シンプレクスは、1997年の創業以来、日本を代表する金融機関のテクノロジーパートナーとして成長を続けてきたコンサルティングファームです。同社の平均年収は約970万円と、業界内で高い水準を誇ります。
本記事では、同社の年収が高い理由や独自の評価制度、福利厚生などの待遇、転職するメリットなどを徹底解説します。
シンプレクスの基本情報
シンプレクスがどのような企業なのか、事業内容と強みについて解説します。
会社概要
| 商号 |
シンプレクス株式会社 |
| 創業年 |
1997年 |
| 設立年 |
2016年 |
| 本社所在地 |
〒105-6319
東京都港区虎ノ門1-23-1 虎ノ門ヒルズ森タワー19階 |
| 代表者 |
代表取締役社長 金子 英樹 |
| 資本金 |
47億5,000万円(2025年3月31日現在) |
| 売上高 |
約473億9,400万円(2025年3月31日時点)
※グループ連結の売上高 |
| 従業員数 |
1,119名(2025年3月31日時点) |
出典:シンプレクス株式会社|会社概要
シンプレクスは「日本発のイノベーションを世界へ向けて発信する」というミッションを掲げ、1997年に設立されました。創業8年で東証一部上場を果たすなど破竹の勢いで成長を遂げた同社は、2016年12月以降持株会社体制に移行し、日本では以下4社からなるシンプレクスグループとして事業を行なっています。
- シンプレクス・ホールディングス株式会社
- シンプレクス株式会社
- Xspear Consulting株式会社
- Deep Percept株式会社
また、業界を縦軸に、AIやデータ分析といった以下6つの専門領域を横軸にしたマトリクス組織を採用しており、組織を横断したプロジェクトが行われることもあります。
- システムディベロップメント
- プロジェクトマネジメント
- 数理工学
- インフラストラクチャー(クラウドCoE)
- UI/UX(Alceo)
- 生成AI
シンプレクスの強み
シンプレクスの強みは、下請け依存の構造に異を唱え、上流の戦略コンサルティングから開発、保守運用までを自社で完結させることで、高い品質とスピードを実現している点にあります。
また、ケイパビリティ拡充のためのパートナー企業との連携も積極的に行っており、各領域のスペシャリストとのネットワークを活用して付加価値の高いサービスを提供している点も強みです。
AIやクラウド、ブロックチェーンなどの最新技術を積極的に活用し、顧客のイノベーションを支援する姿勢も、同社の競争力を支える要素の一つとなっています。
シンプレクスの平均年収は約970万円
2025年3月期の有価証券報告書によると、シンプレクスの平均年収は約970万円(※)です。民間企業の平均給与が478万円(2024年度調査)であることを考えると、高年収と言えるでしょう。
出典:シンプレクス・ホールディングス株式会社|2025年3月期有価証券報告書
出典:国税庁|令和6年分民間給与実態統計調査
※有価証券報告書はホールディングスのものですが、重要な子会社としてシンプレクス株式会社の年収記載あり
役職別の年収レンジ
シンプレクスの役職ごとの標準的な年収レンジは、以下の通りです。完全実力主義を掲げており、年齢や社歴に関係なく、成果次第で高い報酬を得られます。
| 役職名 |
年収目安 |
| スタッフ |
600万円〜 |
| リード |
800万円〜1,000万円 |
| アソシエイトプリンシパル |
1,100万円〜1,400万円 |
| プリンシパル |
1,500万円〜1,900万円 |
| エグゼクティブプリンシパル |
2,000万円〜4,000万円+成果報酬 |
出典:シンプレクス・ホールディングス株式会社|シンプレクスグループ統合報告書2024
シンプレクスグループでは「新卒4年目で800万円」「8年目で年収1,000万円」を標準的な成長モデルとしています。成果に応じて数年分の役職を飛び越えて昇進する「スキップ」制度もあり、20代で年収1,000万円を超える社員もいます。
競合ファームとの比較
他のITコンサルティングファームと比較しても、シンプレクスの年収は高い水準にあります。
シンプレクスの年収が高い理由
シンプレクスの年収が高い理由を、2つの観点から解説します。
金融領域への圧倒的な専門性
創業以来、メガバンクや大手証券会社など、日本を代表する金融機関の基幹システム開発という、社会の根幹を支える領域を主力事業としてきたことが、高年収の実現につながっています。
例えば、キャピタルマーケット分野では、農林中央金庫の市場リスク統合管理システムや、エンサイドットコム証券の日本国債電子取引プラットフォームのクラウド再構築など、大手金融機関のリスク管理・債券取引業務を支える基幹システムを手がけています。
また、金融リテール分野では、野村證券の資産運用アプリ「NOMURA」、DMM Bitcoinの暗号資産取引システム、松井証券のロボアドバイザーシステムなど、個人投資家向けの革新的な取引プラットフォームを数多く構築しました。
出典:シンプレクス株式会社|事例紹介
こうした失敗が許されない高難度のプロジェクトは、必然的にコンサルティングフィーや開発単価が高額になる傾向があります。
