若手ビジネスパーソンの転職先として高い人気を誇るのが「外資系コンサルティングファーム(以下、コンサルファーム)」です。企業の戦略策定、経営改善、IT導入、人事制度改革などの幅広い領域でプロフェッショナルサービスを提供する専門家集団です。
本記事では、外資系コンサルへの転職を検討している方向けに、代表的なファームや仕事内容を「戦略系」、「総合系」、「IT系」、「人事・組織系」、「FAS」に分けて解説します。
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<目次>
1.外資系コンサルとは?
2.外資系コンサルの主な種類と代表的なファーム
3.【役職別】外資系コンサルの役職ごとの仕事内容
4.外資系コンサルに転職するには?
5.外資コンサルとはタフだが汎用性の高いスキルセットが身につく
1.外資系コンサルとは?
外資系コンサルとは、一般的には本社が海外にある、外国資本のコンサル会社を指します。外資系コンサルの特徴として、グローバルなネットワークとそれをベースにした実績と知見を有している点、クライアント企業の経営アジェンダに幅広くアドバイスを提供できる点、また、各領域で高度な専門性を有している点が挙げられます。
2.外資系コンサルの主な種類と代表的なファーム
ここでは、外資系コンサルの主な分類である「戦略系」「総合系」「IT系」「人事・組織系」「FAS」について、またそれぞれについて代表的なファームを紹介します。
【戦略系コンサルファーム】
戦略系コンサルファームは、企業の中長期的な経営課題を主に扱います。代表的な戦略系コンサルファームには、以下のようなファームがあります。
■ マッキンゼー・アンド・カンパニー (McKinsey & Company)
マッキンゼー・アンド・カンパニーは、1926年に設立された世界有数の経営コンサルティングファームです。60カ国以上に展開し、約30,000人の従業員を擁しています。マッキンゼーは、戦略、デジタル、オペレーション、組織変革など幅広い分野で高い評価を受けています。日本においても、約1,000人のプロフェッショナルが在籍し、クライアントの成長と変革を支援しています。(2023年時点)
■ ボストン コンサルティング グループ (Boston Consulting Group, BCG)
ボストン コンサルティング グループは、1963年に設立され、現在では50カ国以上に展開し、約32,000人の従業員を擁するグローバルコンサルティングファームです。BCGは、戦略、デジタル、イノベーション、持続可能性などの分野で高い評価を受けています。日本においても、約1,200人のプロフェッショナルが在籍し、クライアントの課題解決を支援しています。(2023年時点)
■ ベイン・アンド・カンパニー (Bain & Company)
ベイン・アンド・カンパニーは、1973年に設立され、40カ国以上に展開し、約19,000人の従業員を擁するグローバルコンサルティングファームです。ベインは、プライベートエクイティ、戦略、オペレーション、デジタル変革などの分野で高い評価を受けています。日本においても、約300人のプロフェッショナルが在籍し、クライアントの成長と変革を支援しています。(2023年時点)
戦略コンサルとは?総合コンサルとの違いや仕事内容、やりがいを解説
【総合系コンサルファーム】
総合系コンサルファームは、戦略立案、組織改編、オペレーション改善など、クライアントの課題に対して幅広くサポートを行います。
代表的な総合系コンサルファームとして、以下のようなファームがあります。ここで紹介する4つのファームは「Big4」として分類されます。各社ともに、グローバルなネットワークと豊富な経験を活かし、クライアントの課題解決と持続可能な成長を支援しています。日本においても、それぞれの強みを活かしたサービスを提供し、多くの企業や組織の信頼を得ています。
■ デロイト (Deloitte)
デロイトは、150カ国以上に展開し、約456,000人のプロフェッショナルが所属するグローバルネットワークです。監査、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務・法務サービスを提供しています。デロイト トーマツ グループは、日本においても約21,000人の従業員を擁し、クライアントの多様なニーズに応えるための包括的なサービスを提供しています。(2023年時点)
■ EY (Ernst & Young)
