労働環境の厳しさや求められるスキルの高さなどから、FASに対してネガティブなイメージを持つ人も一定数います。「FASへの転職はやめとけ」という声を耳にし、転職を迷っている方もいるのではないでしょうか。しかし、企業の経営判断に深く関与できる点や報酬水準の高さなど、他の業界では得られない魅力があります。
本記事では、FASに対してネガティブな意見が多い理由やFASで働く魅力、向いている人の特徴、経営コンサルティングファームとの違いについて解説します。
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そもそもFASとは?
FASは「Financial Advisory Services」の略で、企業の財務に関する専門的なアドバイザリーサービスの総称です。M&Aアドバイザリー、デューデリジェンス(買収対象企業の財務調査)、バリュエーション(企業価値評価)、事業再生支援、フォレンジック(不正調査)などが主な業務領域にあたります。
投資銀行が証券業務を通じてM&Aの仲介や資金調達を手がけるのに対し、FASは証券業務を行わず、財務・会計の専門知識を武器にクライアントの意思決定を支援する点が特徴です。
事業承継ニーズの増加やクロスボーダーM&Aの活発化を背景に、FASの活躍領域は広がりつつあります。
関連記事:FASとは?コンサル・投資銀行との違い、仕事内容、キャリアの魅力を徹底解説
FASは「やめとけ」と言われる5つの理由
転職を検討する上で知っておくべき、FASのデメリットについて解説します。
多忙でワークライフバランスを保つのが難しい
FASの業務はプロジェクト単位で進行し、M&Aや事業再生といった案件はクライアントの都合に合わせたスケジュールで動きます。買収や売却には明確な期限が設定されているため、納期が迫ると集中的に稼働せざるを得なくなり、深夜・休日対応が発生することもあります。
さらに、FASは少数精鋭のチーム体制で案件を担当する傾向があり、コンサルタント一人あたりの業務量が多くなりがちです。口コミサイトOpenWorkのデータによると、BIG4系FASの平均残業時間は月50〜60時間程度で推移しており、繁忙期には月80時間を超える場合もあるとされています。
| ファーム名 |
残業時間(目安) |
| KPMG FAS |
60.7時間 |
| PwCアドバイザリー |
51.0時間 |
| デロイト トーマツ |
50.1時間 |
| EYストラテジー・アンド・コンサルティング |
44.1時間 |
※OpenWorkなどの口コミサイトをもとに作成
プロジェクトの合間には比較的落ち着いた期間が訪れるものの、メリハリの激しい働き方に適応する必要があるため「激務でつらい」との声が存在します。ただし、近年はFAS業界全体で働き方改革が進んでおり、残業時間の管理を厳格化したり、休暇取得を推奨したりするFASも増えています。
責任とプレッシャーが大きい
FASが担うM&Aや事業再生は、クライアント企業の存続や成長戦略を左右する案件です。取引金額は数十億円から数百億円規模に達することも珍しくなく、バリュエーションやデューデリジェンスにおけるわずかなミスが数億円単位の損失につながるリスクをはらんでいます。
また、経営層への提言や交渉相手とのやり取りが日常的に発生するため、常に高い水準のアウトプットを求められます。このような責任やプレッシャーの重さが「FASはやめた方がいい」と言われる一因となっているようです。
しかし、責任の大きさは達成感の大きさと表裏一体でもあります。大型案件をクロージングまで導いたときの達成感は、FASならではの魅力とも言えるでしょう。
専門的なスキルが求められる
FASの業務では、財務会計、税務、法律、企業価値評価(バリュエーション)といった高度な専門知識が不可欠です。加えて、最新の法規制や会計基準の変更に対応できるよう、日々の自己研鑽も欠かせません。
そのため、未経験者でもポテンシャルが評価されて入社できる可能性はあるものの、キャッチアップに相当な努力と時間が必要です。業務時間外での自主的な学習が必要になるため、負荷の高さに悩む人も少なくありません。
希望する業務ができない場合もある
「M&Aアドバイザリーに携わりたい」「バリュエーションの専門性を磨きたい」といった明確な目標を持ってFASに転職する方は多いです。しかし、ローテーション制度を導入し、半年程度で複数の部署を横断的に経験させる方針のコンサルティングファームもあります。そのため、入社後に希望どおりの配属が叶わないケースもあります。
入社前に配属方針やチーム構成を十分にリサーチしなければ、想定とのギャップに悩まされる可能性があります。
所属する組織によって環境が大きく異なる
FASと一口にいっても、組織によって規模や得意領域、カルチャーは大きく異なります。
例えば、少数精鋭で専門性の高い案件に注力するコンサルティングファームもあれば、数千名規模の組織でM&Aからフォレンジック、事業再生まで幅広い領域をカバーするコンサルティングファームもあります。
自分の志向やキャリアプランに合ったコンサルティングファームを選ぶためにも、口コミなどを通じて入念に情報収集をしておきましょう。
FASで働く5つの魅力とは?
