アクセンチュアは、世界最大級のコンサルティングファームであり、多様な業界のトップ企業における経営課題解決を支援しています。そのブランド力と求める人材像のレベルから市場での人気が高く、転職は容易ではありませんが、DX需要の高まりを受け、採用意欲は旺盛です。適切な準備と対策を進めれば、選考を通過できる可能性は十分にあります。
本記事では、アクセンチュアへの転職難易度や人気を集める理由、転職後の年収や働き方、具体的な選考プロセスと対策について詳しく解説します。
アクセンチュアの転職難易度は?
アクセンチュアへの転職難易度は、一般的なコンサルティングファームと比較しても高い水準にあります。しかし、新卒・中途を問わず積極的に採用を行っており、門戸は開かれているため、しっかりと対策を練って臨むことが大切です。
全体的な転職難易度は高いが、採用意欲は旺盛
アクセンチュアの転職難易度が高い理由は、世界的なブランド力を持つがゆえに応募者が殺到する点と、論理的思考力やプロフェッショナルマインドといった、求められる人物像のレベルが高い点にあります。多くの優秀な候補者との厳しい競争を勝ち抜くためには、徹底した選考対策が不可欠と言えるでしょう。
一方で、アクセンチュアはDX(デジタル変革)需要の高まりを背景に、日本市場での事業拡大を続けています。従業員数は2021年の約1万8,000名から2024年には約2万5,000名規模まで増員しており、積極的に採用を実施しています。特にIT人材やデジタル領域のコンサルタントは需要が高く、コンサルティング未経験の第二新卒や異業種からのポテンシャル採用も活発です。
このように採用の門戸は広く開かれていますが、入社のチャンスをつかむためには、自身の強みやポテンシャルを的確にアピールするための入念な選考対策が欠かせません。
アクセンチュアが転職市場で人気を集める理由
アクセンチュアが多くの転職者を惹きつける理由は、高水準な待遇に加え、個人の成長やキャリア形成を力強く後押しする環境にあります。
高水準な年収と充実した福利厚生
アクセンチュアでは、BIG4(PwCコンサルティング、デロイト トーマツ コンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、KPMGコンサルティング)や国内の大手総合コンサルティングファームと同等、もしくはそれ以上の年収が期待できます。
ファーム名 |
年収(目安) |
アクセンチュア |
約850万円~1,000万円 |
PwCコンサルティング |
約1,000万円 |
KPMGコンサルティング |
約1,000万円 |
デロイト トーマツ コンサルティング |
約900万円 |
EYストラテジー・アンド・コンサルティング |
約800万円 |
アビームコンサルティング |
約800万円 |
また、「人材こそが最大の資産」という理念のもと、福利厚生も充実しています。
- 確定拠出年金制度
- 従業員株式購入プラン(ESPP)
- 長期収入所得補償(LTD)
- パフォーマンスエクイティ(業績株式報酬)
- 自発的株式投資プログラム(VEIP)
- カフェテリアプラン
- シックリーブ(私傷病休暇) など
出典:アクセンチュア株式会社|福利厚生・制度
圧倒的な成長環境とキャリアの選択肢
アクセンチュアでは、クライアントからの高い要求水準に応える過程で、他社では得られないスピード感のある成長が可能です。若手にも挑戦の機会を積極的に与えるカルチャーがあり、早期から実践的なスキルを養えます。
加えて、社内で多様なキャリアを選択できる点も大きな魅力です。社内公募制度「キャリアズ・マーケットプレイス」により、コンサルタントからエンジニア、あるいは海外拠点への異動も実現できます。また、「ピープルリード」と呼ばれるメンター社員が、個々のキャリア形成を支援する制度もあります。
グローバル基準の仕事で得られる市場価値
世界50カ国以上、200都市以上に拠点を持つグローバルファームであるアクセンチュアでは、グローバルなプロジェクトに参画する機会が豊富です。
実務を通じて、専門知識に加えて、グローバルなビジネス環境で必須となるコミュニケーション能力や多様な文化・価値観への対応力が培われます。これらのスキルは転職市場でも高く評価されるケースが少なくありません。
「元アクセンチュア」という強力なブランド力
転職市場において「元アクセンチュア」という経歴は、「論理的思考力とやり抜く力を兼ね備えた優秀な人材」「DX・デジタル分野への知見がある」といった評価につながる傾向があります。
事実、アクセンチュア出身者は事業会社の経営企画、CxO、スタートアップの創業者など、様々な分野で要職に就いています。同社で培った経験と実績が、次のキャリアを切り拓くうえで大きなアドバンテージとなっているのが現状です。
アクセンチュア転職後のリアル|年収や働き方について紹介
