マッキンゼー・アンド・カンパニーは、世界70カ国130以上の拠点を持つ世界最大級の戦略コンサルティングファームです。1926年の創業以来、経営を科学として捉える思想や徹底したプロフェッショナリズムでコンサルティング業界を牽引し続けてきました。
他の追随を許さない圧倒的なブランド力を誇る同社には、世界中から優秀な応募者が集まるため、選考難易度は極めて高く、入念な対策無くして内定を勝ち取ることは困難です。
本記事では、同社が「すごい」と称賛される理由や、年収目安、カルチャー、選考を突破するためのポイントを詳しく解説します。
マッキンゼー・アンド・カンパニーとは?
| 創業(米国本社) |
1926年 |
| 設立(日本支社) |
1971年 |
| 所在地 |
・東京オフィス
〒106-0032 東京都港区六本木一丁目9番10号 アークヒルズ仙石山森タワー32階
・関西オフィス
〒530-0011 大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪 B棟 |
| 代表者 |
岩谷 直幸 |
| 従業員数
(世界全体) |
4万3,000名以上
(2025年10月4日時点) |
| 沿革 |
1926年: ジェームズ・O・マッキンゼーが米国シカゴで同社を創業
1959年: 米国外初の拠点としてロンドンオフィスを開設
1971年: アジア初の拠点として東京オフィスを開設
2018年: 日本における2拠点目として大阪に関西オフィスを開設 |
マッキンゼー・アンド・カンパニーは、世界で最も歴史と実績のある戦略コンサルティングファームです。ボストン コンサルティング グループ(BCG)、ベイン・アンド・カンパニーと並ぶ、世界三大戦略コンサルティングファーム(MBB)の筆頭格とされています。
1926年に経営学の教授であったジェームズ・O・マッキンゼーが米国シカゴで創業して以来、約100年にわたり世界のトップファームとして君臨し続けています。1971年にはアジア初の拠点として東京オフィスを開設し、日本の産業界の発展に大きく貢献してきました。
世界70カ国以上、130以上の拠点を持ち、グローバルで統一された高品質のサービスを提供しています。
関連記事:マッキンゼーはどんな会社?事業内容・社風・年収を徹底解説
マッキンゼーは何がすごいのか?圧倒的と称される8つの理由
マッキンゼーが他のファームと一線を画し、「すごい」と言われる理由を8つの具体的なポイントで解説します。
1.コンサルティング業界での圧倒的なプレゼンス
マッキンゼーは創業から100年近くの歴史があり、日本においては国内トップ30社の8割をサポートするなど、コンサルティング業界を牽引するトップファームとして知られています。
出典:McKinsey & Company | 私たちの想い
この圧倒的なプレゼンスは、世界的な第三者機関による客観的な評価によっても裏付けられています。例えば、米国のキャリア情報サイトVaultが発表する「Vault Consulting Rankings」では最上位にランクインしているほか、数々のビジネス誌や就職人気ランキングでも常に上位に位置しています。
こうした確固たるブランド力が世界中から最も優秀な人材を惹きつけ、それが組織全体の競争力をさらに高めるという好循環を生み出しているのです。
2.コンサル業界の常識を築いた「ファクトベース」のアプローチ
マッキンゼーが設立された1920年代、経営アドバイスは個人の経験や勘に頼る「グレイヘア・コンサルティング」が主流でした。この潮流を大きく変えたのが、後に「中興の祖」と称されるマービン・バウワー氏です。1933年に入社した彼は、徹底して客観的な事実(ファクト)に基づくコンサルティングを確立しました。
勘や思い込みを排除し、データと論理(ロジック)のみを拠り所に結論を導き出すこの方法は、その後の同社における全ての問題解決アプローチの基盤となり、ひいては今日の経営コンサルティング業界全体のスタンダードを築き上げたのです。
3.徹底したプロフェッショナリズム
常にクライアントを成功に導くことを最優先し、価値ある提言を行う「クライアント・インタレスト・ファースト(顧客利益第一主義)」が組織全体に浸透していることも、マッキンゼーの強みです。徹底した顧客本位の姿勢が、クライアントと長期的な信頼関係構築を可能にしています。
