コンサルティングファームへの転職は、年収が上がりやすいと言われています。
ただし、上がり幅は人によって大きく異なるのが実情です。転職時の年収は「現年収」と「上流工程の経験」を土台に決まり、さらに年収交渉の進め方によっても差がつきます。
年収アップを狙ううえで押さえておきたいポイントは、以下の3つです。
- 面接で高い評価を取る
- 交渉材料として他社のオファーを持つ
- 応募先の給与テーブルを理解する
今回、タイグロンパートナーズのコンサルタントである上田に話を聞きました。上田は、大手IT商社での人事、人材・組織コンサルを経て転職エージェントに転身し、現在はコンサル業界を志望する方の転職を、経験者から未経験の方まで幅広く支援しています。
この記事では、年収が決まる仕組みから、希望年収の伝え方で失敗するケースまで、支援の現場で見てきたことを具体的にご紹介します。
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コンサル転職で年収が上がりやすい理由
コンサル転職は、年収が上がりやすい傾向にあります。背景にあるのは、コンサルティングファームという仕事の性質と、上がり続けている業界の給与水準です。
コンサルティングファームは、クライアントの経営課題を解決することを仕事にしています。経営課題の解決には優秀な人材が欠かせず、人材を採用するうえでは待遇が大きな魅力の1つです。事業会社と比べて待遇面で魅力的に映ることが、優秀な人材を集める力になっています。
給与水準そのものも上がり続けています。あるコンサルティングファームが給与を上げると、ほかのコンサルティングファームも追いかけて上げるため、業界全体で毎年どこかしらで給与が上がっている状況です。動画を公開した2026年3月時点では、新卒でも600万円ほどの水準が出てきています。
業界全体の給与水準を知ったうえで、次に紹介する「転職時の年収の決まり方」を押さえておくと、自分の年収がどう動きそうかを考えやすくなるでしょう。
転職時の年収はどう決まる?ポイントは「現年収」と「評価される経験」
転職時の年収を左右する要素は、大きく2つです。1つは転職前の年収(現年収)、もう1つは企画や要件定義といった上流の経験です。
1. 転職前の年収(現年収)
現年収が高い人に対しては、コンサルティングファームも今の年収以上の金額を提示しなければ転職してもらえないため、現年収が高い人ほど、転職時の年収も高くなりやすいといえます。コンサル転職の年収はまったく新しく値付けされるわけではなく、今の年収が1つの基準になると考えておくとよいでしょう。
2. 企画や要件定義など「上流」の経験
経営企画や営業企画など、より上流の業務を経験してきた人は評価されやすい傾向があります。システム導入に携わってきた人の場合も、評価されやすいのはプログラミングなどの実装部分ではなく、要件定義のような上流の工程です。上流の経験を持つ人は、選考の段階で「ぜひ来てほしい」と評価され、提示額を上乗せしてもらえることも十分にあり得ます。
上田は、経験の評価はアピールの仕方によって「大きく変わる」と実感しています。経験を持っているだけでなく、面接で伝えきれるかどうかまでが、転職時の年収を左右すると考えておきましょう。
年収の上がり幅の目安と、上がりにくいケース
年収の上がり幅は、人によって大きく異なります。若くても大きく上がる人がいる一方で、年齢が上でも上がらない人もいます。上がり幅を決めるのは年齢ではなく、前の章で紹介した現年収と経験、そしてアピールの仕方です。
タイグロンパートナーズが実際にご支援した方の中には、数百万円単位で年収が上がった例もあります。コンサル未経験の若手で、IT領域の上流から下流まで一通り経験し、チームのリーダーも務めていた方は、入社時の役職で中途採用の上限にあたる年収で入社しました。経営層として働いてきたミドル層の方が、コンサルに転じて大きく年収を上げた例もあります。
全員が数百万円単位で上がるわけではありませんが、年収アップを狙える人は多いです。
年収が上がりにくいのは「現年収が高く、経験がコンサルティングファームで評価されにくい」人
年収が上がりにくいのは、現年収が高い一方で、経験がコンサルティングファームで評価されにくい人です。現年収とコンサルティングファームからの評価の間に、マイナスのギャップが生まれることがあります。
たとえば、特定の分野で専門性を磨いて高い年収を得てきた人でも、専門分野での経験がコンサルティングファームの仕事で評価されにくければ、提示額は現年収に届かないかもしれません。現年収が高いほど、さらに上乗せしてもらうのは難しくなります。
ただし、年収が上がりにくいパターンは「たまにある」程度です。現年収と、自分の経験がコンサルティングファームでどう評価されそうかを事前に整理しておけば、転職後の年収の見通しは立てやすくなります。
年収交渉で大切な3つのこと
