アクセンチュアは、テクノロジーを駆使してクライアントの変革を実現する世界最大級のコンサルティングファームです。戦略立案からシステム開発、運用までを一気通貫で支援できる点が強みで、世界中に9,000社以上のクライアントを抱えています。圧倒的な成長環境と高い報酬水準から転職市場での人気も高く、選考を通過するためには入念な対策が必要です。
本記事では同社の強みを深掘りするとともに、BIG4との違いや転職市場での人気の理由、転職成功に向けた戦略などを詳しく解説します。
アクセンチュアとは?
アクセンチュアがどのような企業なのか、その規模感と目指す方向性について解説します。
関連記事:アクセンチュアはどんな会社?事業内容や強み・社風を詳しく解説
基本情報
| 設立年 |
1962年 |
| 所在地 |
〒107-8672 東京都港区赤坂1-8-1
赤坂インターシティAIR |
| 代表者 |
代表取締役社長 江川 昌史 |
| 資本金 |
3億5,000万円 |
| 従業員数 |
約2万7,000名(2025年6月1日時点)
※グローバルグループ全体では約77万9,000名(2025年8月末時点) |
| 沿革 |
1962年:会計事務所アーサー・アンダーセンの日本事務所が設立
1989年:日本事務所のコンサルティング部門が「アンダーセン・コンサルティング」として独立
2001年:アンダーセン・コンサルティングからアクセンチュア株式会社に社名変更 |
出典:アクセンチュア株式会社|会社概要・地図
アクセンチュアのパーパスと360度バリュー
アクセンチュアはパーパスとして「テクノロジーと人間の創意工夫で、まだ見ぬ未来を実現する」ことを掲げています。
この理念を具現化する仕組みが「360°バリュー」です。従来のコンサルティングファームが重視してきた財務的価値に加え、人材価値や社会的価値などを高める全方位的なアプローチにより、クライアントの持続的な成長を目指しています。
アクセンチュアの4つの強み
数あるコンサルティングファームの中で、アクセンチュアが持つ独自の強みを4つのポイントにわけて解説します。
①テクノロジーを核とした企業変革力
アクセンチュア最大の強みは、デジタルに対する深い知見と技術力を基盤とした、ビジネス変革の圧倒的なスピードと、構想を確実に形にする実現力です。
同社のグローバルネットワークに蓄積された膨大な知見と、世界中の専門家と瞬時に連携できる体制が、他社を圧倒する対応スピードを生み出し、クライアントの信頼を勝ち取っています。
さらに5つの事業領域(ストラテジー & コンサルティング、ソング、テクノロジー、オペレーションズ、インダストリーX)が緊密に連携し、クライアントのあらゆる課題に対して戦略立案からシステム開発、業務改革までワンストップで対応することで、描いた構想を形にすることを目指しています。
東京電力の次世代AIコンタクトセンター構築や、国土交通省の3D都市モデル「Project PLATEAU」の実現など、社会的にインパクトの大きい最先端のデジタルトランスフォーメーションを多数成功させている実績が、圧倒的な変革実現力を証明していると言えるでしょう。
出典:アクセンチュア株式会社|東京電力エナジーパートナー:次世代型AIコンタクトセンター
出典:アクセンチュア株式会社|国土交通省:Project”PLATEAU”
②強固な顧客基盤と圧倒的な実績
「Fortune Global 500」選出企業の75%以上、世界中で9,000社以上のクライアントと長期的な信頼関係を構築している点がアクセンチュアの強みです。グローバル企業だけでなく、各国政府や公的機関のDXパートナーとして、社会的に重要なプロジェクトを多数手がけています。
日本においてもその成長は著しく、アクセンチュアジャパンは11年連続で2桁成長を記録しています。また、ビジネス誌FORTUNEの「世界で最も賞賛される企業」に20年以上連続で選出されるなど、グローバルで確固たる評価を確立しています。
③多様性を強みに変えるインクルーシブな企業文化と制度
アクセンチュアでは、性別・国籍・性的指向などを問わず、多様なバックグラウンドをもつ人材が活躍できるインクルーシブな企業文化が醸成されています。
20%を超える女性管理職比率(2023年9月時点)や、LGBTQ+に関する取り組みを評価する「PRIDE指標」における最高位「ゴールド」の連続受賞など、実績が伴っている点が特徴です。
多様な視点や価値観が組み合わさることが、複雑な経営課題に対して革新的な解決策を生み出す原動力となっています。
④優秀な人材を輩出する独自のカルチャーと教育制度
社員の成長を加速させる企業文化と、それを支える具体的な制度もアクセンチュアの強みです。
同社には役職や年次に関わらず、誰もが率直に意見を交わす「Think Straight, Talk Straight」という文化が根付いており、若手社員であってもプロジェクトに対して積極的に提案や改善案を出すことが推奨されています。
また、全世界の成功事例やノウハウが蓄積された「ナレッジエクスチェンジ」と呼ばれるデータベースを活用することで、常に最新の知見を学び、自身の業務に活かすことが可能です。
さらに、全世界共通で提供される豊富なトレーニングプログラムや、柔軟な社内異動を可能にする「キャリアズ・マーケットプレイス」といった制度が、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成を強く後押ししています。
アクセンチュアに弱みはある?
