コンサルティングファームの面接でよく聞かれる質問は、自己紹介、転職理由、志望動機、今後のキャリアプランなど、事業会社の面接と大きくは変わりません。
違いが出るのは、1つの回答に対する深掘りの回数と、評価の観点です。同じ質問でも、事業会社向けの答え方のままでは評価されにくいことがあります。
回答を作るうえで押さえておきたいポイントは、以下の通りです。
- ケース面接が出るのは一部で、多くは通常の面接
- 志望動機は「クライアントのため」を先に、「自分のため」を後に話す
- 転職理由・志望動機・キャリアプランに一貫性を持たせる
- 入社後にやりたいことは、今の経験から近い内容を選ぶ
- 面接準備には3〜10時間ほどをかける
今回、タイグロンパートナーズのコンサルタントである上田に話を聞きました。上田は、大手IT商社での人事、人材・組織コンサルを経て転職エージェントに転身し、現在は20代半ばから50代後半まで幅広い方の転職を支援しています。中でも力を入れているのが、未経験からのコンサル転職です。
この記事では、面接官として候補者を見てきた上田の経験をもとに、質問ごとの回答の作り方と、未経験者がつまずきやすいポイントを具体的にご紹介します。
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未経験コンサル転職の成否は能力の差ではなく
『準備』と『情報』の差にあります。
業界特有の選考基準を知らないまま
転職活動をしてもうまくいきません。
タイグロンパートナーズでは、専門コンサルタントが応募先選定から選考対策・年収交渉まで伴走します。
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コンサル面接の多くは通常の面接で、ケース面接が出るのは一部
コンサル転職の面接というと、ケース面接やフェルミ推定を思い浮かべる人が多いかもしれません。実際、タイグロンパートナーズに相談に来る方にも、ケース面接の対策に時間を割いている人は少なくありません。
しかし、ケース面接を実施するのは主に戦略系コンサルティングファームや一部の部門です。
上田の感覚では、9割ほどの面接でケース面接は出ません。さらにフェルミ推定は最近あまり出題されず、出るとしても「売上を2倍にするには」といったビジネスケースのほうが多い傾向にあります。
もちろん、応募するコンサルティングファームやポジションでケース面接が出るという情報があれば、別途ケース面接の対策をします。ただ、多くの人にとって優先すべきなのは通常の面接の準備です。
タイグロンパートナーズでは、応募先でケース面接が出ないと分かっている場合は、候補者の方にお伝えし、通常の面接対策に集中していただいています。
そして、「普通の面接」の対策こそ、多くの人が十分にできていない部分です。以下では、通常の面接で何が見られ、どう答えればよいのかを見ていきます。
事業会社の面接との違いは「深掘りの回数」と「評価の観点」
面接対策なら、総合型の転職エージェントで受けたものをそのまま使えばよいのでは、と考える人もいるでしょう。確かに面接で聞かれる質問の項目自体は、コンサル業界でも金融業界でもメーカーでも大きくは変わりません。ただし、コンサルの面接には事業会社と異なる点が2つあります。
1つの回答が5〜6回掘り下げられる
1つ目の違いは、1つの回答に対する掘り下げの深さです。事業会社の面接では、転職理由を答え、「なぜですか」と聞かれて答えたら、2回ほどのやり取りで次の質問に移ることが多いです。一方、コンサルの面接では、同じ回答に対して5回、6回と深掘りが続きます。
深掘りが何度も続くため、準備や慣れがないまま臨むと、途中で答えに詰まってしまいます。答えに詰まった時点で「思考力が弱い」と受け取られかねません。深掘りされることを前提に、1つの回答の裏側まで準備しておく必要があります。
見られるのは「クライアントにどのような価値を出せるか」