また、「Up or Out」に代表される、昇進し続けなければファームを去るという厳しい文化の中で、コンサルタントは常に自己成長を求められます。これにより、クライアントに提供するサービスの質が担保されています。
4.普遍的なフレームワークを創出する卓越した知的生産力
マッキンゼーは、これまでに多くの普遍的なフレームワークを生み出してきました。
| 項目 |
内容 |
| MECE |
情報を「モレなく、ダブりなく」整理する考え方 |
| ロジックツリー |
問題を構造的に分解し、原因や解決策を具体化する手法 |
| 3C分析 |
顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの観点から事業環境を分析するフレームワーク |
| 7S |
組織を7つの要素(戦略、組織構造、システム、スキル、人材、スタイル、共通の価値観)で分析するフレームワーク |
マッキンゼーの思考法がビジネス常識として定着していることは、同社の知的影響力の大きさを物語っています。
5.「ワンファーム」が実現する組織力
戦略コンサルティングファームとして最大規模でありながら、グローバルでの一体運営を可能にする組織力がマッキンゼーの強みです。
| ファーム名 |
従業員数(グローバル) |
| マッキンゼー・アンド・カンパニー |
約43,000名 |
| ボストン コンサルティング グループ |
約33,000名 |
| ベイン・アンド・カンパニー |
約19,000名 |
※2025年10月時点
「ワンファーム」と呼ばれる体制のもと、国籍に関係なく世界中のコンサルタントが最適なプロジェクトにアサインされます。
また、創業以来のレポートを蓄積したデータベース「PD(プラクティス・デベロップメント)」や、シンクタンク「MGI(マッキンゼー・グローバル・インスティテュート)」など、全世界の知見を活用できる点も同社の強みです。過去の類似事例や最新の業界動向を踏まえた提言など、クライアントに対して質の高いサービスを提供する仕組みが整っていると言えるでしょう。
6.世界トップクラスの人材が集結する組織
マッキンゼーの競争力の源泉は、人材の圧倒的な質の高さにあります。採用基準は極めて厳しく、論理的思考力はもちろん、リーダーシップや人間的魅力をも兼ね備えた人材しか選考を通過することはできません。そして、そのような選び抜かれた優秀な人材が日々互いに切磋琢磨することで、同社の提供するサービスの価値を絶えず高め続けています。
最高の人材を集め、その能力を組織内でさらに引き出し、最大限に活かす文化があるからこそ、マッキンゼーはクライアントが抱える最も困難な課題を解決できると言えるでしょう。
7.各国政府やトップグローバル企業が抱える最重要課題を解決
マッキンゼーが対峙するクライアントと課題のスケールは、他のファームとは一線を画します。クライアントはFortune 500に名を連ねるグローバル企業や各国政府機関が中心で、以下のように社会的・経済的インパクトの大きいプロジェクトに携わることが少なくありません。
- 米国全土の求職者支援を目的として作成された人材開発フレームワーク「Opportunity Accelerator」の改善・標準化を支援
- ケニア国内外で雇用を創出し地元農家を支援するための資金調達支援
- 米国全土の研究施設における臨床試験能力の拡大支援
- トルコ金属産業雇用者協会との協働によるMEXT技術センター設立、デジタル・サステナビリティ変革支援
出典:McKinsey|Building bridges toward career opportunities for millions of Americans
出典:McKinsey|Expanding economic opportunities for rural farmers in East Africa
出典:McKinsey|Clinical Trials Access Collaborative: Expanding clinical trial participation for all
出典:McKinsey|How Türkiye is transforming into a digital and sustainable manufacturing hub
同社が手がける案件では、数十万人・数百万人の生活に直接影響を与え、経済構造そのものを変革する社会的インパクトを創出しています。