年収交渉で大切なのは、次の3つです。
- 面接で高い評価を取る
- 交渉材料として他社のオファーを持つ
- 応募先の給与テーブルを理解する
コンサルティングファームの側から見れば、できるだけ条件を抑えて採用したいのが本音でしょう。だからこそ年収交渉では、コンサルティングファームが持っている上乗せの余地をどう引き出すかというテクニックに関心が向きがちです。
1. 何より大切なのは、面接で圧倒的な評価を得ること
年収アップのために一番お伝えしたいのは、交渉のテクニックよりも、面接で圧倒的な評価を得ることです。評価が突き抜けて高ければ、コンサルティングファームは評価した役職で出せる上限の金額(満額)を出してでも採用しようとするため、テクニックに頼る場面はほとんどなくなります。
コンサルティングファームの面接では、A・B・C・Dのような段階で評価をつけるのが基本です。最高評価のAが出るのは1〜2割ほどと言われており、Aの評価を取れれば、コンサルティングファームは年収を積み増してでも採用しようとする傾向があります。
上がり幅の例で紹介した若手の方も、面接でAの評価を得ていました。オファーを出したコンサルティングファームはいずれも「ぜひ採用したい」と判断し、そろって満額を提示しています。
もちろん、交渉のテクニックも大事で、実際の支援でも使っています。とはいえ、年収アップの土台になるのは、まず面接対策で評価を高めることです。
2. 交渉材料として、他社のオファーを複数持つ
年収交渉では、交渉材料を持つことが欠かせません。コンサルティングファームに「希望年収は○○万円です」と伝えるだけでは、話が進まないまま終わってしまいます。
面接評価のほかに有効な交渉材料が、他社から出たオファーの金額です。たとえばA社から1,000万円のオファーが出ていれば、B社との交渉では、1,000万円を上回る金額を出せるかどうかを話し合えます。
1社だけを受けて、提示された金額で決めるかどうかを考える進め方では、比べる材料がありません。タイグロンパートナーズでは、選考を受けるなら複数のオファーを狙うようお伝えしています。第一志望のコンサルティングファームの選考を後ろに持ってきて、先に出た他社のオファーをもとに交渉するといった日程の調整も行っています。
3. 応募先の給与テーブルを理解する
コンサルティングファームには、コンサルタント(C)、シニアコンサルタント(SC)、マネージャー(M)といったタイトル(役職)があり、タイトルごとに給与のレンジが決まっています。「シニアコンサルタントで採用」のようにタイトルが決まれば、提示される年収もタイトルのレンジの中に収まる仕組みです。
年収交渉では、評価されたタイトルのレンジの満額を基本の狙いにしたうえで、賞与の仕組みなども加味して「どこまでなら交渉できるか」を見極めます。給与テーブルを知らなければ、上限を攻めることは難しくなります。
ただし、給与テーブルを個人で正確に把握するのは簡単ではありません。インターネットやYouTubeでも各社の給与テーブルは紹介されていますが、支援の中でコンサルティングファームの方から聞いている情報と比べると、古いデータのものが多く見られます。コンサルティングファームの給与は毎年のように上がっているため、インターネット上では情報の更新が追いついていないのが実情です。
他社のオファーを並べるための選考スケジュールの組み方
他社のオファーを交渉材料にするには、各社のオファーが同じ時期にそろうように、選考スケジュールを組むことが必要です。ところが、選考にかかる期間はコンサルティングファームによって大きく異なり、早いところでは1週間、長いところでは1カ月半ほどかかります。
オファーの回答期限もコンサルティングファームによって違い、1週間で回答を求めるところもあれば、相談すれば期限を延ばせるところもあります。回答期限の中に各社のオファーを収めなければ、オファーを並べて比べることも、交渉することもできません。
オファーをそろえるための日程調整も、転職エージェントの仕事の1つです。タイグロンパートナーズでは、各社の選考期間を踏まえて日程をパズルのように組み、第一志望のコンサルティングファームにもっともよい形で臨めるように調整しています。5〜6社からオファーが出た方について、短い期間にすべてのオファーを並べて検討し、交渉につなげたこともあります。
各社の選考にどのくらい時間がかかるのかは、一般の転職者にはなかなか知り得ない情報でしょう。特に、初めての転職や転職経験が少ない人であればなおさらです。候補者が受けている各社から次々に入る連絡に合わせて、都度日程を調整する必要もあり、個人で組み立てるのはかなりハードルが高いといえるでしょう。
希望年収の伝え方で失敗するケース
給与テーブルを知らないまま希望年収を伝えると、せっかく面接で評価されても、見送りになったり損をしたりすることがあります。支援の中で実際に見てきた失敗のパターンを2つ紹介します。