金融機関の基幹システムという極めて高い信頼性が求められる領域で培った技術力とノウハウが同社の競争力の源泉となっており、世界の金融ITサービス企業ランキング「IDC FinTech Rankings」にも13年連続でランクインしています。
継続的な事業成長(5期連続の増収増益)
DX需要の高まりを背景に、シンプレクスグループは売上高・税引前利益ともに過去最高を更新し続けています。
| 会計年度 |
売上高 |
税引前利益 |
| 2021年3月期 |
275億円 |
43億円 |
| 2022年3月期 |
306億円 |
62億円 |
| 2023年3月期 |
349億円 |
73億円 |
| 2024年3月期 |
407億円 |
87億円 |
| 2025年3月期 |
474億円 |
107億円 |
出典:シンプレクス・ホールディングス株式会社|2025年3月期 有価証券報告書
好調な業績を背景に、優秀な人材を獲得・維持するため、業界でもトップクラスの報酬水準を設定し、社員に対して積極的に利益を還元しています。高い報酬で優秀な人材を惹きつけ、その人材が高い付加価値を生み出すことでさらに業績が向上するという、成長の好循環が生まれている状態です。
シンプレクスの評価制度・キャリアパス
完全実力主義を体現する、独自の評価制度と多様なキャリアパスについて解説します。
年1回の評価会議「札入れ(フダイレ)」
シンプレクスの評価制度を象徴するのが、年に1回実施される「札入れ(フダイレ)」と呼ばれる評価会議です。札入れでは、当該年度の仕事で関わった現場の上位者全員が、評価対象者の来年度の年俸額を「入札」する形式で評価します。評価会議の結果にもとづき翌年の年俸と役職が決定されますが、ポジションの人数に制限がないため、評価が昇給に直結しやすい点がコンサルタントのモチベーション向上につながっています。
この制度は「Up or Stay(成長か、さもなくば現状維持か)」や「Pay for Value(価値に見合った報酬を)」という考え方にもとづいており、昇進できなければファームを去るという従来の「Up or Out」とは一線を画します。
出典:シンプレクスグループキャリア採用情報|評価の仕組み
自律的なキャリア形成を支える環境
シンプレクスでは「Mutual Respect(相互尊重)」の考え方にもとづき、多様なキャリアパスが尊重されます。
管理職としてチームを率いるマネジメントキャリアだけでなく、特定の技術や業務領域を極めるスペシャリストとしてのキャリアも高く評価されるため、部下を持たずにプリンシパルへ昇進した社員もいます。
また、以下のように個々の成長を支える制度が充実している点も魅力です。
| 研修項目 |
内容 |
| コンピテンシーによる集合型研修 |
高い専門性を有する「コンピテンシー」と呼ばれるチームが開催する研修カリキュラムに参加できます。 |
| メンターによるフォローアップ |
研修中はメンターによる定期的な成果確認や週次1on1が行われます。メンターは研修にフルコミットするため、質の高い指導を受けられます。 |
| ユニットリーダー制度 |
現場配属後の初年度は、ユニットリーダー(先輩社員)1名と新入社員2名の3名1組でユニットを組み、伴走支援のもとで成長を目指します。 |
出典:シンプレクスグループ採用情報|人材育成の考え方
その他にも、海外の大学院などで学ぶための社内留学制度や、社内のエンジニアやコンサルタントが最新の知見を共有するカンファレンス(Tech Day, Biz Day)など、自己成長を後押しする環境が整っています。
シンプレクスは激務?働き方のリアル
「激務」という評判もあるシンプレクスの労働環境について、残業時間やプロジェクトの実態を解説します。
メリハリのある柔軟なワークスタイル
シンプレクスにはメリハリをつけて働く文化が根付いています。公式サイトによると、平均残業時間は37時間と記載があり、これはコンサルティング業界では平均的な水準です。プロジェクトによっては長時間労働が必要になることもありますが、プロジェクト終了後にまとめて休みを取る文化もあるとされています。
出典:シンプレクスグループ採用情報|ワークライフバランス
一定以上の役職になると、自身の志向に合わせて働き方を選択できる制度もあります。「成果を最大化するために仕事に集中したい」「プライベートとのバランスを取りたい」といった希望を上長とすり合わせ、期待値を調整しながら働くことが可能です。
また、フレックス制度や、リモートワーク制度(週1回以上の出社が必要)も導入されており、柔軟な働き方を実現できます。
充実した福利厚生
社員が安心して長く働けるよう、福利厚生も充実しています。
| カテゴリ |
内容 |
| キャリア支援 |
資格取得応援制度、書籍購入補助制度、学業等休職制度 |
| 働き方支援 |
タクシーの業務利用、夕食無料提供、iPhone・ノートパソコンの貸与 |
| プライベート支援 |
関東ITソフトウェア健康保険組合加入、団体長期障害所得補償制度(GLTD)、ベビーシッター利用割引券、従業員持株会 |
出典:シンプレクスグループ採用情報|福利厚生
