ベイカレクローンとは、日系大手コンサルティングファーム「ベイカレント」と同様の戦略で、急成長を遂げているコンサルティングファーム群の俗称です。国内のDX需要の高まりを背景に、コンサルティング業界において急速に存在感が増しています。
本記事では、ベイカレクローンの意味や各ファームの特徴、躍進の理由などを解説します。売上・年収・働きやすさといった各種ランキングも紹介しますので、転職を検討する際の参考としてお役立てください。
ベイカレクローンとは?
ベイカレクローンとは、日系大手コンサルティングファーム「ベイカレント」と類似したビジネスモデルや組織運営方法を採用して急成長を遂げているコンサルティングファームの総称です。
ベイカレクローンの代表的なファーム一覧
ベイカレクローンとして名前が挙がることが多いファームは以下の通りです。
| ファーム名 |
設立年 |
資本金 |
上場区分 |
概要 |
| ライズ・コンサルティング・グループ |
2010年 |
1億7,660万円 |
東証グロース |
戦略立案から実行支援まで一貫したハンズオンの支援が特徴のファーム。クライアント企業の成長戦略の実行と成果創出に徹底的にこだわっている |
| ビジョン・コンサルティング |
2014年 |
1億円 |
非上場 |
「業界の常識を覆すファームを創る」という想いのもと設立。コンサルティング事業、新規事業推進、グローバル展開の3本柱で事業を展開している |
| ノースサンド |
2015年 |
3,000万円 |
東証グロース |
人間力をベースにしたコンサルティングが特徴。代表の前田知紘氏が「ベイカレクローンと呼ばれても構わない」と公言するほど、ベイカレントのモデルを明確に踏襲している |
| Dirbato |
2018年 |
1億円 |
非上場 |
単なるIT導入にとどまらず、クライアントと並走する「伴走型」のサービス提供を重視。ITコンサルティング事業とインキュベーション事業に注力 |
出典:株式会社ライズ・コンサルティング・グループ|会社概要
出典:株式会社ビジョン・コンサルティング|会社概要
出典:株式会社ノースサンド|会社概要
出典:株式会社Dirbato|COMPANY
ベイカレクローンに共通する特徴
ベイカレクローンと呼ばれる企業群には、ビジネスモデルや組織に関して共通する特徴があります。
- 「ワンプール制」によるアサイン
- 営業とコンサルティングを別部隊にしている
- IT・DX領域に強みがあり、実行支援がメイン
上記は、本家であるベイカレントにも共通する特徴です。
ベイカレクローン躍進の理由
ベイカレクローンが急速に業績を伸ばし、注目されている理由を深掘りして解説します。
理由①:国内企業のDX・コンサルティング需要が増加
ベイカレクローン躍進の最大の要因は、国内企業のDX推進ニーズの急速な拡大です。デジタル技術の進化とビジネス環境の変化により、全産業においてDXが喫緊の経営課題となっています。
経済産業省の「DXレポート」では、既存システムの老朽化や複雑化により、2025年以降、年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性が指摘されました。いわゆる「2025年の崖」問題です。多くの企業がこの課題に直面し、DX推進のための外部支援ニーズが急増しています。
ベイカレクローンは、IT・DX領域での実行支援に強みをもっているのが特徴です。戦略立案だけでなく、システム導入やPMO支援など、実際の変革を推進する実行フェーズまで深く関与することが多くなっています。
理由②:積極的な採用戦略による人材の確保
ベイカレクローンは、SIer出身者や事業会社出身者など、コンサルティング未経験者をポテンシャル採用することで、急速に人員を拡大してきました。
従来の大手ファームでは、トップ大学院やMBA修了者、他ファームでの実務経験者の採用が中心で、採用ターゲットは限定的でした。これに対してベイカレクローンは、必要な業務知識やITスキルをもつ人材であれば、コンサルタント未経験でも積極的に採用する方針を掲げています。
この戦略により、コンサルティング業界全体で人材不足が課題となる中、従来のファームでは採用ターゲットにならなかった層の取り込みに成功しています。
理由③:価格優位性と日系企業ならではの意思決定スピード
ベイカレクローンは、BIG4のようなグローバルファームと比較して価格面での競争力があります。
グローバルファームでは海外本社へのロイヤリティ(ブランド使用料など)が発生しますが、日系ファームであるベイカレクローンではこのコストが発生しません。その分を価格に転嫁できるため、クライアントの予算に応じた柔軟な単価設定でのサービス提供ができます。
加えて、意思決定が国内で完結する点も強みです。グローバルファームでは、経営の重要事項について海外本社の承認が必要となるケースがあります。これに対してベイカレクローンは、市場の変化やクライアントの急な要望に対し、スピーディに対応できます。