FASとして働く5つのメリットを解説します。
企業の重要な意思決定に深く関与できる
FASのコンサルタントは、M&Aや事業再生といった企業の命運を左右する局面で、経営層のパートナーとして貢献できます。
例えば、M&Aアドバイザリーでは買収戦略の策定段階から関与し、デューデリジェンスによるリスクの洗い出し、バリュエーションにもとづく買収価格の交渉支援、そしてPMI(M&A後の統合支援)まで一貫してクライアントに伴走します。
クライアント企業の変革を財務面から支えられるという点で、大きな達成感を得られるのはFASならではの魅力と言えるでしょう。
市場価値の高い専門性が身につく
FASで培われるバリュエーション、財務モデリング、デューデリジェンスといったスキルは、金融業界はもちろん、事業会社の経営企画やCFOポジションなど幅広いフィールドで高く評価されます。プロジェクト単位で案件を次々と経験するため、短期間で集中的にスキルを磨ける点も特徴です。FASでの経験は、次のキャリアを切り拓く大きな武器になるでしょう。
M&A市場の拡大で将来性が高い
FASの将来性を支えているのが、日本国内のM&A市場の持続的な拡大です。株式会社レコフのデータによると、2025年の日本企業が関わるM&A件数は5,115件で前年比10.4%増を記録しています。
この増加の背景には、中小企業の経営者の高齢化に伴う事業承継ニーズの急増、グローバル競争力の強化を目的とした業界再編、そしてスタートアップのM&Aやクロスボーダー案件の多様化などがあります。
中小企業庁の調査でも、M&Aを活用した事業承継は増加傾向にあることが報告されており、FASは今後も需要拡大が見込まれます。
出典:株式会社レコフ|マーケット情報- クロスボーダーM&A
出典:中小企業庁|事業承継を知る
高水準の報酬が得られる
高い専門性と厳しい業務に見合った報酬が得られる環境も、FASの魅力です。
以下の表は、BIG4系FASおよび主な独立系FASの平均年収をまとめたものです。
※各社の有価証券報告書またはタイグロンパートナーズ独自調査をもとに記載
20代後半から30代前半で年収1,000万円を超えるケースも少なくありません。日本の給与所得者の平均年収は478万円であるため、報酬水準はかなり高いと言えるでしょう。
出典:国税庁|令和6年分 民間給与実態統計調査
実力主義で年齢に関係なくキャリアアップできる
FASでは、年功序列ではなく成果と貢献度にもとづいた評価制度を採用しているケースが一般的です。プロジェクトでの成果がダイレクトに昇進や報酬に反映されるため、優秀な人材は年齢に関係なくスピーディーにキャリアアップできます。
自身の成長が目に見える形で評価・報酬に反映されるという点で、向上心のある人材にとってはモチベーションを維持しやすい環境と言えるでしょう。
FASへの転職を避けた方がいい人の特徴
FASのカルチャーや業務が合わない可能性がある人の特徴について解説します。
安定した環境で、決められた業務をコツコツこなしたい人
FASの業務はプロジェクトベースで進行するため、案件ごとに業務内容やクライアント、チーム構成が変わります。また、常に新しい課題への対応が求められることも多いです。ルーティンワークを好む人や、長期的に同じ業務を深掘りしたい人にとっては、短期間の環境変化がストレスになることもあるでしょう。
ワークライフバランスを優先したい人
M&Aや事業再生はクライアントの有事に対応する仕事であり、繁忙期の長時間労働は避けられません。買収のクロージング直前やデューデリジェンスの報告期限が迫るタイミングでは、土日や深夜の対応が発生する場合もあります。
プロジェクトの合間にまとまった休暇を取得できるコンサルティングファームも増えていますが、繁忙期と閑散期が生じることは避けられません。プライベートの予定を優先したいと考える人にとって、FASの働き方は大きな負担になる可能性があります。
思考力や分析力などに自信が無い人
FASの業務では、膨大なデータを整理・分析し、論理的に結論を導く力が求められます。例えばデューデリジェンスでは、買収対象企業の財務諸表を精査してリスクを洗い出し、その分析結果を経営層にわかりやすく伝えなければなりません。
