企業の成長戦略を描き、経営課題に対する解決の支援を行う外資系戦略コンサルタント(以下、外資系戦略コンサル)は、多様なコンサルティングファーム(以下、コンサルファーム)の中でも報酬水準が高く、20代の若手でも実力次第で高収入を目指すことが可能です。
本記事では、外資系戦略コンサルの基礎知識や年収状況、役職ごとの役割などについて詳しく解説します。
外資系戦略コンサルファームの基礎知識
コンサルファームには戦略系やIT系、財務系など様々な分類があります。その中でも戦略コンサルファームは、クライアント企業の成長戦略に深く関わり、経営課題の解決を支援するのが特徴です。
ここでは、外資系戦略コンサルファームの基礎知識をお伝えします。
本社が海外にあるコンサルファーム
外資系とは、一般的に海外に本社のある企業が、日本に設立した支社や子会社のことを指します。
外資系コンサルファームと聞くと「成果が出ないと解雇される」といったイメージを持たれがちですが、国内にある支社や子会社であれば、日本の労働基準法に則って運営されるため、日系企業と雇用形態が大きく異なるわけではありません。
外資系戦略コンサルファームの業務内容
外資系戦略コンサルファームは、クライアント企業の戦略策定に関する提案を行い、経営上の課題に対して解決へと導くことが主な業務内容です。新規事業の立案や組織改革など、難易度の高いプロジェクトを担当する機会も多く、高度な論理的思考力や分析力が求められます。
クライアントは日系大手企業や外資系企業、官公庁など幅広く、海外のクライアント企業を相手にすることも珍しくありません。
代表的な外資系戦略コンサルファーム
日本にある代表的な外資系戦略コンサルファームには、A.T.カーニー、マッキンゼー・アンド・カンパニージャパンなどがあり、高度な専門性と豊富な実績で、多くのクライアント企業の信頼を集めています。
代表的な企業の年収水準の詳細については、次の「年収ランキング」で詳しく解説します。
外資系戦略コンサルファームの平均年収ランキング
外資系戦略コンサルファームは他の外資系、日系コンサルファームに比べると、年収が高い傾向にあります。ここでは、特に年収が高い企業をランキング形式で紹介します。
なお、外資系コンサルファームは日系の上場企業と違い、有価証券報告書の提出義務がないため、公式の年収情報は公表されていません。
以下に記載した年収は、タイグロンパートナーズの独自調査をもとに算出しています。役職や業績によって収入は変わるため、順位や金額は目安としてご確認ください。
順位 |
企業名 |
平均年収(目安) |
1位 |
ベイン・アンド・カンパニー |
1,900万円 |
2位 |
ボストン・コンサルティング・グループ |
1,900万円 |
3位 |
A.T.カーニー |
1,900万円 |
4位 |
マッキンゼー・アンド・カンパニー |
1,800万円 |
5位 |
アーサー・ディ・リトル |
1,700万円 |
6位 |
ローランド・ベルガー |
1,200万円 |
1位:ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド
1973年に創業したベイン・アンド・カンパニーは、世界40カ国65都市のネットワークを擁する世界的なコンサルファームです。クライアントの成功を自社の成功指標としており、常に「オーナー目線」を持った価値提供を続けています。
2位:ボストン・コンサルティング・グループ
1963年にアメリカ・ボストンで創業した世界有数の戦略コンサルティングファームです。日本法人は1966年に設立され、50年以上にわたって日本企業の経営支援を行ってきました。変革期にある企業に対し、戦略策定から実行までを一貫して支援することを強みとし、デジタル・AI活用やサステナビリティ、組織変革といった先進テーマにも積極的に取り組んでいます。グローバルネットワークを活かし、クライアントに対して本質的な価値を提供し続けています。
3位:A.T.カーニー
1926年にアメリカのシカゴで創業したコンサルファームです。41カ国に71拠点があり、日本では1972年から事業を開始しました。金融、通信、ハイテク、自動車、消費財・小売をはじめとする幅広い分野のコンサルティングを行っています。
4位:マッキンゼー・アンド・カンパニージャパン
1926年にシカゴで設立された経営コンサルファームです。国内外の最新知見と豊富な実績をもとに、幅広い分野でクライアントの価値創造を支援するパートナーとして活動しています。サービス内容はビジネス構築やパフォーマンス改善、顧客管理、M&Aアドバイザリーなど多岐にわたります。
5位:アーサー・ディ・リトル・ジャパン