2つ目の違いは、評価の観点です。事業会社は自社の事業を行う立場なので、たとえばIT企業であれば、応募先の会社でどう貢献できるかが一般的に問われます。一方、コンサルはクライアントにサービスを提供する仕事のため、見られているのは、コンサルティングファームの先にいるクライアントにどのような価値を発揮できるのか、発揮するためにどのような能力が必要なのかを逆算して答えられているかどうかです。
評価の観点で見落とされやすいのが、コンサルティングファームに向けたアピールと、クライアントに向けた価値の違いです。「自分を採用すれば、〇〇の領域をカバーできます」という話は、まだコンサルティングファームの側に立った話にとどまります。コンサルの面接で求められるのは、自分の経験がクライアントにとってどう役に立つのかという、さらに一歩先の視点です。
実際にご支援している方の中でも、クライアントへの価値という観点を意識できている人は多くありません。前職の業界が違えば仕方のない部分もありますが、コンサルはクライアントファーストの考え方が強い業界だからこそ、クライアントへの価値を外すと「コンサルの仕事を理解していないのでは」と思われがちです。
よくある質問別の回答ポイントと、未経験者に多い失敗例
コンサル面接でほぼ必ず聞かれるのが、転職理由、志望動機、今後どのようなキャリアを描きたいか、という一連の質問です。面接の冒頭では、自己紹介を求められることも多いでしょう。以下、質問ごとに回答の作り方と、未経験者がつまずきやすい失敗例を紹介します。
どの質問にも共通する土台は、面接官に「一緒に働きたい」と思ってもらうことです。当たり前に聞こえますが、実際に意識して回答できている人は多くありません。
自己紹介:30秒ほどで要点だけを伝える
未経験者の失敗として多いのが、話が長いことです。自己紹介を求められて3分ほど話す人は珍しくなく、人によっては5分ほど話すこともあります。しかし上田は、面接官を務めていた当時、自己紹介が30秒を超えたあたりで「この人は厳しい」と感じていました。
理由は2つです。
- 長い自己紹介は、応募書類に書いてある内容の繰り返しになりやすい
- 3分前に話した内容は聞き手の記憶に残りにくい
本人は話すのが得意なつもりでも、面接官にとっては新しい情報が増えないまま時間だけが過ぎていきます。
- NG:学歴から現職まで、書類に書いてある経歴を時系列ですべて話し、3分を超える
- OK:今の仕事の要点を30秒ほどで伝え、詳しい経緯は面接官の質問を受けてから話す
話が長くなりやすい背景には、そもそも面接に慣れている人がほとんどいないという事情があります。初対面の相手と1時間、自分の考えについてフリーディスカッションをする機会は、普段の仕事ではまずありません。
中途採用の面接は新卒の頃と聞かれるポイントも違うため、準備なしで臨むと、思ってもいないことを話したり、整理できないまま話し始めたりしがちです。
転職理由・志望動機:「クライアントのため」を先に、「自分のため」を後に
転職理由や志望動機で多い失敗は、「自己成長したい」「スキルを身につけたい」と、自分に向いた理由から話し始めることです。自己成長やスキルの習得自体は悪い理由ではありませんが、ベクトルが外ではなく自分に向いているため、クライアントファーストの考え方が強いコンサルの面接では、最初の一言で印象が大きく下がることがあります。
おすすめは、話す順番を意識することです。1つ目に、クライアントのためにどうしたいのか。2つ目に、さらに自分のためにどうなりたいのか。クライアントのため、自分のためという順番で話せば、自己成長の話をしても問題ありません。ところが実際には、順番が逆になっていたり、2つ目の「自分のため」しか話さなかったりする人が多いのが実情です。
- NG:「コンサルティングファームで働き、自分のスキルを高めて成長したいと考えています」
- OK:「現職では顧客の課題解決に取り組んできましたが、今の立場では提供できる支援に限りがあります。コンサルタントとして、クライアントにより幅広いサービスを提供したいと考えています。加えて、多様な案件を通じて自分の専門性も高めていきたいです」