数字への苦手意識がある人や、複雑な情報を構造的に整理する作業にストレスを感じる人は、FASの業務で苦労する場面が多くなります。データ分析や論理的な思考プロセスそのものを楽しめるかどうかが、FASとの相性を見極めるポイントになるでしょう。
FASへの転職が向いている人の特徴
FASで活躍できる人材の特徴や、FASとの親和性が高い経験・スキルについて解説します。
財務・会計の知識やM&Aへの関心がある人
FASの業務は財務・会計の専門知識が土台となるため、以下のような経験があると現場で直接活かせるスキルがあるとして評価されます。
- 監査法人での監査業務経験
- 銀行・証券会社での融資審査やM&A関連業務の経験
- 事業会社の経理・財務部門や経営企画部門での実務経験
資格や職務経験に加え、M&Aや企業再生に対する強い興味・関心があるかどうかも重要です。日頃からM&A関連のニュースに目を通し、「なぜあの買収が成立したのか」「どのようなシナジーが見込まれるのか」といった視点で考える習慣がある人は、FASの業務にスムーズに馴染めるでしょう。
PEファンドや投資銀行への転職を視野に入れている人
FASで培ったバリュエーションやデューデリジェンスのスキルは、PEファンドや投資銀行で高く評価されます。実際に、FASで3〜5年の経験を積んだ後にPEファンドや投資銀行へステップアップする人材は多く、これらの業界への足がかりとしてFASへの転職を目指す人は少なくありません。将来のキャリアアップを見据え、数年間のハードワークを受け入れられる人にとって、FASは理想的な環境と言えるでしょう。
コミュニケーション能力が高い人
クライアント企業の経営層との対話や、買収先・売却先との交渉が日常的に発生するFASでは、高いコミュニケーション能力をもつ人材が活躍しています。財務データの分析力だけでなく、複雑な内容を平易な言葉で伝えるプレゼンテーション力や、利害関係者の間で合意を形成する調整力は必要不可欠なスキルの一つです。
また、チームでプロジェクトを推進するため、協調性も重要です。公認会計士や弁護士、税理士といった異なる専門領域のプロフェッショナルと協働する場面も多いため、それぞれの知見を引き出しながらプロジェクトを前進させられる人材は、成果を上げやすいでしょう。
FASとコンサルティングファーム、どっちを選ぶべき?
FASとコンサルティングファームの違いを整理し、適性について解説します。
FASが合う人の特徴
FASが合うのは、財務・会計領域の専門性を追求したい人です。バリュエーションや財務モデリングといったスキルを武器に、M&Aや事業再生の現場で企業価値の向上に貢献したいという志向をもつ人にとって、FASは最適な環境と言えます。
また、長時間にわたる細かいデータ分析や、クライアントの財務状況を精緻に検証する業務が日常的に発生するため、集中力と根気も必要です。公認会計士や税理士などの資格を活かしてキャリアを築きたい場合や、将来的にPEファンドや投資銀行へのステップアップを視野に入れている場合にも、FASでの経験は大きなアドバンテージになるでしょう。
コンサルティングファームが合う人の特徴
経営コンサルティングファームが合うのは、財務領域に限らず経営課題全般に幅広く関わりたい人です。戦略立案や業務改革、DX推進など多様なプロジェクトに携わるなかで、業界構造やビジネスモデルを俯瞰し、ゼロベースで課題解決の打ち手を考える仮説構築力や発想力が求められます。
また、クライアント企業への提案にとどまらず実行支援まで伴走するケースが増えており、様々な部門やステークホルダーとの連携が欠かせません。FAS以上にコミュニケーション能力や調整力が問われる環境と言えます。
将来的に事業会社の経営企画や事業開発、起業など、ビジネス全般でキャリアを広げていきたい人にとって、経営コンサルティングファームで得られる経験は大きな強みになるでしょう。
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