAPソリューションにおいて国内トップクラスの実績を誇ります。
SAP認定コンサルタント資格を持つ専門家を多数擁し、その卓越した実績から、SAP社が優れたパートナー企業に贈る「SAP AWARD OF EXCELLENCE」を長年にわたり受賞し続けています。
戦略策定からシステムの設計・導入、さらには運用・保守までをワンストップで支援できる「End-to-End」のサービス提供力が同社の強みです。ITベンダーに任せきりにするのではなく、技術力と業務知識を兼ね備えたコンサルタントが責任を持って対応することで、クライアントのビジネスに真に貢献するシステム変革を実現しています。
アビームコンサルティングの年収・待遇
多くの転職希望者が関心を持つアビームコンサルティングの年収や福利厚生について、多角的に解説します。
アビームコンサルティングの平均年収と競合比較
アビームコンサルティングの平均年収は約850万円です。BIG4と呼ばれる外資系総合ファームと比較するとやや低い水準になることもありますが、日系ファームとしてはトップクラスの年収水準を誇ります。
ファーム名 |
年収(目安) |
アビームコンサルティング |
約850万円 |
アクセンチュア |
約850万円~1,000万円 |
PwCコンサルティング |
約1,000万円 |
KPMGコンサルティング |
約1,000万円 |
デロイト トーマツ コンサルティング |
約900万円 |
EYストラテジー・アンド・コンサルティング |
約800万円 |
より詳しい年収情報については、以下の記事もご覧ください。
関連記事:アビームコンサルティングの年収・役職別の給与事情・競合比較
【役職別】年収レンジと昇進スピード
アビームコンサルティングの年収は、役職(ランク)によって大きく変動します。
役職 |
年齢(目安) |
年収(目安) |
ビジネスアナリスト |
22歳~ |
550万円〜600万円 |
コンサルタント |
23歳~ |
600万円〜750万円 |
シニアコンサルタント |
27歳~ |
750万円〜1,000万円 |
マネージャー |
30歳~ |
1,000万円〜1,400万円 |
シニアマネージャー |
34歳~ |
1,250万円〜1,900万円 |
ディレクター |
37歳~ |
1,800万円〜 |
プリンシパル |
42歳~ |
2,500万円~ |
評価は半期に一度行われ、その結果によって昇給や賞与額が決まるとされています。成果主義が採用されているため、実績次第で20代でも高額の報酬を得ることが可能です。
充実した福利厚生
アビームコンサルティングは、社員が長期的に安心して働けるよう福利厚生の充実にも力を入れています。
福利厚生の分類 |
福利厚生の内容 |
資産形成 |
|
保険 |
- 各種社会保険
- 医療保険
- 3大疾病サポート保険
- 総合福祉団体定期保険
- GLTD保険
|
育児・介護支援 |
- ベビーシッター補助券
- 育児クーポン券
- 出産祝い金
- 保活コンシェルジュサービス
- 外部保育園との法人提携
- 産育休暇取得者向けキャリア支援プログラム
- 介護クーポン券
|
その他 |
|
出典:アビームコンサルティング株式会社|働く環境を知る 成長支援と制度
特に、育児や介護と仕事の両立を支援する制度が手厚く、ライフステージの変化に対応しながらキャリアを継続するための環境が整っています。
アビームコンサルティングの働き方
コンサルティング業界には「激務」というイメージが根強くありますが、アビームコンサルティングでは全社を挙げて働き方改革を推進しています。
同社での働き方改革は「Smart Work」と呼ばれており、コンサルタントが知的にやりがいを持って働けるよう、ITツール活用や業務プロセスの見直しによる生産性向上を目指しているのが特徴です。
実際に同社の平均残業時間は、国内外の大手総合ファームと比較しても、少ない水準にあります。
ファーム名 |
月間残業時間 |
デロイト トーマツ コンサルティング |
52.7時間 |
EYストラテジー・アンド・コンサルティング |
45.3時間 |
PwCコンサルティング |
42.1時間 |
KPMGコンサルティング |
41.1時間 |
アビームコンサルティング |
33.8時間 |
ベイカレント |
31.3時間 |
アクセンチュア |
30.2時間 |
※OpenWorkなどの情報をもとに作成
もちろん、プロジェクトのフェーズや担当する役割によっては一時的に業務量が増えることはありますが、会社全体としてはワークライフバランスを重視し、社員が長期的にキャリアを築ける環境作りに注力していると言えるでしょう。
なお、Free Locationやフルリモート、フレックスタイムといった制度もあるため、プロジェクトによっては柔軟な働き方が可能です。
アビームコンサルティングでのキャリアと得られる経験
アビームコンサルティングは人材育成に力を入れており、多様なキャリアパスが用意されています。
ファーム内でのキャリアパス
アビームコンサルティングには、大きく分けて3つのキャリアパスが存在します。
キャリアパス |
概要 |
コンサルタント職 |
クライアントの経営課題解決に直接的に関わる、コンサルティング業務のプロフェッショナル |
スペシャリスト職 |
特定の業界やソリューションに関する高度な専門性を追求する職種 |
プランニング&オペレーション職 |