1886年にアメリカのボストンで創業したコンサルファームです。1978年に日本法人が設立されました。
製造業に強いコンサルファームとして知られており、日本を代表する大手製造業への支援実績を豊富に有しています。もちろん製造業だけでなく、航空宇宙やエネルギー、IT、金融など、幅広い業界へサービスを提供しているコンサルファームです。
6位:ローランド・ベルガー
1967年にドイツで創業したコンサルファームです。日本法人は1991年に設立されました。ローランド・ベルガーのコンサルティングは、「現場感」「手触り感」「膝詰めの議論」「クライアントの腹落ち」などを重視しており、具体的かつ実践的な支援を行っています。
外資系戦略コンサルファームの年収目安
外資系戦略コンサルファームの年収は、年齢や性別に関係なく、出した成果に対して決定されることが多いため、自分の実力によって報酬が大きく変動します。
役職別の一般的な年収相場を、以下の表にまとめました。
役職 |
経験年数(目安) |
年収(目安) |
アナリスト/アソシエイト |
1〜3年 |
600~1,000万円 |
コンサルタント |
3〜6年 |
1,200~2,000万円 |
マネージャー |
5〜10年 |
2,000~3,500万円 |
シニアマネージャー/
プリンシパル |
7年〜12年 |
3,000~5,000万円 |
パートナー |
10年~ |
5,000万円以上 |
20代の若手でも、成果次第で2,000万円を超える高収入を目指すことが可能です。
外資系戦略コンサルファームが高年収である理由
外資系戦略コンサルファームは、総合系や金融系などの他のコンサルファームと比較しても高い年収を誇ります。ここでは、高い年収が実現できる理由について詳しく解説します。
提供する付加価値が高いため
外資系戦略コンサルは経営層と直接対峙し、経営戦略の立案や新規事業の立ち上げなど、企業全体に影響を与える課題を取り扱います。戦略コンサルは経営層との折衝を日常的に行いながら、高度な分析力や提案力を発揮し続けなければいけません。高い期待に応え続けられる高いパフォーマンスと、影響力の大きさが、高い付加価値の大きな要因です。
案件規模が大きいため
外資系戦略コンサルファームでは、グローバルにまたがる大規模プロジェクトを担う機会も少なくありません。そして、契約が高額かつ中長期にわたるケースもあります。プロジェクトが大きくなるほど課題は複雑化し、ハードルも高まりますが、一方で高額な報酬を得られる機会も増えるでしょう。
成果主義の報酬体系であるため
外資系戦略コンサルファームでは年齢や在籍年数に関係なく、実力と実績に応じて昇進や昇給が決まる、成果主義が採用されています。コンサルファームによって評価方法は異なりますが、年数回の評価会議で、プロジェクトで出した成果に対する業績賞与の付与や昇進が決まります。
中には、20代後半から30代前半で年収2,000万円を超える事例も少なくありません。実力次第で年齢を問わずキャリアアップできる制度が整っています。
【役職別】外資系戦略コンサルの業務内容と年収目安
外資系戦略コンサルには、アナリストやコンサルタント、マネージャー、パートナーといった役職があります。ここでは、外資系戦略コンサルの主な業務内容について解説します。
アナリスト/アソシエイト
外資系戦略コンサルのキャリアの出発点となるのがアナリストです。主な業務は情報収集やリサーチ、資料作成で、コンサルタントやマネージャーの業務を支えています。また、先輩コンサルタントに同行して、業務の流れや立ち居振る舞いを学ぶなど、コンサルタントとしての基礎を固める時期といえるでしょう。
年収目安は600〜1,000万円です。
コンサルタント
コンサルタントはプロジェクト推進の中心を担う役職です。アナリストが収集・作成したデータや資料をもとに、課題の構造化や仮説立案と検証、課題の分析を進めていきます。高い論理的思考力や判断力、問題解決力が必要で、クライアント企業へのプレゼン力や交渉力など、幅広いスキルが求められます。
年収目安は1,200〜2,000万円です。
マネージャー
コンサルファームにおける、プロジェクトの責任者です。プロジェクトの全体設計と推進、クライアント企業との関係構築、チームマネジメントなどを行います。成果を確実に上げるための役割を担う、コンサルファーム内でも中核のポジションです。
加えて、メンバー育成やパートナーの案件獲得支援など、業務内容が多岐にわたるため、年収が高くなる傾向にあります。
年収目安は2,000〜3,000万円です。
シニアマネージャー・プリンシパル