転職を考えるうえで、入社後の待遇や働き方の実態が気になる人は多いでしょう。ここでは、アクセンチュアの年収やワークライフバランスについて解説します。
キャリアレベル別の年収レンジ
アクセンチュアにおける、コンサルタントの役職ごとの年収レンジ(目安)は以下の通りです。
役職 |
年収(目安) |
アナリスト/シニア・アナリスト |
600万円〜750万円 |
コンサルタント |
800万円〜1,200万円 |
アソシエイト・マネジャー |
800万円〜1,400万円 |
マネジャー |
1,100万円〜1,700万円 |
シニア・マネジャー |
1,500万円〜2,100万円 |
アソシエイト・ディレクター/プリンシパル・ディレクター |
1,800万円〜2,500万円 |
マネジング・ディレクター |
2,400万円以上 |
第二新卒や未経験者の場合はアナリストから、経験者の場合は前職の経験やスキルに応じてコンサルタント以上のポジションからスタートするのが一般的です。
賞与・昇給と評価制度
給与は年俸制で、賞与や昇給・昇格は年1回の評価によって決定するとされています。
評価は、他の社員との相対比較や年功序列ではなく、個人の成長度合いが基準です。また、メンターであるピープルリードや直属の上司からの意見も反映される傾向があります。
なお、口コミによると、アクセンチュアには「Up or Elsewhere(昇進か、さもなければ他の部署へ)」という文化が根付いているようです。これはネガティブな意味合いだけでなく、アクセンチュアで市場価値を高め、事業会社やスタートアップへ羽ばたいていく「ポジティブな卒業」が多いことを表しています。
ワークライフバランス
プロジェクトにもよりますが、全社的には残業削減を推進しています。アクセンチュア版働き方改革「Project PRIDE」の取り組みにより、管理職未満の社員の平均残業時間は1日1時間未満です。
有給休暇も取得しやすい環境が整っており、プライベートとの両立を図りやすい制度づくりが進んでいます。
アクセンチュアの主な募集職種
アクセンチュアでは、多様なバックグラウンドを持つ人材を求めており、募集職種も多岐にわたります。
戦略・経営コンサルタント
企業のCEOや役員といった経営層のパートナーとして、M&Aや新規事業創出、全社変革といった最重要課題の解決を支援します。単なる戦略立案に留まらず、社内のテクノロジー部門やデザイン部門の専門家と協働し、実行可能な「生きた戦略」を描く点がアクセンチュアの強みです。
未経験・第二新卒の採用も活発に行われていますが、業界への深い洞察力と高い視座が求められます。
ITコンサルタント
クライアント企業の課題を、最先端のITを駆使して解決する職種です。戦略コンサルタントが描いた方針をもとに、「ITでどう実現するか」という具体的な道筋を設計し、プロジェクト全体を推進・管理します。SAPなどの大規模基幹システムの導入支援やクラウド化の推進、AI技術を活用した業務改革など、その役割は多岐にわたります。新卒・第二新卒の採用が活発な職種の一つです。
エンジニア
コンサルタントが描いた設計図を、実際のシステムやアプリケーションとして形にする「モノづくり」のプロフェッショナルです。クラウド(AWS、Azure、GCP)、Java、Pythonといったモダンな技術を駆使し、高品質なソリューションを開発します。アクセンチュアの強みである「変革の実行」を技術力で担う重要な役割であり、顧客に近い立場で開発に携われる点が特徴です。
コーポレート部門
人事、財務、法務、マーケティングなど、コンサルタントやエンジニアが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、ファーム全体を後方から支えます。各分野の専門知識を活かして、組織運営に貢献する職種です。
セールス(営業)
アクセンチュアが提供するソリューションを組み合わせ、クライアントの経営課題を解決するための大型案件を創出します。クライアント企業の役員クラスと対話して潜在的な課題を掘り起こしながら提案をするという、高度な課題解決力が求められる点で一般的な営業とは大きく異なります。
アクセンチュアが転職者に求める人材像
アクセンチュアで活躍するためには、どのような資質やスキルが求められるのでしょうか。全職種に共通する点と、経験別に評価されるポイントを解説します。
全職種共通で求められる「成長意欲」と「人間力」
同社が掲げる「未来のアクセンチュアに必要なDNA」には、求める人材像が明確に示されています。
<未来のアクセンチュアに必要なDNA>
- 背伸びをしてでも目標へ手を伸ばさずにはいられない
- チャレンジに、手加減をしない
- 自分も会社も世の中までも、変えたいと望む
- 常に次のステージを見据え、自らの開拓に貪欲である
- タフな状況も、先頭に立ち楽しめる情熱がある
