監査法人は本当に激務?繁忙期の業務内容とスマートな乗り越え方
1.監査法人が激務とされる主な理由
監査法人の仕事は、監査を通じて幅広い経験を積むことができます。国内外を代表するような大手企業と仕事をすることもあるでしょう。監査法人は激務とされていますが、高収入でやりがいのある仕事です。 しかし、繁忙期の忙しさからの印象が強く、マイナスイメージがあるのではないでしょうか。実際の業務量は法人によって異なります。しかし、監査の業務自体に激務といわれる仕事内容用を含んでしまっていることもあるため、ここでは理由を4つに分けて解説していきます。①忙しい時期が集中してしまうため
1つ目の理由として、忙しい時期が集中していることです。 監査業務は、クライアント企業の決算期に合わせて予定を組みますが、日本の企業は3月決算にしている会社が多いでしょう。そのため4月、5月などの特定の時期に監査が集中してしまいます。監査を行うため、監査対象の企業や工場に出向くこともあり、場合によっては地方への出張もあるでしょう。そのため繁忙期には、深夜残業や休日出勤が多くなりやすいです。 また、同じ監査業務でもIPOを専門に監査する部署では、新規参入企業も多くなるため、上場直前の時期が最も忙しくなります。②労働集約型の業務で人手が必要なため
2つ目の理由として監査業務が労働集約型の業務で、業績と労働時間(発注数)が比例関係であることです。 監査には高い専門性や知識が求められ、有価証券報告書などの決算書類を読み込み理解し、そのうえで問題がないか判断できる人材が欠かせません。また、公認会計士の資格を持った人が行う必要がありますので、公認会計士の資格保有者に業務が集中する傾向にあります。③専門職で人手を増やすことが難しいため
3つ目の理由として、忙しい時期に合わせて急に人員を増やすということが難しいことです。 繁忙期に合わせて人員を確保すると、閑散期に余剰人員になってしまう可能性があります。また、公認会計士は専門職です。公認会計士は、国内でも難関な資格試験のひとつでもあり、資格保有者は人数が限られるため多くありません。優秀な人材を新たに探し出すことや人員を増やすことは難しいのが現状です。④担当クライアントが複数あるため
4つ目の理由として、複数のクライアントを担当していることがあります。 通常、公認会計士は1人で複数のクライアントの監査を担当することが一般的です。クライアントの都合に合わせるため、日中に複数のクライアント先をまわります。そのため、資料作成や会議のために早朝や深夜に会社で行うことになりがちです。また、テレワーク環境を整える監査法人も増えてきました。しかし、自宅での作業が可能になった分、ワークライフバランスのメリハリがなくなってしまうという意見もあります。2.監査法人の繁忙期の業務内容と乗り越え方
監査法人の忙しさは時期によって異なり、繁忙期と閑散期があります。繁忙期は主にクライアントの決算期直後で、監査業務が増えることで業務量が多くなるためです。ここでは繁忙期の業務内容の説明と、その乗り越え方の方法について解説していきます。監査法人の繁忙期の業務内容
繁忙期はクライアントの決算期の後で監査業務の実施段階と監査表明段階です。監査業務の実施段階では、日本は3月決算の企業が多い傾向があるので、その場合は経理部が決算を締めるのが4月中旬までになり、そのあと会計士による会計監査が行なわれます。 監査業務にはクライアントの財務諸表が必要となり、東京証券取引所からは、決算期末日から45日以内の情報開示を求められるため、5月上旬頃までが繁忙期です。 監査報告書を5月に発行し、金融商品取引法監査の監査報告書を6月に発行するため、結果の精査、検討を行ったうえ監査意見を確定します。 また、四半期ごとに監査を行う理由として、監査の品質維持や、期末の負担を減らす目的もあるでしょう。 一般企業の場合、四半期や期末の決算期が忙しいのは変わりません。経理業務以外の管理業務も兼任している場合があり、監査法人より早い繁忙期になります。ただし、監査法人より年収は高くありません。 一派企業は監査法人よりもワークライフバランスがとれている印象です。しかし、IPO準備中の企業や積極的にM&A を行う企業では、監査法人よりも忙しい場合もあります。 監査法人は繁忙期には、実際にクライアント企業に出向き、帳簿書類の確認や担当者へのヒアリングなどの業務を行います。工場や倉庫などにも出張する必要もでてくるので、単純に労働時間が長くなるだけでなく、時間当たりの作業量も増えてしまい、普通期や閑散期とは異なる働き方を求められるでしょう。 繁忙期以外に忙しくなる場合は、クライアントに不正や誤りが発生した時です。会計業務に関する不正や誤りがあった場合、公認会計士の仕事は一気に増加します。問題の対処だけでなく、これまでの会計や監査にも問題がなかったのか確認しなければなりません。この場合は納期も短いため、繁忙期といえるでしょう。 一方で閑散期もあり、株主総会が終わった7月以降で、7月~9月頃になります。閑散期には基本的に残業がありません。そして、比較的長期休暇が取りやすく、長期の旅行に行きリフレッシュしたり、資格試験などの勉強時間にあてスキルアップしたりと自由に使える時間が増えます。監査法人は繁忙期と閑散期の差が大きいです。しかし、繁忙期を乗り切り閑散期の予定をうまく計画できたなら、メリハリのある良い生活を過ごすことができるでしょう。 <繁忙期の1日のスケジュール例>