シニアマネージャー・プリンシパルは、パートナー候補としての役割を担い、「プロジェクトの統括者」かつ「売上責任者」の立場となります。
プロジェクト全体の設計と複数案件の並行管理に加えて、クライアント企業の経営層との長期的な関係構築や、新規案件の受注にも携わります。社内的にも「営業力+リーダーシップ+専門性」が求められる、極めてハイレベルな職位です。
年収目安は3,000〜5,000万円です。
パートナー
パートナーは、コンサルファームの経営に携わり、収益に直結する役割を担います。マネージャー以下のマネジメントを行い、複数のプロジェクトを管理しながら、同時に新規顧客の開拓や新規プロジェクトの受注にも積極的に関わります。営業・経営・実務全てを統括し、責任を負う立場でもあるため、収入は非常に高水準です。
年収目安は5,000万円以上です。業績によっては、数億円の年収を得ることもあります。
外資系戦略コンサルの給与体系の特徴
こちらでは、外資系戦略コンサルの給与体系の特徴について解説します。
提示年収に賞与が含まれていることがある
外資系戦略コンサルファームによって方針は変わりますが、転職の際の提示額に、賞与の想定額が含まれているケースがあります。賞与は一般的に成果によって変わるものなので、提示額よりも増減することも珍しくありません。成果によっては、提示額よりも大幅な年収アップを狙えることもあるでしょう。
提示年収にある程度の残業代が加味されている
外資系戦略コンサルファームの給与体系は様々ですが、みなし残業代や年俸制を採用していることが多く、残業代が追加で支給されるケースは稀です。
入社時にサインオンボーナスが支給されるケースがある
入社初年度に限定されますが、サインオンボーナスという特別な賞与が支給されることがあります。競合他社との人材獲得競争がある中で、優秀な人材を確保するために、コンサルファームが支給する一時金です。
未経験から戦略コンサルへの転職は可能?
それでは、未経験から戦略コンサルへの転職は可能なのでしょうか。
戦略コンサルへの転職は、人気が高く、また、募集枠も多い訳ではありません。求められる能力も非常に高いため、未経験からの転職は簡単ではないでしょう。
一方で、対策を練った上で、自身のポテンシャルを選考でアピールすることができれば、転職できる可能性はあります。具体的にどのような点がアピールポイントになるのか、求められる人物像についてみてみましょう。
戦略コンサルに必要な資格・学位
戦略コンサルへの転職に必須の資格・学位はありません。ただし、最終学歴は大卒以上が条件であることがほとんどで、MBAや博士号を持っていると、選考でより優位になる可能性もあります。様々なコンサルファームの中でも、戦略系のコンサルファームは学歴を重視する傾向にあります。
また、未経験から戦略コンサルに転職できる年齢目安として、第二新卒〜30代前半が多くなっています。しかし、事業経験が豊富で即戦力人材と評価されれば、年齢に関係なく採用されることもあります。
戦略コンサルに求められる人材とは
戦略コンサルに求められる人材の特徴にはどのようなものがあるのでしょうか。
高い論理的思考力がある
高い論理的思考力は、戦略コンサルに求められる最も基礎的かつ重要な能力のひとつです。クライアント企業が向き合う課題の解決に向けて、市場環境、競合、自社の強みや弱みなど、客観的な視点に立ったエビデンスを集め、ロジカルに課題を解決するための策を導き出すための論理的思考力は必須条件です。
タフなメンタルを持つ
戦略コンサルが日々向き合う課題は、クライアント企業の将来を決める重要なトピックであることも多く、日々対峙するのは経営課題に取り組むクライアント企業の経営幹部となる場合がほとんどです。
求められる仕事の質やスピードは非常に高いため、厳しい環境下でもストレス耐性が強く、仕事と自分自身をマネジメントできるタフなメンタルを持ち合わせた人物は、戦略コンサルにふさわしいでしょう。
外資系戦略コンサルへの転職はタイグロンパートナーズにおまかせ
外資系戦略コンサルは、若手でも高収入を期待できる職業です。しかし、選考基準が厳しく、個人での転職活動は非常にハードルが高くなるでしょう。
外資系戦略コンサルの転職を目指すなら、業界に精通したエージェントの支援を受けることが成功の鍵です。タイグロンパートナーズでは、業界に精通するコンサルタントによる実践的なアドバイスと手厚いサポートで、親身な転職・キャリア支援を行っています。非公開のハイクラス求人の紹介から選考対策まで、徹底したサポート体制が整っている点も特徴です。
外資系戦略コンサルへの転職を考えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。