ITコンサルの年収は、各社で役職ごとにある程度のテーブルが決まっています。SIerや社内SEなど、コンサル未経験から転職する場合も年代ごとにスタートする役職の目安があり、SIerからの転職では年収が上がるケースが多く見られます。
押さえておきたいポイントは、以下の通りです。
- 役職別の年収目安:シニアコンサルタントで最大1,200万円程度、マネージャーで最大1,500万〜1,700万円程度、シニアマネージャーは高いところで2,500万円程度
- 未経験から転職した場合の役職:30代はシニアコンサルタント、40代以降は基本的にマネージャーからのスタートが目安
- 仕事内容:IT戦略・構想策定から実行支援(PMO)まで。未経験の場合、多くはPMO案件から入る
- 向いている人:「こだわれるけれど、こだわりが強くない」人
今回、タイグロンパートナーズのコンサルタントである眞知田と持田に話を聞きました。眞知田は、大手SIerでインフラエンジニアとして働いた後に転職エージェントに転身し、DX・ITコンサル領域を中心に転職支援を行っています。持田は新卒で人材紹介会社に入社して以来、一貫して転職エージェントとして働き、DX・ITコンサル領域で40代から50代後半の方を中心に支援しています。
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ITコンサルの年収は役職ごとのテーブルでおおよそ決まる
ITコンサルの年収は、どの役職で入社するかによって、レンジがおおよそ決まります。役職別の目安は次の通りです。
- シニアコンサルタント:最大1,200万円程度
- マネージャー:最大1,500万〜1,700万円程度
- シニアマネージャー:高いところで2,500万円程度
ITコンサルの年収レンジは以前より上がっており、シニアコンサルタントでも1,200万円程度が出るようになりました。背景にあるのは、各社による年収の見直しと、日系コンサルティングファームの単価の上昇です。
1つ目の背景として、各社が他社の水準を意識して年収を見直しており、どこかが引き上げると他社も追従する傾向があります。
2つ目は、日系のコンサルティングファームが案件を取れるようになったのに伴い、単価と年収レンジが上がったことです。日系のコンサルティングファームに依頼が集まる理由としては、次のような事情があります。
- 「任せるなら日系のコンサルティングファームに任せたい」と考える経営者がいる
- 日系にも大手コンサルティングファーム出身者が在籍しているなら、単価の低いコンサルティングファームに頼んだほうがよいと判断される
なお、今後はもう少し上がる可能性があるものの、大幅に上がり続けることは考えにくく、シニアコンサルタントでは1,200万〜1,300万円程度が上限になるとみられます。
SIer・社内SEからITコンサルに転職した場合の役職と年収の目安
コンサル未経験でITコンサルに転職する場合、スタートする役職は高くてもマネージャーまでが基本です。転職後の年収は、どの役職で入社できるかと、前職の年収との兼ね合いで決まります。
30代はシニアコンサルタント、40代以降はマネージャーからのスタートが目安
30代でコンサル未経験から転職する場合、シニアコンサルタントからのスタートが1つの目安で、年収は最大1,200万円程度のレンジになります。
40代以降は基本的にマネージャーでの採用となり、年収はマネージャーのレンジ(最大1,500万〜1,700万円程度)の中で決まります。ただし、40代で採用される場合は、前職でのマネージャー職の経験が求められます。一部のコンサルティングファームでは、40代後半の方をシニアコンサルタントとして採用するケースもあります。
SIerからの転職では年収が上がるケースが多い
役職ごとのテーブルがあるため、SIerからITコンサルに転職した方は、年収が上がるケースが多く見られます。
ただし、転職した瞬間に年収が大きく跳ね上がるとは限りません。最初は前職の年収をベースに条件が決まることが多いため、数年かけて伸びていくと考えられます。
ITコンサルの仕事内容は、IT戦略・構想策定から実行支援まで
ITコンサルの仕事は、事業会社のIT戦略やITの構想策定から、戦略や構想を形にする実行支援まで幅広くあります。最近は、プロジェクトの遂行まで支援するケースが増えています。
ITコンサルは、事業会社のCIO(最高情報責任者)やCDO(最高デジタル責任者)といったCxOクラスから課長クラスまでとやり取りしながら、細かな課題感を抽出・特定し、プロジェクト化していきます。
社内SE・SIerから見たITコンサルの仕事