経営企画や人事、経理など、会社の運営を支えるコーポレート部門の専門職 |
外資系ファームにありがちな「Up or Out」の文化とは異なり、同社には「Up or Stay」の文化が根付いており、中長期的な人材育成に力を入れているようです。
実際に、キャリアステージに応じた研修や社内公募制度、カウンセリング制度、資格取得支援制度など、自律的なキャリア形成を促す仕組みが充実しています。
グローバル案件で得られるスキル・経験
アビームコンサルティングは、海外拠点と連携したグローバルプロジェクトが豊富です。日本企業の海外進出支援や、グローバルでのサプライチェーン最適化など、多様な案件に携わるチャンスがあります。
こうしたプロジェクトを通じて、語学力はもちろんのこと、多様な文化や価値観を持つメンバーと協業するスキルや、グローバルな視点での課題解決能力を養えるでしょう。
アビームコンサルティングの評判
同社のリアルなカルチャーについて、口コミサイトの評判をもとに解説します。
ポジティブな評判
アビームコンサルティングのポジティブな評判として多く聞かれるのは、社員の人柄や社風に関するものです。「優しい人、穏やかな人が多い」といった声が多くの社員や元社員から共通して寄せられています。これは、クライアントと真摯に向き合い、お互いを尊重し高め合う「Real Partner」という経営理念が、社員の行動規範として浸透している結果とも言えるでしょう。
また「研修制度が手厚く、未経験からでもコンサルタントとして成長できる環境がある」という声も多くありました。キャリアステージに応じたプログラムや、上司とは別にキャリア相談ができるカウンセリング制度などが高く評価されています。
さらに「ワークライフバランスを実現しやすい」という点を同社の魅力として挙げる人も多くいました。コンサルティング業界の中では比較的仕事とプライベートの両立がしやすい環境であると言えます。
ネガティブな評判
日系企業ならではのカルチャーや、プロジェクトによる労働負荷の差に対するネガティブな声も見受けられます。
例えば「評価に対する納得感が薄いことがある」「組織の新陳代謝があまり活発ではないと感じる」といった意見です。外資系ファームのような実力主義によるスピーディーな昇進を望む人にとっては、成長のペースが緩やかに感じられるかもしれません。
しかしこれらの特徴は、社員が長期的に安心して働ける環境であることの裏返しでもあります。厳しい「Up or Out」の文化とは異なり、腰を据えてじっくりとキャリアを築きたいと考える人にとっては、むしろ魅力的な点と言えるでしょう。
また、「担当するプロジェクトやそのフェーズ、上司によっては長時間労働になることもある」という声も存在します。これはクライアントの課題解決を最優先するコンサルティング業界では避けられない側面もありますが、アビームコンサルティングは会社全体で「Smart Work」を推進しており、他ファームと比較して平均残業時間は少なめです。会社として労働時間を管理・削減しようとする明確な方針と仕組みがある点は、考慮すべきでしょう。
アビームコンサルティングに転職するには?
アビームコンサルティングへの転職成功に向けたポイントを解説します。
なお、同社では新卒採用・キャリア採用を積極的に行っており、2024年度の採用者に占めるキャリア採用の割合は52.5%(2025年5月1日時点)です。
求める人材像
アビームコンサルティングでは、同社の理念である「Real Partner」を体現できる人材を求めています。
具体的には、以下のようなマインドセットを持つ人物が求められています。
- 指示を待つのではなく、主体的に課題を発見し、解決に向けて行動できる人
- チーム内外の関係者と協力関係を築き、目標達成に向けて推進できるリーダーシップを持つ人
- 未知の領域や困難な課題に対して、前向きに取り組める人
- クライアントの成功のために、最後まで諦めずに粘り強く取り組めるタフさを持つ人
これらのマインドセットに加えて、応募するポジションと親和性の高いスキルや経験を有していることが重要です。
採用大学の傾向
新卒採用においては、東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学といった上位校からの採用が目立ちますが、幅広い大学からの採用実績があります。
特に中途採用では前職での実績やコンサルタントとしての素養、専門性が重視される傾向にあるため、学歴フィルターはほとんどないと考えてよいでしょう。
新卒や第二新卒の場合はポテンシャルが重視されるため、学歴が一つの指標となる場合もあります。
選考フローと面接の傾向・対策
アビームコンサルティングの一般的な選考フローは以下の通りです。
- 書類選考
- Webテスト
- 面接(2〜3回)
面接では、志望動機やこれまでの経験といった一般的な質問に加え、「なぜコンサルタントなのか」「なぜ数あるファームの中でアビームなのか」といった点が深く問われます。同社の「Real Partner」という理念に共感し、自身の言葉でその理由を語れるかどうかが重要なポイントになるでしょう。
また、論理的思考力や問題解決能力を測るために、ケース面接が実施される場合もあります。書籍や転職エージェントなどを活用し、十分な事前準備をして臨みましょう。
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