株式会社野村総合研究所(以下、NRI)は、国内最大規模のシンクタンク・コンサルティングファームで、社会洞察から戦略立案、ITソリューション提供までをシームレスに行っています。官民問わず幅広い顧客に対してサービスを提供する同社の平均年収は、有価証券報告書(2025年3月期)によると1,322万円です。
本記事では、同社の平均年収や年齢別の年収目安、高年収の理由、同社へ転職するメリットや採用動向について、詳しく解説します。
野村総合研究所(NRI)の基本情報
| 社名 |
株式会社野村総合研究所
Nomura Research Institute, Ltd. |
| 創業 |
1965年 |
| 所在地 |
〒100-0004
東京都千代田区大手町1-9-2
大手町フィナンシャルシティ グランキューブ |
| 代表者 |
代表取締役 社長 柳澤 花芽 |
| 資本金 |
256億5,541万3,800円 |
| 連結売上高 |
7,648億円(2025年3月期) |
| 従業員数 |
7,645人(2025年3月31日時点) |
出典:株式会社野村総合研究所|会社概要
出典:株式会社野村総合研究所|沿革
NRIは、日本における民間シンクタンクの草分け的存在として、60年の歴史を有するコンサルティングファームです。同社は、クライアント企業の問題発見から解決策までを導く「コンサルティング」と、システム開発や運用などによって課題解決を実現する「ITソリューション」を組み合わせた独自のビジネスモデル「コンソリューション」を確立しています。
野村證券やかんぽ生命など、金融業界のトップ企業を中心とした強固な顧客基盤を保有しており、2030年度の連結売上高1兆円達成に向け、順調な事業拡大を続けています。
関連記事:野村総研(NRI)とは?事業内容・社風・働き方・年収を徹底解説
野村総合研究所(NRI)の年収水準は?
NRIの年収水準を、公式サイトや口コミといったデータをもとに解説します。
平均年収・初任給
2025年3月期の有価証券報告書によると、NRIの平均年収は約1,322万円です。直近5年間で平均年収は増加傾向にあります。
| 決算年度 |
平均年収 |
平均年齢 |
| 2021年3月期 |
1,225万円 |
40.5歳 |
| 2022年3月期 |
1,232万円 |
40.6歳 |
| 2023年3月期 |
1,242万円 |
40.6歳 |
| 2024年3月期 |
1,272万円 |
40.2歳 |
| 2025年3月期 |
1,322万円 |
39.9歳 |
出典:株式会社野村総合研究所|2021年3月期(第56期)有価証券報告書
出典:株式会社野村総合研究所|2022年3月期(第57期)有価証券報告書
出典:株式会社野村総合研究所|2023年3月期(第58期)有価証券報告書
出典:株式会社野村総合研究所|2024年3月期(第59期)有価証券報告書
出典:株式会社野村総合研究所|2025年3月期(第60期)有価証券報告書
また、新卒の初任給(2026年度予定・総合職)は、大学卒で月額336,500円、修士了で月額364,500円(いずれも住宅手当60,000円含む)です。厚生労働省の調査によると、大卒会社員の月給は約24.8万円(大学院卒は約28.7万円)のため、同社の給与水準は高いことがわかります。
出典:株式会社野村総合研究所|募集要項(総合職)
出典:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査
【年齢別】年収目安
年齢別の年収目安は以下の通りです。
| 年齢 |
年収目安 |
| 25歳 |
460〜790万円 |
| 30歳 |
700〜1,210万円 |
| 35歳 |
880〜1,520万円 |
| 40歳 |
1,000〜1,740万円 |
| 45歳 |
1,110〜1,920万円 |
| 50歳 |
1,200〜2,070万円 |
| 55歳 |
1,220〜2,110万円 |
※Openworkなどの口コミサイトの情報をもとに作成(2025年11月時点)
ただし、NRIは成果主義の評価制度を採用しているため、個人のパフォーマンスによって年収は変動します。そのため、20代〜30代で年収1,000万円を超えるケースもあります。
【役職別】年収目安
役職別の年収目安は以下の通りです。
| 年齢 |
年収目安 |
| メンバー |
450〜500万円 |