EYは、150カ国以上に展開し、約400,000人の従業員を擁するグローバルプロフェッショナルサービスネットワークです。監査、コンサルティング、ストラテジー&トランザクション、税務の4つのサービスラインを通じて、クライアントが新たな機会を活かし、リスクを管理し、持続可能な成長を実現するための支援を行っています。EY Japanは約11,774人の従業員を擁し、国内外のクライアントに対して高品質なサービスを提供しています。(2023年時点)
■ PwC (PricewaterhouseCoopers)
PwCは、151カ国に約364,000人の従業員を擁する世界最大級のプロフェッショナルサービスネットワークの一つです。監査、税務、コンサルティング、アドバイザリーサービスを提供し、企業や個人が価値を創造するための支援を行っています。日本においても、PwC Japanグループは約11,500人の従業員を擁し、多岐にわたるサービスを提供しています。(2023年時点)
■ KPMG
KPMGは、143カ国に展開し、約273,500人の従業員を擁するグローバルネットワークです。監査、税務、アドバイザリーサービスを提供し、企業や公共機関、非営利団体など多様なクライアントに対して専門的な支援を行っています。KPMGジャパンは約9,000人の従業員を擁し、日本国内での強力なプレゼンスを持ち、クライアントのニーズに応じた高品質なサービスを提供しています。(2023年時点)
【IT系コンサルファーム】
IT系コンサルファームは、その名の通りITを主軸とした課題解決手段が強みです。具体的には、システムの構築・導入、ITを活用した業務効率改善などを中心としたアドバイザリー業務を展開します。IT系コンサルに転職するためには、ITソリューションに関する最新情報や高いIT知識が必要です。
代表的なIT系コンサルファームとして、以下の2社が挙げられます。
■ アクセンチュア (Accenture)
アクセンチュアは、120カ国以上に展開し、約750,000人の従業員を擁するグローバルなプロフェッショナルサービス企業です(2024年時点)。ストラテジー&コンサルティング、テクノロジー、オペレーションズ、インダストリーX、ソングの5つの領域でサービスを提供し、クライアントのビジネス変革を支援しています。日本においては、約25,000人の従業員が在籍し、多岐にわたるサービスを提供しています。
■ IBM
IBMは、175カ国以上に展開し、約345,000人の従業員を擁するグローバルなテクノロジー企業です(2024年時点)。ハイブリッドクラウド、AI、コンサルティング、インフラストラクチャーの分野で高い評価を受けています。日本IBMは、国内で約10,000人の従業員を擁し、幅広いITソリューションを提供しています。
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【人事・組織系コンサルファーム】
組織や人事領域の課題解決に特化したサービスを提供します。具体的には、人事戦略の設計から人事制度の策定、社内の変革推進(チェンジマネジメント)、M&Aにおける人事制度の統合支援などを手がけます。
代表的な人材・組織系コンサルファームには、以下のようなファームがあります。
■ マーサー (Mercer)
マーサーは、130カ国以上に展開し、約25,000人の従業員を擁するグローバルな人材コンサルティング企業です(2024年時点)。健康・福利厚生、投資、退職金制度、キャリア管理の分野で高い評価を受けています。日本においては、約1,000人の従業員が在籍し、クライアントの人材戦略を支援しています。
■ コーンフェリー (Korn Ferry)
コーンフェリーは、50カ国以上に展開し、約10,000人の従業員を擁するグローバルな組織コンサルティング企業です(2024年時点)。組織設計、リーダーシップ開発、タレントマネジメントの分野で高い評価を受けています。日本においては、約500人の従業員が在籍し、クライアントの組織変革を支援しています。
【FAS】
FASとは、「フィナンシャル・アドバイザリー・サービス」のことで、M&Aや財務に関する専門的な助言を行い、課題解決を幅広く支援します。具体的には、M&A支援、企業価値評価、企業再生、フォレンジック(セキュリティ事故が起きた場合に、端末やネットワーク内の情報を収集し、被害状況の解明や犯罪捜査に必要な証拠収集を行うこと)を含みます。
代表的なFASは以下の通りです。
■ デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー (Deloitte Tohmatsu Financial Advisory)