アクセンチュアの構造的な弱みや、転職希望者が留意すべき点について解説します。
「戦略」領域におけるブランドイメージ
MBB(マッキンゼー、BCG、ベイン)などのトップ戦略ファームと比較すると、「戦略策定」の専門ファームというイメージは相対的に弱いとされています。実行力やITに強みを持つ反面、純粋な経営戦略の策定においては、マッキンゼーやBCGなどの戦略特化型ファームと競合となるケースが少なくありません。
しかし、アクセンチュアには「ストラテジーグループ」と呼ばれる戦略部門があり、他の総合コンサルファームに比べると優位になるケースもあります。同部門では積極的にコンサルタントの採用を行っていることからも、戦略領域でも着実に存在感を高めていると言えるでしょう。
大規模組織ゆえの課題
全世界で77万名を超える巨大組織であることが、デメリットになる場合もあります。例えば年間数千名規模の急激な人員拡大に伴い、社員一人ひとりの質の維持や企業文化の浸透が課題となる可能性が考えられます。特に急成長期においては、採用基準の維持や新入社員への教育が追いつかず、組織全体のパフォーマンスに影響を及ぼすこともあるでしょう。
また、組織が大きくなるほど部門間の調整コストが増大し、意思決定のスピードが鈍化する可能性もあります。
アクセンチュアとBIG4コンサルの違い
同じ総合系コンサルティングファームとして比較されることが多い、BIG4コンサルとの違いを解説します。
①成り立ちと事業の軸足
BIG4コンサルは「Deloitte(デロイト)」「PwC(プライスウォーターハウスクーパース)」「EY(アーンスト・アンド・ヤング)」「KPMG(ケーピーエムジー)」の4つの世界的な会計事務所(BIG4)を母体としており、監査業務を通じて築いたクライアントとの信頼関係を活かしながらコンサルティング事業を発展させてきました。監査や会計、税務、リスク管理といった領域に強みを持っています。
アクセンチュアも、かつてBIG4と並んで世界5大会計事務所と呼ばれた「アーサー・アンダーセン」を母体としている点は共通しています。しかし、創業以来テクノロジーをビジネス変革の核と位置づけ、ITを軸足としたコンサルティングで独自のポジションを築いている点がBIG4との違いです。
②組織規模と採用方針
| 会社名 |
日本の社員数 |
| アクセンチュア株式会社 |
約2万7,000名(2025年6月1日時点) |
| PwCコンサルティング合同会社 |
約5,130名(2024年6月末時点) |
| デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 |
4,890名(2025年5月末時点) |
| EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 |
4,310名(2025年7月1日時点) |
| KPMGコンサルティング株式会社 |
2,298名(2025年7月1日時点) |
BIG4は専門分野での実績がある人材や高学歴層の採用が中心で、採用数は比較的少なめです。
一方アクセンチュアは、カルチャーフィットを重視し、多様なバックグラウンドを持つ人材を採用することが多く、AIやデータ分析への関心・経験が評価されやすい傾向があります。
なお、2025年9月にアクセンチュア本体における約1,300億円規模のリストラ計画が報じられましたが、業績が好調な日本法人への影響は限定的であり、引き続き積極的な採用が行われるものとみられています。
アクセンチュアが転職市場で人気の理由
多くの転職者がアクセンチュアを目指す背景には、他社にはない圧倒的な成長機会や、魅力的な待遇があります。ここでは、その具体的な理由を3つのポイントに分けて解説します。
①圧倒的な成長環境
アクセンチュアが人気を集める理由の一つに、社員が圧倒的に成長できる環境があります。若手のうちから大規模プロジェクトの重要な役割を任される機会が多く、多様な案件に携わる中で、実践的なスキルをスピーディーに習得可能です。
また、同社は人材開発・トレーニングに毎年10億ドル以上の投資をしており、24,000コース以上の豊富なオンライントレーニング・プログラムや海外メンバーと合同のオンライン研修など学びの機会が豊富に用意されています。
さらに「キャリアズ・マーケットプレイス」と呼ばれる社内公募制度を活用すれば、海外オフィスを含む「社内転職」によって、自身の志向に合わせた多様なキャリアを自律的に築くことが可能です。有志の勉強会やオンラインコミュニティも活発で、社員同士がナレッジを共有する文化が個々の成長を後押ししています。
②高い年収水準
アクセンチュアの年収目安は850〜1,000万円程度とされています。実力主義の報酬体系であり、成果が報酬に反映されやすいため、20代〜30代で年収1,000万円以上を目指すことも十分に可能です。
| 役職 |
年収(目安) |
| アナリスト/シニア・アナリスト |
600万円〜750万円 |
| コンサルタント |
800万円〜1,200万円 |
| アソシエイト・マネジャー |
800万円〜1,400万円 |
| マネジャー |
1,100万円〜1,700万円 |
| シニア・マネジャー |
1,500万円〜2,100万円 |
| アソシエイト・ディレクター/プリンシパル・ディレクター |