希望が高すぎて、評価されたタイトルのレンジを超えてしまう
1つ目は、評価されたタイトルのレンジを超える希望を出してしまうケースです。シニアコンサルタントと評価した人に、マネージャーの給与は出ません。レンジを超える希望を出すと、どのタイトルにも当てはまらない人と判断され、見送りになることがあります。
タイグロンパートナーズでは、レンジを超える希望の出し方はおすすめしていません。とはいえ、仕組みを説明したうえで「希望の金額でなければ受け入れない」と譲らない方もいます。レンジを超える希望をコンサルティングファームに伝えたところ、「面接の評価は良かったが、評価はシニアコンサルタントで、希望はマネージャーの水準なので見送り」と返ってきたこともあります。
- NG:評価される見込みのタイトル(例:シニアコンサルタント)を超えて、1つ上のマネージャーの水準の年収を希望する
- OK:評価される見込みのタイトルのレンジの満額を希望し、賞与の仕組みなども含めて上限を狙う
レンジの上限を攻めることと、レンジを超えることは別物です。上限までは狙いつつ、タイトルの枠は超えないという線引きを知っているかどうかで、結果は大きく変わります。
希望が低すぎて、1つ下のタイトルでオファーが出てしまう
2つ目は反対に、希望を低く出しすぎて損をするケースです。シニアコンサルタントで採用されてもおかしくない人がコンサルタントの水準で希望を出すと、そのままコンサルタントとしてオファーが出ることがあります。
コンサルティングファームにとっては、シニアコンサルタントとして採れる人材をコンサルタントの給与で迎えられるなら、ありがたい話です。競合する他社がいなければ、コンサルティングファームの側からあえて条件を引き上げる理由はありません。
- NG:自分がどのタイトルで評価されそうか分からないまま、控えめな金額で希望を出す
- OK:応募先の給与テーブルと、評価されそうなタイトルを把握したうえで、タイトルのレンジの満額を狙う
高すぎても低すぎても損をするからこそ、希望年収はなんとなく決めるのではなく、給与テーブルをもとに決めることが大切です。
転職エージェント経由だと年収が下がる?という疑問
転職エージェントを通して転職しても、手数料を理由に年収が抑えられる心配はあまりありません。エージェントを通すとコンサルティングファームは紹介手数料を支払うため、「手数料の分だけ年収を抑えるのではないか」と気にする方もいます。候補者から3〜4カ月に1回ほど寄せられる質問ですが、心配いらない理由は次の2つです。
コンサルティングファームからは「転職エージェント経由の候補者の方が評価が高い」と聞いている
1つ目は、コンサルティングファーム側の評価です。各社から聞いている話では、直接応募した候補者と比べて、転職エージェント経由の候補者の方が面接評価が高い傾向があり、書類選考の通過から内定に至る確率も高くなっています。採用の効率がよいという意味で、コンサルティングファームとしても転職エージェントを使ったほうがよいと考えています。
実際、転職エージェント経由であることを理由に不利になったという話は、候補者からもコンサルティングファームからも特に聞いていません。むしろ各社からは「積極的に紹介してほしい」と言われています。
紹介手数料は、コンサルティングファームの採用予算から見れば誤差の範囲
2つ目は、金額の話です。コンサルティングファームは年間で採用予算を確保しており、大手であれば予算の規模はかなり大きくなります。年間の採用予算全体から見れば、1人分の紹介手数料は誤差の範囲です。候補者個人から見れば大きな金額に感じますが、コンサルティングファームの目線では受け止め方が異なります。
転職エージェントの立場から見ても、候補者の年収が上がることはインセンティブの面でプラスになります。上田は、候補者の年収を上げることに、候補者ご本人以上に力を尽くす姿勢で臨んでいます。日程を調整し、最後に条件を詰めて交渉し、もっとも高い条件を目指すのが自分の仕事だと考えているからです。年収だけを追っているわけではありませんが、年収を上げることは最重要項目の1つに位置づけています。
まとめ
コンサル転職は、年収が上がりやすい傾向があります。ただし転職時の年収は「現年収」と「上流工程の経験」を土台に決まり、上がり幅は人によって大きく異なります。年収アップを狙うために大切なのは次の3つです。
- 面接で高い評価を取る
- 交渉材料として他社のオファーを持つ
- 応募先の給与テーブルを理解し、評価されたタイトルのレンジの満額を狙う
とくに、選考スケジュールの設計や最新の給与テーブルの把握は、個人で進めるにはハードルが高い部分です。年収アップを狙うなら、転職エージェントと一緒に進めることをおすすめします。
タイグロンパートナーズでは、コンサル業界への転職を希望する方の選考対策や年収交渉をご支援しています。コンサル未経験の方も経験者の方も、お気軽にご相談ください。