転職エージェントには、企業を訪問する担当者と、候補者と面談する担当者が分かれている「片面型」と、1人の担当者が企業と候補者の両方に会う「両面型」があります。どちらが優れているというものではありませんが、自分の転職に合わない仕組みを選ぶと、エージェントを使っていても入社後のミスマッチにつながることがあります。
転職エージェント選びで押さえておきたいポイントは、以下の通りです。
- 片面型は分業で多くの求人を扱え、両面型は企業の生の情報を直接伝えられる
- 片面型は間に入る人が多いぶん、情報や専門職の業務範囲のずれが起きやすい
- 若手のキャリアチェンジや汎用的な職種なら片面型、専門職やピンポイント採用なら両面型が向いている
- 担当者が両面型かどうかは「紹介された企業に行ったことがありますか」と聞くとわかる
- 応募や内定承諾を急かす言動には注意し、回答期限は明確な理由があれば交渉できることが多い
今回、タイグロンパートナーズのコンサルタントである小早川と小崎に話を聞きました。小早川は人材業界での16年のほとんどを両面型の転職エージェントとして働き、製造業の研究開発領域を中心に、理系の修士や博士を取得した技術者の転職を支援しています。小崎は転職エージェントとして18年以上の経験を持ち、製造業の設計開発、CAE解析などのシミュレーション・解析領域、製造業コンサルへの転職を専門に支援しています。
▼元動画はこちら
コンサル未経験から60%以上が大手ファームに内定
未経験コンサル転職の成否は能力の差ではなく
『準備』と『情報』の差にあります。
業界特有の選考基準を知らないまま
転職活動をしてもうまくいきません。
タイグロンパートナーズでは、専門コンサルタントが応募先選定から選考対策・年収交渉まで伴走します。
- 豊富な業界知見・人脈・経験
- 実績に基づく独自の選考対策
- 中長期視点でのアドバイス
転職エージェントを使っても、入社から1年ほどでミスマッチに気づく人がいる
転職エージェントに相談して転職しても、入社から1年ほどで「思っていた会社と違った」と気づく人は実際にいます。
入社して最初の3カ月から半年ほどは、新しい人間関係に慣れたり勉強したりするのに必死で、違和感に気づきにくいものです。入社直後の慌ただしい時期を過ぎた半年から1年ほどのタイミングで、「何かおかしい」と感じ始める方が出てきます。
小崎が年間に面談する300人以上の方のうち、1〜2割ほどは転職して間もない方です。早い方では入社から1カ月ほどで相談に来られ、平均すると入社から1年ほどの方が多くなっています。
ミスマッチの背景の一つが、転職エージェントの「片面型」と「両面型」という、候補者からは見えにくい仕組みの違いです。
転職エージェントの両面型と片面型の違い
転職エージェント(人材紹介会社)の担当者の役割分担には、片面型と両面型の2つの形があります。片面型は効率を、両面型は企業から直接得られる情報量を重視した仕組みです。
片面型は、企業に行く担当者と候補者に会う担当者が別々
片面型は、企業を訪問して求人を獲得する担当者と、候補者と面談する担当者が分かれている仕組みです。一般に、企業を訪問する担当者はRA、候補者と面談する担当者はCAと呼ばれることもあります。企業と候補者それぞれの要望をデータベース上でマッチングし、求人を紹介します。
分業によって効率が大きく上がるのが片面型の強みです。候補者と面談する担当者は1日に何人もの候補者と会い、企業を訪問する担当者は1日に3〜4件の訪問を入れることもできるため、多くの求人と候補者を扱えます。ただし、面談している担当者が紹介先の企業に実際に行ったことがない場合もあります。
両面型は、1人の担当者が企業と候補者の両方に会う
両面型は、1人の担当者が企業の訪問と候補者との面談の両方を担う仕組みで、タイグロンパートナーズも両面型で転職を支援しています。経営者や技術部門のトップが求めるスキルは求人票でも伝わりますが、採用の背景やどのような人に来てほしいのかといった生の情報や温度感は、直接聞いているからこそ候補者に伝えられるものです。
タイグロンパートナーズでは、企業を訪問して役員や社長に話を聞く際、求める人物像の話は2割ほどで、残りの8割は今後の経営の方向性を伺い、ビジョンを理解したうえで合う方を探しています。企業で聞いた情報はそのまま候補者に、候補者の今の気持ちは企業にダイレクトに伝え、双方の認識をすり合わせながら進められるのが両面型の大きなメリットです。
一方で、両面型の担当者は企業訪問も候補者探しも面談もすべて自分で行うため、こなせる数は片面型の半分から3分の1ほどになりがちです。タイグロンパートナーズの場合、担当者1人が密にやり取りできる企業は20社、多くても30社ほどで、候補者と会う時間と両立できる範囲で企業と接点を持っています。