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、デロイトの一員として、M&A、企業再編などのファイナンシャルアドバイザリーサービスを提供しています。
■ PwCアドバイザリー (PwC Advisory)
PwCアドバイザリーは、PwCの日本におけるメンバーファームとして、M&A、事業再生、公共インフラなどの分野でディールアドバイザリーサービスを提供しています。
■ KPMG FAS
KPMG FASは、KPMGの一員として、M&A、企業再編、フォレンジック調査などのファイナンシャルアドバイザリーサービスを提供しています。
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3.【役職別】外資系コンサルの役職ごとの仕事内容
ここでは外資系コンサルの仕事内容を役職ごとに解説します。
【アナリスト・アソシエイト】
プロジェクトのサポート業務を行います。具体的には、主にデータ収集、分析、資料作成などの基礎的な業務を担当します。
【コンサルタント・シニアアソシエイト】
各プロジェクトにおいて一定の裁量が与えられ、クライアントへの提言やプレゼンテーション、解決策の提案なども行います。
【マネージャー・シニアマネージャー・ディレクター】
プロジェクト全体を取りまとめる責任者です。一般的には複数のプロジェクトを同時にマネジメントします。プロジェクトの進捗管理や予算管理、クライアントとのリレーション構築や、チーム育成、顧客開拓も行います。
【プリンシパル・マネージングディレクター・パートナー】
コンサルファームの最上位の役職に位置し、共同経営者としてファームの運営に深く関与するポジションです。ファームの業績に直接影響を与える重要な決定を行う責任を持ち、内部管理、クライアント経営陣とのリレーション構築、自社の成長戦略策定、顧客開拓などを担います。
4.外資系コンサルに転職するには?
外資系コンサルの転職には、明確な戦略と綿密な計画が欠かせません。以下では、外資系コンサルが求める人材像や、転職を成功させるための具体的なスキルセット、採用動向などに焦点をあてて解説します。
<外資系コンサルの転職における採用動向>
DXはコンサル業界にも大きな影響を与えています。特に生成AIを業務に導入する業務効率化案件や新規事業開発などのプロジェクトが急増している一方、2023年から一部外資系コンサルのリストラや中途採用の中止などが報じられました。
しかし、コンサル業界のビジネス全体が失速しているわけではなく、日本のコンサル市場は拡大傾向にあるといわれています。
コンサル業界の最新動向とは?転職市場における実態も紹介
<外資系コンサルが求める人材像>
外資系コンサルでの業務は激務であり、グローバルなコミュニケーションスキルが求められます。そのため、以下のような人物像が求められています。
*論理的思考力がある
*コミュニケーション能力が高い
*臨機応変な対応力がある
*向上心がある
*ストレス耐性が高い
<外資系コンサルへの転職を成功させるポイント>
外資系コンサルへの転職を成功させるポイントは、徹底した準備に尽きるでしょう。前職までの経歴のアピールポイントを整理し、志望動機を明確にし、自身がどのように貢献できるかを具体的に言語化できるようにしておきます。
加えて、外資系コンサルは採用プロセスが厳しく、精神的にもタフでなければ乗り切ることができません。また、各コンサルファーム特有のケーススタディが出題が予測されるため、前もって面接対策が必要になります。
特に欠かせないのが、フェルミ推定とビジネスケースへの対策です。フェルミ推定とは、「日本にあるマンホールはいくつか」など、実際に調査することが難しい数量や規模を最低限の知識と論理的嗜好で短時間に推定する問題です。また、ビジネスケースとは、採用されたプロジェクトの妥当性や投資価値などを説明するための資料のことであり、それに対して自分なりの解決法を問われます。
5.外資コンサルとはタフだが汎用性の高いスキルセットが身につく
外資系コンサルは採用プロセス、業務内容いずれもタフですが、それだけにビジネスパーソンとして身に着けるべき、汎用性の高いスキルセットを手に入れることができます。
また、スキルアップとともに広い裁量が与えられ、ポジションとともに年収もアップしていくことが期待できます。
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