シンプレクスに転職するメリット
シンプレクスへの転職が、キャリアにどのような価値をもたらすのか解説します。
圧倒的なスピードで市場価値を高められる
シンプレクスに転職するメリットの一つは、圧倒的なスピードで自身の市場価値を高められる点です。「全員がプレイヤー」というフィロソフィのもと、年齢や役職に関係なく、若手のうちから責任ある仕事を任されるため、実践的な経験を通じてスキルを磨くことができます。
また、現在の能力より少し上のレベルの仕事を任せ(ストレッチアサイン)、上司や先輩からのコーチングを通じて成長を促す「経験学習モデル」を人材育成のベースにしていることも、スピーディーに成長できる理由の一つです。
出した成果が評価制度「札入れ」によって正当に年収へ反映されるため、高いモチベーションを維持しながら成長できるでしょう。
高難度のプロジェクトを通じて希少価値の高いキャリアを築ける
高難度のプロジェクトを通じて希少価値の高いキャリアを築ける点も、シンプレクスで働く魅力の一つです。
日本を代表するメガバンクや大手証券会社の基幹システムなど、社会的インパクトの大きなプロジェクトに携わることで、以下のようなスキル・知識を身につけられます。
- 金融領域(銀行・証券・保険など)の深い業務知識
- AI、クラウド、ブロックチェーンなどの最先端ITスキル
- 大規模プロジェクトを完遂させるプロジェクトマネジメント能力
また、戦略策定から開発・運用までを一気通貫で手がけるため、ビジネスの全体像を俯瞰する視点も身につくでしょう。
シンプレクスの中途採用情報
シンプレクスへの中途採用の難易度と、具体的な選考プロセスについて解説します。
転職難易度は高め
シンプレクスは、高い報酬水準と企業の根幹に関わる高難度なプロジェクトに携われるという魅力から、コンサルティング業界やIT業界の経験者を中心に人気が高く、転職難易度は高めです。
一方で採用には積極的で、グループ全体で中途採用を強化しており、2023年3月期・2024年3月期の中途採用実績はともに100名を超えています。コンサルティング未経験であっても、事業会社での企画経験や、SIerでの開発経験など、同社の事業に活かせる経験を持つ人材であれば選考通過する可能性は十分にあります。
出典:シンプレクス・ホールディングス株式会社|シンプレクスグループ統合報告書2024
求められる人物像
シンプレクスの選考では、同社のカルチャーである「5DNA」を体現できる人材であるかが重視されます。
- No.1:常にNo.1であることを追求する
- Client First:クライアントのビジネスの成功を第一に考え、期待を超える付加価値を創造する
- Commitment:どのような難局も乗り切り、やり遂げる不屈の精神を持つ
- Professionalism:一流のプロフェッショナルとして、本質を見極め、最高の成果を追求する
- Global:あらゆる変革を恐れず、イノベーションを世界に発信し、挑戦し続ける
出典:シンプレクスグループ採用情報|カルチャー
現状に満足せず常にNo.1を目指す高い視座やクライアントの成功に徹底してコミットする姿勢、そして困難な課題をやり遂げるプロフェッショナル意識を兼ね備えた人材が求められていると言えるでしょう。
募集職種と選考フロー
2025年10月時点で、シンプレクスの中途採用では以下のような職種を募集しています。
| 職種 |
必須スキル |
| ビジネスコンサルタント |
- コンサルティングファームでの実務経験1年以上(担当業界不問)
- 事業会社、官公庁などでのビジネス企画経験
|
| データサイエンティスト |
- 機械学習ライブラリを用いたモデリング
- 機械学習サービスの運用
- データ分析業務に係るいずれかの経験(課題整理、仮説構築、プランニング、データ収集、EDA、実装/テスト、効果検証、レポーティング、ステークホルダーへの調整)
- AWSなどのクラウドベースでの開発経験
|
出典:シンプレクス・ホールディングス株式会社 |ビジネスコンサルタント
出典:シンプレクス・ホールディングス株式会社 |データサイエンティスト
また基本的な選考フローは以下の通りです。
- 書類選考
- 面接(2〜3回)
- 内定
選考プロセスの一環として、Webテスト等が実施される場合もあります。また、面接は基本的にオンラインで実施され、論理的思考力、問題解決能力、そしてカルチャーフィットがチェックされます。
シンプレクスへの転職を成功させるためには?
シンプレクスへの転職を成功させるためには、ファームのカルチャーを深く理解したうえで、履歴書や職務経歴書、面接などに対して入念な準備が必要です。しかし、難易度の高い選考を突破するためには、専門的なノウハウが必要であり、ご自身だけでの対策には限界があります。
そこで活用したいのがコンサルティング業界への転職支援実績が豊富な転職エージェントです。タイグロンパートナーズは、年収1,000万円以上のハイクラス・プロフェッショナル求人に特化し、コンサルティングファームへの転職支援にも豊富な実績があります。
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