1,800万円〜2,500万円 |
| マネジング・ディレクター |
2,400万円以上 |
関連記事:アクセンチュアの年収は?役職・職種・年代別に徹底解説
③ワークライフバランス向上への取り組み
アクセンチュアは、「人材こそが競争優位の源泉である」という考えのもと、ワークライフバランスの向上にも積極的に取り組んでいます。
2015年から「Project PRIDE」と呼ばれる独自の働き方改革を推進しており、残業ルールの厳格化や18時以降の会議を原則禁止にしたほか、短日・短時間勤務制度や在宅勤務制度を全社で展開しました。その結果、一人当たりの残業時間は平均1時間未満に減少し、離職率も実施前の約半分に低下するといった具体的な成果を上げています。
また、各種休暇(有休休暇、シックリーブ、リフレッシュ休暇など)や手厚い育児・介護支援制度(ベビーシッター補助、育児コンシェルジュサービスなど)、福利厚生が充実している点も魅力です。
出典:アクセンチュア株式会社|アクセンチュア独自の働き方改革「Project PRIDE」
アクセンチュアへの転職難易度と採用の実態
アクセンチュアへの転職がどのくらい難しいのか、どのような人材が求められているのかを解説します。
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採用には積極的だが転職難易度は高め
DX需要の高まりを背景に、アクセンチュアは年間1,000名規模の採用を行っており、採用意欲は非常に旺盛です。特にAI・データサイエンス・クラウド関連の専門人材や、企業のデジタル変革を推進できるコンサルタントへの需要が高まっています。コンサルタントとしての資質があると判断されれば、コンサルティング未経験者にも門戸は開かれていると言えるでしょう。
しかし、世界的な人気企業であるため応募者も多く、その中で内定を獲得するのは容易ではありません。選考では論理的思考力やプロフェッショナルマインドなど、コンサルタントとして高いレベルが求められるため、転職難易度は高いと言えます。
求める人物像
アクセンチュアは、同社が掲げる「未来のアクセンチュアに必要なDNA」を持つ人材を求めています。
- 背伸びをしてでも目標へ手を伸ばさずにはいられない
- チャレンジに、手加減をしない
- 自分も会社も世の中までも、変えたいと望む
- 常に次のステージを見据え、自らの開拓に貪欲である
- タフな状況も、先頭に立ち楽しめる情熱がある
- あるべき姿を追求するためには、立場や関係性を超えた主張を厭わない
- 信念にもとづき、主張し、実際にやりとげる
- チームワークの可能性を信じる
- 多様な文化、相違する意見の中にこそ宝石があると知っている
- 常に誠実さを失わず、言行一致の気概がある
現状に満足せず常に高い目標を掲げる成長意欲、困難な状況でも主体的に周囲を巻き込みやり遂げるリーダーシップ、そして多様性を尊重しチームで成果を出す協調性を兼ね備えた人物が求められています。
出典:アクセンチュア株式会社|求める人材像 ~未来のアクセンチュアに必要なDNA~
アクセンチュアへの転職を成功させるためのポイント
難易度の高いアクセンチュアへの転職を実現するために、不可欠となる準備と戦略について解説します。
関連記事:アクセンチュアへ転職するには?難易度や年収、選考方法を細かく解説
①「なぜアクセンチュアか」を論理的に語る
面接では「なぜコンサル業界なのか」「数あるファームの中でなぜアクセンチュアなのか」「現職や今の環境では、やりたいことができないのか?」といった形で転職理由を深く掘り下げて質問されることが多くあります。
説得力のある回答をするためには、同社の強みと自身のキャリアプランとの接点を明確にし、一貫性のある志望動機を作り上げることが不可欠です。そのためには、公式サイトなどの表面的な企業研究に留まらず、OB・OG訪問や転職エージェントから内部情報を入手するなどの方法で、ファームへの理解を深める必要があります。
②カルチャーフィットとデジタル領域への深い理解を示す
アクセンチュアの選考では、同社が掲げる価値観への共感や、事業の軸であるデジタル分野への深い理解と情熱を示すことが、他候補者との差別化につながります。
同社が掲げる「未来のアクセンチュアに必要なDNA」や「Think Straight, Talk Straight」といった価値観を、自身の経験と結びつけて具体的に語れるように準備しましょう。
特にシステム導入、部門横断型の業務改善、新規ビジネス開発、チームマネジメントといった非定型業務の経験がある場合は、強力なアピール材料となります。どのような役割を担い、どのような成果(貢献)を生んだのかを論理的に説明できるようにしておきましょう。
③転職エージェントを最大限に活用する
アクセンチュアのような選考難易度の高いコンサルティングファームへの転職を目指す際は、転職エージェントのサポートを受けるのが効果的です。
コンサルティング業界に精通した転職エージェントからは、ファームの採用動向や内部情報など、独力では入手することが難しい情報も得られるでしょう。また、職務経歴書の添削や模擬面接などを通じて、自身の強みや弱みを客観的に把握し、効果的なアピール方法を学ぶこともできます。
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