理由④:「ワンプール制」と「分業体制」による生産性の高さ
ワンプール制と営業・コンサルティングの分業体制による、組織全体の生産性の高さも、ベイカレクローン躍進の理由の一つです。
従来のコンサルティングファームでは、業界別や機能別に部門を分け、コンサルタントを特定の専門領域に配置するマトリックス型組織が一般的でした。これに対してベイカレクローンでは、コンサルタントを特定の業界やソリューションで固定せず、一つの部門(ワンプール)で管理します。ワンプール制の下では、プロジェクトの需要に応じて最適な人材を柔軟にアサインできるため、コンサルタントの「待機期間」を最小限に抑えることが可能です。
また、一般的なコンサルティングファームではシニアマネージャー以上の役職者が営業とプロジェクト推進の両方を担います。一方、ベイカレクローンでは、営業専任部隊が案件獲得を担当し、コンサルタントはデリバリーに集中することで、組織全体の生産性を最大化しています。
2つの仕組みを徹底することで、ベイカレクローン各社は「大量に採用し、高い稼働率でプロジェクトにアサインし、売上を最大化する」という成長サイクルを確立しているのです。
ベイカレクローンをランキングで徹底比較
ベイカレクローンの主要各社を、様々な指標でランキング形式で比較します。転職先を検討する際の参考にしてください。
売上規模ランキング
| ランキング |
ファーム名 |
売上高 |
| 1位 |
Dirbato |
約430億円(2025年3月時点) |
| 2位 |
ノースサンド |
約164億円(2025年1月時点) |
| 3位 |
ビジョン・コンサルティング |
約106億円(2024年1月時点) |
| 4位 |
ライズ・コンサルティング・グループ |
約77億円(2025年2月時点) |
出典:株式会社Dirbato|COMPANY
出典:株式会社ノースサンド|新規上場申請のための有価証券報告書
出典:株式会社ビジョン・コンサルティング|中途採用
出典:株式会社ライズ・コンサルティング・グループ|経営成績
Dirbatoは設立時期が他社に比べて遅いにも関わらず、売上規模では圧倒的なトップです。2018年設立から2025年3月時点で430億円という成長スピードは、ベイカレクローンだけでなくコンサルティング業界全体で見てもトップクラスといえます。
社員数ランキング
| ランキング |
ファーム名 |
社員数 |
| 1位 |
ノースサンド |
1,525名(2025年7月末時点) |
| 2位 |
Dirbato |
1,445名(2025年3月時点) |
| 3位 |
ビジョン・コンサルティング |
1,373名(2025年11月14日時点) |
| 4位 |
ライズ・コンサルティング・グループ |
372名(2025年8月末時点) |
※各社公式サイトやOpenworkなどの口コミサイトの情報をもとに作成
上位3社はいずれも従業員数1,300名超と、ほぼ同規模です。ノースサンドは2022年の335名から約3年で4倍超に拡大するなど、驚異的な拡大を実現しています。
ライズ・コンサルティング・グループは規模で他社に劣るものの、1,000名体制の実現を目指して積極的な拡大を志向しています。
年収ランキング
| ランキング |
ファーム名 |
年収目安 |
| 1位 |
ライズ・コンサルティング・グループ |
約1,183万円 |
| 2位 |
Dirbato |
約729万円 |
| 3位 |
ビジョン・コンサルティング |
約695万円 |
| 4位 |
ノースサンド |
約690万円 |
※各社の有価証券報告書やOpenworkなどの口コミサイトの情報をもとに作成
ライズ・コンサルティングは上場企業として優秀な人材を獲得するため、競争力ある報酬体系にしていると考えられます。また、少数精鋭の組織体制が一人あたりの売上高を高め、結果として高年収につながっている側面もあるでしょう。ただし、ベイカレクローンはエンジニアも多く在籍しており、職種・役職によって年収レンジには幅があります。
なお、ベイカレントの2025年2月期における平均年収は1,349.8万円です。
関連記事:ベイカレント 年収
激務度(働きやすさ)ランキング
| ランキング |
ファーム名 |
平均残業時間 |
| 1位 |
ビジョン・コンサルティング |
16.6時間 |
| 2位 |
ノースサンド |
20.0時間 |
| 3位 |
ライズ・コンサルティング・グループ |
26.0時間 |
| 4位 |
Dirbato |
30.4時間 |
※各社公式サイトやOpenworkなどの口コミサイトの情報をもとに作成
ビジョン・コンサルティングは長時間労働をよしとしない文化が根付いており、残業時間は短めです。他社も働き方改革に取り組んでおり、業界平均(一般的に40〜60時間程度)と比べると残業は少なめと言えるでしょう。