- あるべき姿を追求するためには、立場や関係性を超えた主張を厭わない
- 信念にもとづき、主張し、実際にやりとげる
- チームワークの可能性を信じる
- 多様な文化、相違する意見の中にこそ宝石があると知っている
- 常に誠実さを失わず、言行一致の気概がある
出典:アクセンチュア株式会社|採用案内
現状に満足しない高い成長意欲や、チャレンジ精神が求められていると言えるでしょう。また同社には、ダイバーシティを重視する企業文化があります。異なるバックグラウンドを持ったメンバーを巻き込みながら、成果を出す力も不可欠です。
【未経験・第二新卒向け】評価されるポテンシャル
未経験者や第二新卒の採用では、現時点でのスキルや経験以上にポテンシャルが重視されます。
例えば、物事を構造的にとらえ、複雑な情報を整理して分かりやすく説明する「論理的思考力」は重要なチェックポイントの一つです。ケース面接などを通じて、課題解決に至る思考プロセスそのものが厳しく評価されます。
また、困難な状況でも最後まで諦めない粘り強さ、いわゆる「やり遂げる力」も同様に評価されるため、目標達成のために工夫した具体的なエピソードを通じてアピールすることが重要です。
さらに数ある職業の中からコンサルタントを選んだ理由や「なぜアクセンチュアなのか」を自身の経験と結びつけて具体的に語れるようにしておく必要があります。
詳しくは、以下の記事もご確認ください。
関連記事:アクセンチュアの第二新卒の通過率や難易度は?基礎知識から年収情報、選考対策まで解説
【経験者向け】評価される専門性と実績
経験者採用では、即戦力として活躍できるかが問われるため、専門性と再現性のある実績が評価の中心となります。
職務経歴を説明する際は、単に「何をしてきたか」ではなく、「どのような課題に対し、自身がどう考え、行動し、どのような成果に結びつけたのか」を具体的に説明できるようにしておきましょう。
さらに、自身が培ってきた専門性を、アクセンチュアでどのように活かし、クライアントや社会に対してどのような価値を提供したいのか、という視点も不可欠です。
関連記事:アクセンチュアの中途採用は難易度が高い?評価のポイントを解説
アクセンチュアの選考プロセスと対策
アクセンチュアの一般的な選考フローは以下の通りです。なお、Webテスト実施の有無や面接回数は職種やポジションによって異なります。
- 書類選考
- Webテスト
- 面接(2~3回)
通過率を上げる履歴書・職務経歴書の書き方
書類選考では、応募ポジションで求められるスキルや経験を意識してアピールしましょう。
自身の経験や実績を「STARメソッド(Situation:状況、Task:課題、Action:行動、Result:結果)」を用いて具体的に記述すると、説得力が増します。
また、職務経歴の中に、アクセンチュアの強みである「テクノロジーを活用した課題解決」などへの関心や親和性を示す経験を盛り込むのも効果的です。
面接の傾向と具体的な対策
選考段階が進むにつれてマネジング・ディレクターなど上位役職者が面接を担当します。現場レベルのスキルだけでなく、より経営に近い視点での思考力や、長期的に活躍するためのポテンシャルが問われるようになるので、面接のポイントを理解しておきましょう。
通常の面接では「志望動機」「自己PR」「キャリアプラン」などに関する質問が中心です。「なぜ数あるファームの中でアクセンチュアなのか」を、自身の経験と結びつけて論理的に説明する必要があります。結論から先に話す「結論ファースト」を常に意識しましょう。
加えて、特定の状況を提示され、その課題解決策を論理的に導き出す「ケース面接」が実施される場合もあります。「〇〇業界の市場規模を推定してください」「A社の売上高を3年で2倍にする施策を考えてください」といったテーマに対して、思考プロセスを分かりやすく説明する練習が必要です。
面接の最後には、候補者から面接官への逆質問の時間があります。入社意欲を示すチャンスとしてとらえ、事前に質の高い質問を準備しておきましょう。
コンサルティング業界への転職を目指すなら転職エージェントを活用しよう
アクセンチュアへの転職は難易度が高く、独力での対策には限界があります。特に職務経歴書やケース面接で効果的なアピールをするためには、専門的なノウハウが必要です。これからコンサルティング業界への転職を目指す方は、業界に精通した転職エージェントを活用しましょう。
転職エージェントを活用するメリットは主に以下の3つです。
- 自分に合った求人の紹介を受けられる
- 書類選考や面接のアドバイスを受けられる
- 個人では入手しにくい各ファームの内部情報を得られる
タイグロンパートナーズにはコンサルティング業界に精通した専門性の高いコンサルタントが所属しています。ハイクラス・プロフェッショナル人材に対し、他社とは一線を画す転職・キャリア支援を行っておりますので、ぜひご相談ください。