| アソシエイト |
600〜800万円 |
| シニアアソシエイト |
800〜1,200万円 |
| エキスパート |
1,400〜2,000万円 |
| チーフエキスパート |
2,000〜2,400万円 |
| マネジメント |
2,500万円〜 |
野村総合研究所(NRI)の年収が高い3つの理由
NRIが高い年収水準を維持できる背景には、同社の事業モデルや人事制度が深く関係しています。
1.高収益な事業モデルによる利益創出
NRIの年収が高い理由として、収益力の高さが挙げられます。同社の2025年3月期の売上高営業利益率は17.6%で、ITサービス業界の中でもトップクラスです。課題の発見からITによる解決策の実現までをシームレスに展開する、付加価値の高いサービス提供が、高い利益率につながっています。
さらに、収益の安定性も同社の強みです。売上の約60%がシステム開発や運用サービスといった、景気変動に左右されにくい継続的な事業で構成されています。特にビジネスプラットフォームサービスは同社の強固な収益基盤となっており、証券会社向け総合バックオフィスシステム「THE STAR」は83社が利用するなど、業界での地位を確立しています。各業界のトップ企業と長期的なパートナーシップを築くことで安定的な業績を実現し、その成果を社員へ還元する好循環を生み出していると言えるでしょう。
出典:株式会社野村総合研究所|個人投資家の皆さまへ
出典:株式会社野村総合研究所|2025年3月期決算および2026年3月期業績見通し
2.人的資本への戦略的な投資
NRIは、長期経営ビジョンの達成に向けて「人員数に依存せず高い付加価値を生み出す」という方針を掲げています。この方針を実現するため、処遇改善による優秀な人材の確保・定着に積極的に取り組んでいることも、年収水準が高い理由の一つです。
具体的な施策として、2026年度入社の新卒(大学卒)の初任給を276,500円から336,500円(住宅手当60,000円含む)へと大幅に引き上げました。(※住宅手当は全員に一律支給)
出典:株式会社野村総合研究所|NRIの事業概要
加えて、メリハリのある業績評価を徹底し、高い成果を出したトップ層の社員に対しては、より手厚い処遇で応える仕組みの強化にも取り組んでいます。このような人的資本への戦略的な投資は今後も継続されるとみられ、将来にわたっても高い収入が期待できる環境といえるでしょう。
3.業績連動性の高い報酬制度
高いパフォーマンスを発揮した社員には相応の高い報酬が支払われる「業績連動性の高い報酬制度」も、NRIの年収水準を高めている理由です。
NRIは1994年という早い段階で、目標管理と業務成果の評価が連動する人事制度を導入したコンサルティングファームで、「C&A(Challenge & Act) 制度」と呼ばれる評価制度が運用されています。同制度は、社員は半期ごとに自らの目標を設定し、期末に上司との面談を通じて目標の達成度が評価され、個人の成果や組織への貢献度が賞与や昇給・昇進に反映される仕組みです。
年齢や勤続年数に関わらず、高い成果を出す社員が適切に報われる給与体系が、NRIの高年収を実現する土壌になっていると言えるでしょう。
野村総合研究所(NRI)に転職するメリット
NRIへの転職は、年収以外にも多くのメリットがあります。
社会貢献性の高い大規模プロジェクトに携われる
NRIは、コンサルティングとソリューションの総合力を活かし、官民の垣根にとらわれない横断的な課題解決に貢献できる点が魅力です。
例えば、地方創生やまちづくり政策の策定支援、震災復興計画の策定支援(石川県穴水町の震災復興・地域課題解決支援など)、デジタル改革支援(山形県鶴岡市のデジタル改革支援など)といった、社会的意義の高いプロジェクトにも多数関わっています。
社会インフラや業界変革の中核を担うプロジェクトに携わった実績は、個人のキャリアにおいて大きな財産となるでしょう。
また、以下のような大規模プロジェクトも数多く手掛けています。
- セブンイレブンのシステム開発・運用
- 西日本旅客鉄道株式会社のデータガバナンス推進
- 野村證券へのI-STAR導入
多様なキャリアパスを築ける
NRIでは、社員の多様なキャリア志向に応えるため、複線的なキャリアパスが用意されています。一般的なキャリアステップでは「メンバー→アソシエイト→シニアアソシエイト→エキスパート」と進み、その後は組織を率いる「マネジメント」や、プロフェッショナルとして現場を牽引する「チーフエキスパート」など、自身の志向に合わせた道を選択可能です。