ただし、いずれのファームもプロジェクトの内容や繁忙期によっては長時間労働となる可能性があります。
未経験からのコンサル転職でチェックすべきポイント
急成長中のベイカレクローンは、未経験からコンサルタントへのキャリアチェンジを目指す方にとって魅力的な選択肢の一つです。入社後に後悔しないために、以下のポイントを事前に押さえておきましょう。
関連記事:コンサルタントに転職するには?未経験者に必要なスキル・経験と選考対策
注意点①カルチャーフィット
ベイカレクローン各社には、独自の文化・社風があります。自身の価値観とカルチャーがマッチするか、見極めが重要です。
例えば、ノースサンドが全社員に共有している「8Rules」の中では「スピードで圧倒しよう」「圧倒的な努力で驚かす」といった行動指針が掲げられています。ハードワークを厭わず、スピード感と熱量をもって仕事に取り組める方にフィットする文化と言えるでしょう。
一方、ビジョン・コンサルティングは、既存コンサルティング業界の悪習を打破することを掲げて設立されました。従来の「Up or Out」という厳しい文化ではなく、「All Up(全員で成長する)」の文化を大切にしています。長期的に腰を据えてキャリアを築きたい方、協働して持続的な成長環境を求める方に適した組織といえるでしょう。
各社のホームページや採用サイト、OpenWorkなどの口コミサイトを通じて、カルチャーを事前にリサーチし、自身の志向と合致するかを確認しましょう。
注意点②案件の構成
「コンサルタント」と一口にいっても、業務内容はファームや案件によって様々です。
ベイカレクローン各社は、戦略案件から実行支援、PMO、システム導入まで幅広く手掛けているため「戦略立案に関わりたい」という志向で入社しても、実際にはPMOや実行支援がメインとなる可能性も認識しておく必要があります。
ファームによって、案件の比率は大きく異なります。転職エージェントなどを通じて、実際の案件構成や、自身の志向と一致しているかを事前に確認しておきましょう。
注意点③コンサル未経験者への教育・研修体制
コンサルティング未経験で転職する場合、入社後にコンサルティングの基礎スキル(思考法、ドキュメント作成、ファシリテーションなど)を、いかに早くキャッチアップできるかがその後のキャリアを左右します。
プロジェクト現場でのOJTだけでなく、入社時研修や役職別研修のような体系的な育成プログラムや、メンター制度のように、実務やキャリアについて先輩社員が伴走してサポートする仕組みが整っているかを確認しましょう。
ベイカレクローン各社は、コンサル未経験者の採用に積極的であることから、これらの教育・研修体制は整備されている傾向にあります。
注意点④年収以外の待遇面
年収だけでなく、福利厚生や働き方支援の制度も、長期的なキャリアを築く上で見逃せないポイントです。ベイカレクローン各社は、各種社会保険の完備はもちろん、企業型確定拠出年金(DC)制度や、スキルアップを支援する資格取得補助制度などを導入しているコンサルティングファームが多く見られます。
また独自の制度を設けているファームもあり、例えば、上場企業であるライズ・コンサルティング・グループでは従業員持株会が用意されています。また、ノースサンドには海外の大学・大学院への留学を支援する「海外留学制度」など、キャリア支援に直結するユニークな制度があります。制度の詳細は、企業の公式サイトだけでは把握しきれない部分もあるため、転職エージェントを通じて最新の情報を確認するとよいでしょう。
注意点⑤選考フローと評価基準
選考フローや評価基準はコンサルティングファームによって異なるため、事前に把握し、的確な対策を講じておきましょう。
特に注意すべきは、ケース面接の有無です。ケース面接とは「◯◯の売上を2倍にするには?」といった具体的なビジネス課題が与えられ、その場で論理的に解決策を考え、面接官に説明する形式の面接で、論理的思考力や問題解決能力、コミュニケーション能力などが総合的に評価されます。
例えばライズ・コンサルティング・グループでは、一次面接・二次面接・最終面接の各段階でケース面接が実施される可能性があります。他社でも応募するポジションによってはケース面接が実施される場合があるため、参考書や転職エージェントとの模擬面接を通じて、典型的な解法フレームワークを学び出題形式に慣れておくとよいでしょう。
また、ケース面接の有無に関わらず、自身の経験や価値観が、志望するコンサルティングファームが求める人物像とマッチしていることをアピールする必要があります。過去の経験を棚卸しし、「どのような課題を解決してきたか」「その経験がコンサルタントとしてどう活かせるか」を明確にした上で、志望するファームの強みやカルチャーと結びつけて説明できるようにしておきましょう。
未経験からのコンサル転職はタイグロンパートナーズに相談
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