8.ビジネス界を牽引する「マッキンゼーマフィア」の存在
マッキンゼーの「すごさ」は、卒業生(アルムナイ)がビジネス界に与える影響力の大きさにも表れています。同社は有名企業の経営者や起業家を数多く輩出しており、そのネットワークと影響力から「マッキンゼーマフィア」とも呼ばれています。
日本国内における著名なマッキンゼー出身者は以下の通りです。
- 南場智子氏(株式会社ディー・エヌ・エー 創業者)
- 大前研一氏(株式会社Aoba-BBT創業者)
- 堀新太郎氏(ベインキャピタル・ジャパン元会長)
- 安達保氏(株式会社ベネッセホールディングス元代表取締役会長CEO)
- 川鍋一朗氏(日本交通代表取締役会長)
この輝かしい実績が、「マッキンゼー出身」という経歴を、論理的思考力や問題解決能力の高さを証明する強力なブランドとして転職市場で機能させています。
マッキンゼーの年収目安
世界最高水準と言われるマッキンゼーの報酬体系を、役職別の年収レンジと共に解説します。
役職別の年収レンジ
マッキンゼーのコンサルタント職における、役職ごとの年収レンジは以下の通りです。
| 役職 |
勤務年数(目安) |
年収(目安) |
| ビジネスアナリスト |
1~3年目 |
600万円~900万円 |
| ジュニア・アソシエイト |
2~3年目 |
700万円~1,300万円 |
| アソシエイト |
3~5年目 |
1,000万円~1,500万円 |
| エンゲージメント・マネージャー |
5~7年目 |
1,600万円~2,200万円 |
| アソシエイト・プリンシパル |
8~10年目 |
2,000万円~3,000万円以上 |
| シニアパートナー |
10~20年目 |
5,000万円~ |
| パートナー |
20年〜 |
数億円~ |
関連記事:マッキンゼーの年収・給料は?転職難易度やリアルな働き方も紹介
世界トップクラスの報酬体系を支える評価制度
マッキンゼーの高年収は、個人の成果が直接報酬に反映される厳格な評価制度によって支えられています。
自身の人事担当であるアソシエイトパートナーまたはパートナーを通じて、「問題解決能力」「アントレプレナーシップ」など、マッキンゼーのコンサルタントに求められる能力について評価されると言われています。
厳しい評価制度のもとで常に高い成果を出し続けることができれば、20代で年収2,000万円を超えることも十分に可能です。
このような世界トップクラスの報酬体系が、世界中から優秀な人材を惹きつけ、最高のパフォーマンスを維持する原動力となっています。
口コミからみるマッキンゼーのすごさとは
OpenWork等の口コミサイトの情報をもとに、マッキンゼーの労働環境やカルチャーについて解説します。
20代で圧倒的なスキルが身につく
口コミでは、20代で得られる圧倒的な成長環境について言及されることが多くあります。仕事の密度と求められるアウトプットのレベルは極めて高く、優秀な上司からのフィードバックを通じて、思考の甘さや弱点は徹底的に鍛え上げられます。
厳しい環境ではあるものの、どんな業界でも通用する、本質的な問題解決能力とプロフェッショナルとしてのスタンスが叩き込まれるため、大きく成長できる環境だと評価されることも多いようです。
激務だがプロとしての自由と裁量がある
労働環境については「激務」であるという声が多数見られます。月間70時間前後の残業が目安となり、プロジェクトの繁忙期には深夜や休日の稼働も日常的であるため、ワークライフバランスの調整は容易ではないでしょう。
その一方で、プロフェッショナルとして成果を出すことを前提に、働き方のプロセスは個人の裁量に大きく委ねられています。プロジェクトの合間に長期休暇を取得する文化もあり、厳しい環境の中にも自律的な働き方が認められている点は大きな特徴と言えるでしょう。
マッキンゼーに受かる人の特徴
超難関の選考を突破し、マッキンゼーで活躍する人材に共通する特徴を解説します。
高度な論理的思考力を有する
マッキンゼーのコンサルタントには、高度な論理的思考力が求められます。複雑で膨大な情報から問題の本質的な論点(イシュー)を見抜き、答えのない問いに対して思考を止めず考え抜く力が必要です。さらに、その思考プロセスと結論を構造化し、誰にでも分かりやすく説得力をもって伝える能力も重要な素養とされています。
コミュニケーション能力が高い