社内SEの方なら、プロジェクトマネジメントやシステム企画につきものの、社内の煩雑なプロセスをすべて取り払い、構想やプロジェクトマネジメントの部分だけを、様々なクライアントに対して行う仕事だとイメージするとわかりやすいでしょう。
SIerの方には、「大手SIerの課長以上の方が担っている業務を中心に行い、さらに企画構想フェーズが加わる」と説明すると伝わりやすくなります。大手SIerで課長以上が担っている仕事を、ITコンサルでは全員が担うイメージです。
事業会社がITコンサルに依頼する2つの理由
事業会社が、決して安くはない費用を払ってITコンサルに依頼するのには、次の2つの理由があります。
1. プロジェクトを推進できる人員がいない:そもそも事業会社側に、プロジェクトを推進できる人員が足りていないのが現状です。
2. 他社がどうしているかを知りたい:ITコンサルは同じような業界のクライアントを見ているため、他のクライアントでのやり方を例に挙げながら進め方を提案できます。
PMOとは何をする仕事か、なぜ需要が増えているのか
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)は、ITコンサルの実行支援の中心となる仕事です。主に課題管理やスケジュール管理を行い、プロジェクトが品質を維持できているかどうかを見ていきます。
PMOの需要が増えているのは、戦略を実装する段階でプロジェクトがいくつも派生するためです。IT戦略やDX戦略を複数のシステムに落とし込もうとするとプロジェクトが複数立ち上がり、それぞれにPMOが必要になります。業界全体としても、戦略の絵を描いて終わりではなく、実行まで見て、現実的にできるかどうかを判断しながら推進できる人材が求められています。
一方で、ITコンサルを目指す方も増えています。SIerの方には、単にシステムを作るだけでなく、「そもそもなぜシステムが必要なのか」という根本に関わりたいと考え、上流工程を目指す方が非常に多くいます。ただし、転職後に携わりたいと考える方が多い戦略設計などの上流の案件よりも、戦略から派生するPMOの案件のほうが、構造的に増えやすい点は押さえておきましょう。
未経験からITコンサルの上流工程に上がるまでのキャリアの流れ
ITコンサル未経験で転職する場合は、まずPMOの案件から入り、PMOとして専門性を示した人が企画構想フェーズに引き上げられるのが一般的な流れです。最初から企画構想のフェーズに入れるのは、特定の業界や尖った技術領域に非常に詳しい方など、特化した知見を持つ方です。
PMOの案件では、コンサルティングファームとしての動き方や、自社がコンサルティングとして提供しているサービスの中身を身につけていきます。企画構想フェーズへと引き上げられるのは、PMOの経験を積むなかで頭角を現した人や専門性を持った人です。PMOとして入ったプロジェクトでクライアントに提案し、新しいプロジェクトが立ち上がった際に、提案した本人が企画構想から入るルートもあります。
上流工程へのチャレンジに必ずしも長い時間がかかるわけではなく、人によっては早い段階で上流に携われる可能性もあります。
ITコンサルに向いている人・向いていない人
ITコンサルに向いている人物像を一言で表すと、「こだわれるけれど、こだわりが強くない」人です。ITコンサルは新しい技術の知見を常に取り入れる必要があるため、自分の得意な領域だけに限って仕事をしたい人は、上の役職に上がりにくく、合わないことがあります。かといって、「自分は〇〇が強い」というこだわりがないのも問題です。強みを聞かれた場面では、次のような違いが出ます。
- NG:「〇〇の領域には自信があるので、〇〇の案件だけを担当したいです」(こだわりが強すぎる)
- NG:「特に強みといえるものはありませんが、何でもやります」(こだわりがない)
- OK:「私の強みは〇〇です。加えて、隣接する領域も積極的に学んでいきます」
向いている人:クライアントの上層部と良好な関係を築ける人
ITコンサルでは、パーソナリティの面も大事になります。たとえば、愛嬌がある、クライアントの上位層から好感を持たれる人柄である、といった点です。金融機関の案件などではクライアントの上位クラスの方々と接する必要があり、うまくコミュニケーションを取りながらプロジェクトを推進していく力が求められます。
なお、「エンジニアは口下手で対人能力が低い」といったイメージがインターネット上で語られることもありますが、エンジニア出身であること自体が不利になるわけではありません。
向いていない人:経験してきた範囲から領域を広げられない人