片面型でミスマッチが起きやすい2つの理由
片面型は効率のよい仕組みですが、転職する人の職種や状況によっては、ミスマッチが起きやすくなる面もあります。主な理由は次の2つです。
理由1:間に入る人が多いほど、伝言ゲームのように情報がずれる
間に入る人が多いほど、企業の考えは候補者に届くまでに少しずつずれていきます。片面型と両面型の違いは、伝言ゲームにたとえるとわかりやすくなります。話を渡していくのは、片面型では「企業の人事、企業を訪問する担当者、候補者と面談する担当者、候補者」の4者、両面型なら「企業の人事、担当者、候補者」の3者です。間に入る人が1人少ないぶん、両面型では企業の考えが明確に届きます。
企業の思いや社風は、もともと文章にしにくいものです。伝わる情報が減るとスキルや人材要件といった文字の情報だけでマッチングすることになり、入社してから「話が違った」というミスマッチが起きやすくなります。途中で言葉が強まり、企業の「できるだけ早く」が「すぐに回答してください」と伝わって、候補者の判断を急がせてしまうこともあります。
理由2:専門職では、同じ職種名でも業務範囲の違いが伝わりにくい
技術職や研究職などの専門職では、候補者が担ってきた業務範囲と、応募先が求める業務範囲が合っているかを見極める必要があります。
たとえば「回路設計」も、半導体、基板、制御装置で中身が異なる言葉です。小早川は実際、半導体の回路設計を専門とする方から「いつも制御の回路設計を紹介されて困っていた」という話を聞いたことがあります。片面型では、企業から「回路設計の領域が違います」という見送り理由が返ってきても、幅広い業界の方と面談する担当者の手元には見送り理由の一文しか情報がなく、ずれた紹介が続いてしまうことがあります。
片面型が向いている人・両面型が向いている人
若手のキャリアチェンジや汎用的な職種なら片面型、専門職やシニア層の転職、ピンポイントの採用なら両面型が向いています。転職の目的や職種によって、合う仕組みは変わります。
片面型が向いているのは、若手のキャリアチェンジや汎用的な職種
20代の若手で、キャリアチェンジをしたい、違う業界に行きたいという方には、扱う求人の数が多く、選択肢を広く比べられる片面型のほうが合う場合があります。営業やマーケティングなど、いわゆる文系職の若手の方も同様です。どの会社にもあるポジションなので、会社ごとに文化が多少違っても、ミスマッチは比較的起こりにくいといえます。
両面型が向いているのは、専門職やシニア層、ピンポイントの採用
専門的なスキルを持つ方や、シニアとして転職する方は、両面型のほうが合いやすいといえます。製造業のコンサルや研究職などは企業をまたいで汎用的に考えにくく、企業側も細かく人材を見ているからです。理系の技術職では、技術の中身だけでなく、候補者の仕事ならではの苦労ややりがい、面白さまで理解している担当者のほうが、合う求人を見つけやすいでしょう。
企業側も、採用人数に応じて転職エージェントを使い分けています。人数を集めたいポジションなら片面型のほうが多くの応募が集まりますが、1人しか採用しないポジションに200人を推薦されても人事は困ってしまいます。だからこそ、ピンポイントの採用は両面型のエージェントに依頼するなど、意図的に使い分けている企業は少なくありません。
10人を採用するポジションなら、200〜300人の推薦から10人を選ぶことになります。一方、タイグロンパートナーズが扱う1人採用のポジションでは、3〜5人ほどの推薦で決まることが多くあります。面談の段階で企業とかなりすり合わせができており、候補者が合っているかどうかを企業の目線に近い感覚で確かめられるためです。
両面型の転職エージェントは、求人票にない採用ニーズから紹介することもある
両面型の転職エージェントは、企業が今どのようなことに困っているのかを求人が出る前の段階から把握しているため、求人票にない採用ニーズをもとに紹介できることがあります。
面談の時点で紹介できる求人が見当たらないときも、「〇〇さんのご経歴なら、△△社で〇月ごろに求人が出てくる可能性があります」とお伝えできることがあります。実際に、面談から半年後や1年後に転職活動を始めて、転職先が決まるケースも珍しくありません。
また、企業から組織体制を伺う中で、「〇〇のポジションは手薄ではないですか」という話が出てくることもあります。組織変更をしたばかりで今は採用できないと言われても、手薄なポジションを覚えておけば、合いそうな方に出会ったときに双方へご案内でき、転職が決まるケースもあります。
担当者が両面型かを見分けるための3つの質問