マッキンゼーで求められるコミュニケーション能力とは、多様な関係者を巻き込みながらプロジェクトを円滑に進める力です。上司や同僚、クライアントといった立場や考え方の異なる人々と協業する上で、相手の真意を引き出す傾聴力や、立場を理解する共感力も、信頼関係を築くためには必要になります。
リーダーシップを発揮できる
年齢や役職に関わらず、プロジェクト全体の成功に向けて主体的に行動するリーダーシップも求められます。与えられたタスクに責任を持つことはもちろん、チームメンバーやクライアントに積極的に働きかけ、当事者意識をもって課題解決を推進する姿勢が評価される傾向にあります。
ビジネスレベルの英語力が身についている
グローバルファームであるマッキンゼーでは、ビジネスレベルの英語力も必須のスキルです。国境を越えてプロジェクトチームが編成されることも多く、英語での議論や資料作成が必要になる場面は少なくありません。
面接も英語で実施されるため、英語力に不安がある場合は入社前にキャッチアップしておく必要があります。
マッキンゼーへの転職を成功させるためのポイント
世界最難関のファームへの転職を勝ち取るために必要な準備と戦略について解説します。
関連記事:マッキンゼーに転職するには?難易度や選考の流れと対策、注意点
職務経歴書や履歴書で実績を具体的にアピールする
書類選考を突破するには、これまでの実績を具体的かつ論理的に記述することが重要です。具体的な数字やエピソードを用いて実績を示すことはもちろん、自身の経験や強みが、マッキンゼーでどのように活かせるのか、一貫性のあるストーリーを構築する必要があります。
また、結論を先に書く、誤字脱字をなくすといった基本的な部分でミスがあると評価が下がる可能性もあるため、細部まで注意を払いましょう。
面接で問われるポイントを把握しておく
マッキンゼーの面接では、志望動機や過去の経験について深く掘り下げられます。「なぜコンサルタントなのか」「数あるファームの中で、なぜマッキンゼーなのか」といった問いに対し、自身の言葉で論理的に説明できるように準備しておきましょう。
同社の公式サイトでは面接における評価ポイントや具体的な質問例が示されています。これらの項目について、自身の経験と結びつけて語れるようにしておきましょう。
| 評価される能力 |
面接での質問例 |
| Connection(協調性) |
あなたと正反対の意見を持つ人と働いていた際に直面した困難な状況について説明してください。 |
| Drive(意欲・主体性) |
限られた時間の中で、自分のコンフォートゾーンを超えた目標を達成しなければならなかった時のことについて話してください。 |
| Leadership(リーダーシップ) |
様々な経歴を持つ人々と効果的に協力し合えた時のことについて教えてください。 |
| Growth(成長・適応力) |
これまでに大きな変化が起こった時のこと、または先が見通せない状況に置かれた時のことをお話ください。 |
ケース面接に対して徹底的な対策をする
マッキンゼーの選考では、候補者の問題解決能力を評価するために、複数回にわたりケース面接が実施されます。ケース面接では、回答の正しさだけでなく、結論に至るまでの思考プロセスを、面接官との対話を通じて分かりやすく説明する能力が評価されます。
ケース面接の対策は独学では限界があるため、専門的な対策が必要不可欠です。転職エージェントとの模擬面接などを通じて、マッキンゼー特有の出題傾向や評価ポイントを深く理解し、実践的なトレーニングを積むことが、内定獲得への鍵となります。
戦略コンサルティングファームへの転職ならタイグロンパートナーズにお任せ
マッキンゼーのようなトップクラスの戦略コンサルティングファームの選考を突破するためには、ファームの特性を理解した上で、書類選考や面接で自身の経験・スキルを効果的にアピールする必要があります。
タイグロンパートナーズは、年収1,000万円以上のハイクラス転職に特化し、コンサルティングファームへの転職支援にも豊富な実績がある転職エージェントです。
戦略コンサルティングファームの採用動向や内部事情に精通した専門性の高いコンサルタントが所属しており、書類添削や難易度の高いケース面接の対策まで質の高いサポートを提供しています。
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