経験してきた範囲から領域を広げられない人は、ITコンサルでは苦労しやすくなります。自分が関わってきたシステム開発を強みにしてきた方でも、他の業界のITについて学び、キャッチアップしていかなければ厳しい環境です。様々な分野にアンテナを張り、自主的に勉強し続ける姿勢は、役職を問わず基本的に求められ続けます。
なお、コンサルティングファームには尖った専門性を持つ人も必要で、「パブリッククラウドのことは〇〇さんに聞けばすべてわかる」という役割の方はどこのファームにもいます。ただし、1つの領域の突き抜けた専門性で活躍する人はごく少数です。
SIer出身者がITコンサルを目指すときに意識したいこと
SIerからITコンサルを目指すなら、特定の技術へのこだわりが強すぎないかと、ベンダーフリーの提案に必要な情報収集を続けられるかの2点を意識しておきましょう。SIerならではの働き方や志向が、コンサルティングファームではギャップになることがあるためです。
「特定の技術でいく」という志向が強すぎないか
SIerの方のなかには、自分は特定の技術でいくと決めている方も少なくありません。SIer出身の眞知田によると、SIerには特定のプロダクトに特化した働き方になる会社もあれば、業界ごとに部署が分かれていてもクライアントが固定され、結局担当する業務が同じになる会社もあるためです。
特定の技術だけで勝負したいという志向が強くなっていると、SIerで活躍してきた方でも、コンサルティングファームでは「技術だけではない」と言われ、適性がないと判断される可能性があります。
「ベンダーフリーで提案したい」なら情報収集を続けられるか
SIerからITコンサルを目指す方から多く挙がるのが、「ベンダーフリーで提案したい」という志望動機です。SIerでは自社と取引のあるベンダーの製品を導入することが多いため、顧客の環境に合った提案をしたいと考えてコンサルに移る方は多くいます。
ただし、ベンダーフリーで提案するには、様々なベンダーの製品に詳しくなり、クライアントごとに合う製品を判断できるだけの情報を幅広く集め続けなければなりません。言うのは簡単ですが、実際に続けるのはかなり大変です。情報収集の大変さも含めて受け止められるかを考えておきましょう。
ITコンサル転職がうまくいく人の前職と年収アップの事例
ITコンサルへの転職がうまくいく人には、大手SIer出身の方が多く見られます。ただし大手に限らず、企業名があまり知られていないSIerから転職するケースもあります。
ITコンサル側がまず見ているのは、システム開発のライフサイクルを理解しているかどうかです。加えて、要件定義をはじめとする工程のうち、どこまでを経験してきたかによって評価は大きく変わります。30代から50代まで、また部長クラスから役職が付く手前の方まで、チャンスは幅広くあります。
事例1:SIerで年収800万円の30代に、ほぼ倍の年収でオファー
眞知田が支援した事例では、SIerで年収800万円の30代の方に、あるコンサルティングファームから、ほぼ倍の年収でオファーが出ました。評価されたのはAIに関する経験で、技術面に加えてガバナンスの領域にも触れていたことで、需要の高い領域をカバーできていました。
事例2:ユーザー系SIerの50代に、1,000万円を超えるオファー
持田が支援した事例では、事業会社系列のユーザー系SIerで働く、年収1,000万円に届いていなかった50代の方に、1,000万円を超えるオファーが出ました。最初の面談ではご本人は転職できるのか半信半疑でしたが、積んできた経験が転職先の求める内容と合致しており、オファーの獲得につながっています。
まとめ
ITコンサルの年収は、役職ごとのテーブルでおおよそ決まります。
- シニアコンサルタント:最大1,200万円程度
- マネージャー:最大1,500万〜1,700万円程度
- シニアマネージャー:高いところで2,500万円程度
未経験から転職する場合、30代はシニアコンサルタント、40代以降は基本的にマネージャーからのスタートが目安で、SIerからの転職では年収が上がるケースが多く見られます。一方で、未経験であればPMOの案件から入ることが多く、上流工程に上がるには、専門性を持ちながら幅広く学び続ける「こだわれるけれど、こだわりが強くない」姿勢が欠かせません。
タイグロンパートナーズでは、SIer出身やコンサルティングファーム出身のメンバーが、積み重ねてきたご経験を深掘りしながら、ITコンサルでのキャリアパスをご提案しています。「本当にITコンサルに転職できるのか」「自分の経験は評価されるのか」と迷っている段階でも構いません。お気軽にご相談ください。