担当者が片面型か両面型かは、面談で次の3つを聞いてみると判断しやすくなります。転職エージェントによってはホームページに記載していることもあるので、あわせて確認するのも一つの手段です。
「紹介された企業に行ったことがありますか」と聞く
もっともシンプルなのが、「紹介された企業に行ったことがありますか」と担当者に聞く方法です。企業を訪問したことがあるかどうかで、両面型かどうかはすぐにわかります。
「私の仕事をどのように理解していますか」と聞き返す
面談の場で「私の仕事を、どのように理解していますか」と担当者に聞くと、担当者なりの解釈が返ってくるため、自分の認識とのずれが見えやすくなります。専門職ほどずれが生じやすいので、推薦を受ける前に確かめておくと安心です。
紹介された企業の情報が、求人票の内容を超えているか確かめる
企業を紹介されたときは、担当者の説明が求人票を読めばわかる情報なのか、求人票には書かれていない情報なのかに注目してください。なぜ人材が必要なのかという背景事情や採用に至るまでの経緯は、企業と直接やり取りしていないと、なかなか把握できません。担当者に採用の背景や経緯を聞いてみると、企業をどこまで理解しているかがわかります。
応募や内定承諾を急かす言動には注意する
転職エージェントを使うときは、片面型か両面型かのほかに、応募や内定承諾を急かす言動にも注意が必要です。担当者が決定数などの目標(KPI)に追われているケースは少なくなく、担当者の都合を優先した進め方や押しの強さは、転職活動の入り口である「応募」と、出口である「内定」のタイミングに表れやすくなります。
応募の段階で気をつけたいのは、「書類選考の通過率が低いので」「受けてみないとわからないので」と言われ、「まずは受けてみましょう」と応募を勧められるケースです。信頼できる担当者であれば、面談で業務範囲を確認したうえで、理由を添えて推薦先を提案してくれるはずです。応募を勧められたときは、推薦先を選んだ理由を聞いてみるとよいでしょう。
内定の段階で気をつけたいのは、何の前触れもなく、内定が出た当日に「今日中に回答してください」「明日までに回答してください」と短い期限を告げられるケースです。
内定の回答期限は交渉できる?
内定の回答期限は、明確な理由があれば交渉できることが多いです。とくに企業がぜひ採用したいと考えている人材であれば、相談に乗ってもらえるケースは少なくありません。専門職のピンポイント採用では、企業にとっても代わりの候補者がすぐに見つかるとは限らないためです。
ただし、交渉にはきちんとした理由が必要になります。
- NG:「まだ決めきれないので、期限を延ばしてください」
- OK:「〇〇に確認を取る必要があるのですが、確認の時間が〇日まで取れないため、〇日まで回答をお待ちいただけないでしょうか」
誰に確認する必要があり、いつまでに答えを出せるのかがはっきりしていれば、多くの場合は相談に応じてもらえます。企業をあまり長く待たせると入社後の印象によくない影響が出かねないため、候補者と相談のうえで期日を設けることもありますが、タイグロンパートナーズでは基本的に期限の交渉を行います。交渉力があるかどうかも、転職エージェントを見極めるポイントの一つです。
回答期限に追われないためには、内定が出る前に考えを整理しておくことが大切です。面談、応募、一次面接の前後といった節目ごとに打ち合わせを重ねておけば、どの条件なら入社するのかを自分自身が納得したうえで、最終面接の段階で「内定が出たら入社したい」と言える状態になります。考えの整理に時間を割いてくれる担当者かどうかも見ておきましょう。
まとめ
転職エージェントには、企業を訪問する担当者と、候補者と面談する担当者が分かれている片面型と、1人の担当者が企業と候補者の両方に会う両面型があります。自分の転職に合う仕組みを選ぶことが、エージェント選びで失敗しないためのポイントです。
- 若手のキャリアチェンジや汎用的な職種なら、選択肢の多い片面型も候補になる
- 専門職やシニア層、1人だけを採用するポジションなら両面型が向いている
- 担当者の仕組みは「紹介された企業に行ったことがありますか」「私の仕事を、どのように理解していますか」と聞くと見えてくる
- 応募や内定承諾を急かされたら理由を確認し、回答期限は明確な事情を添えて交渉する
転職のリスクをゼロにすることはできません。だからこそ、転職エージェントに登録する前に、担当者が両面型なのか片面型なのかを調べておくことをおすすめします。
タイグロンパートナーズでは、担当者が企業と候補者の両方に直接お会いする両面型で、ハイクラス・プロフェッショナル人材の転職をご支援しています。ほかの転職エージェントをご利用中の方や、情報収集の段階の方も、お気軽にご相談ください。
▼今回の元動画