また、専門家として現場の第一線で活躍しつづけるキャリアを支援するため、高度な専門性を有する社員には以下のような社内資格が付与される制度も整っています。
- 認定ビジネスディベロッパー(BD)
- 認定ビジネスアナリスト(BA)
- 認定プロジェクトマネージャ(PM)
- 認定アプリケーションエンジニア(AE)
- 認定ITアーキテクト(ITA)
- 認定ITサービスマネージャ(ISM)
- 認定データサイエンティスト(DS)
管理職を目指すだけでなく、特定の分野でスペシャリストとして成長できる土壌が整っている点も、同社でキャリアを築く魅力の一つです。
柔軟な働き方ができる
NRIは、社員が長期的に活躍できるように、柔軟な働き方をサポートする制度の整備にも積極的です。
アソシエイト以上の役職では裁量労働制を取り入れており、業務の進め方や時間配分を本人の裁量と自己管理に委ねています。何時間働いたかではなく、どれだけ質の高いアウトプットを出せたかが評価される文化です。また、テレワークも取り入れており、出社率5割を目安に運用が行われています。
加えて、女性活躍の推進や仕事と育児の両立支援にも力を入れており、優良な子育てサポート企業として厚生労働大臣が認定する「プラチナくるみん」や、9年連続(2017~2025年)で「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定されるなど、外部からも高い評価を受けています。
野村総合研究所(NRI)への転職を目指す上でのポイント
NRIへの中途採用を目指す上で、知っておくべき選考プロセスのポイントを解説します。
書類選考のポイント
NRIの書類選考を通過するためには、同社が求める人物像を正しく把握し、自身のアピールポイントとして職務経歴書に落とし込む必要があります。
同社では、中途採用において以下のような人材を求めています。
- 専門分野で強みを持ち、組織をリードできる人
- コミュニケーション能力の高い人
- 新規案件の開拓力がある人
- 自発的に行動し、成長していける人
- 5年、10年かけて自分の思いを実現したいと考える人
上記の要素を業務内でどのように発揮してきたかを、具体的なプロジェクト実績や成果(数値)を用いて示す必要があります。
また、同社は3年後の2028年を目処に、AIを活用したコンサルティングやソリューション提供ができる人材を2,000名規模で拡充する方針を掲げています。そのため、現職でAI関連のプロジェクトに携わった経験や、AI活用に関する知見をもっている場合は、それを職務経歴書に盛り込むことでアピールにつながるでしょう。
出典:株式会社野村総合研究所|2025年3月期決算および2026年3月期業績見通し
面接のポイント
面接では、「なぜコンサルティング業界なのか」「なぜ他のファームではなくNRIなのか」といった転職理由を重点的に問われます。企業分析で得た情報や自身の過去の経歴、将来のキャリアプランと結びつけ、一貫性のある論理で説明できるようにしておきましょう。
また、部門によっては、論理的思考力や問題解決能力を測るためにケース面接が実施される場合もあります。模擬面接などを通じて出題形式に慣れておくことも重要ですが、付け焼き刃の対策は通用しないこともあるでしょう。そのため、日頃からビジネス課題に対する思考力を高めておくことが重要です。
コンサルティングファームへの転職はタイグロンパートナーズにご相談ください
NRIのような難易度の高いコンサルティングファームへの転職を成功させるには、選考プロセスや評価されるポイントを理解した上で、戦略的に準備を進めることが大切です。また、高度な論理的思考が問われるケース面接への対策など、専門的な知見が必要とされる場面も多くあります。特に、現職の業務と並行して転職活動を進める場合、限られた時間の中で準備を進めるのは容易ではないでしょう。
そこで活用したいのが、コンサルティング業界への転職支援実績が豊富な転職エージェントです。タイグロンパートナーズは年収1,000万円以上のハイクラス・プロフェッショナル求人に特化しており、業界の内部事情に精通したコンサルタントが多数在籍しています。
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