OK例のように、「クライアントのために〇〇したいが、今の環境では難しい。コンサルに行けば、クライアントに〇〇というサービスができる」という流れで話せると、コンサルの仕事を理解していることが伝わります。
キャリアプラン:転職理由・志望動機と矛盾させない
結論から話し、背景や理由を添えるという「1つの回答の中のロジカルさ」は、準備してうまくこなせている人が多くいます。しかしコンサルの面接では、回答単体ではなく、面接全体を通して話がつながっているかも見られます。
実際、コンサルティングファームの面接官から届くフィードバックでも、「回答が矛盾していた」「話に整合性がない」という指摘はよくあります。候補者の方には表現を和らげてお伝えしていますが、実際のフィードバックはかなり厳しい表現で届くこともあります。
たとえば、転職理由と志望動機では「クライアントのために」と話していたのに、今後のキャリアを聞かれた途端に「もっと自分に〇〇のスキルをつけたい」と、自分に向いた話になってしまうケースです。
すると面接官には「最初と今で言っていることが矛盾していないか」と映ります。矛盾をきっかけに、「積み上げで物事を考えていない」「ロジカルに考える力が弱いのでは」と見られてしまうことがあります。
回答の矛盾を防ぐには、転職理由・志望動機・キャリアプランを別々に準備するのではなく、1本の背骨が通った回答として組み立てることが大切です。転職理由で「クライアントのため」を軸にしたなら、キャリアプランも「どのようなクライアントに、どのような価値を出せるコンサルタントになりたいか」から話し、自分の成長は後に添えると、話が最後までつながります。
入社後にやりたいこと:今の経験から近い内容を選ぶ
「入社後に何をやりたいですか」という質問で多いのが、背伸びした内容を話してしまう失敗です。投資案件に携わりたい、全社戦略に関わりたい、新規事業を立ち上げたいなど、見栄えのよいテーマを挙げる人は少なくありません。やりたいこととして口にすること自体は問題ありませんが、大事なのは現在地からの距離感です。
今の経験から遠すぎる内容を話すと、面接官は「本当にできるのか」「どのように進めるのか」と掘り下げたくなります。経験したことのない仕事について深掘りされてもほとんど答えられず、結果として評価を落としてしまうケースが多いです。背伸びした内容を話しても、プラスの評価にはつながりにくいのです。
- NG:営業企画の経験をもとに、「入社したらすぐに事業投資や新規事業の立ち上げに携わりたい」と話す
- OK:「担当してきた業界のお客様の営業改革で貢献できると考えています。まずは地道な仕事からでも経験を積みたいです」と、今の経験の延長線上で話す
今の経験の延長線上にある内容であれば、話した仕事自体の経験がなくても大きな問題にはなりません。また、5年後など中長期の目標として少し先の話をするのは構いません。避けたいのは、今の経験から遠い内容を「入社してすぐにやりたい」と話すことです。
経験のエピソード:うまくいった部分を切り取って話す
具体的なエピソードを話す場面では、1から10まですべてを正直に話してしまう失敗が多くあります。仕事にはうまくいったこともあれば、うまくいかなかったこともあるはずです。まじめな人ほど、成功も失敗も順番に話してしまいます。
しかし、面接の場でネガティブな話をしても、評価につながることはほとんどありません。面接官も細かな経緯の説明までは求めていないことが多く、初対面の相手と1時間という限られた時間では、すべてを伝えきるのはそもそも難しいものです。
- NG:取り組みの経緯を、うまくいかなかった部分も含めて最初から最後まですべて話す
- OK:1から10のうち、特に伝えたい成果や工夫に重点を置いて話す
事実を変えるのではなく、重点を置いて伝える部分を絞るということです。要点が明確になれば、面接官にも伝わりやすくなります。仕事でも、1から10まですべてを同じ熱量でこなすのではなく、重要度の高いところを中心に進めるはずです。面接での話し方も、重要度を見極める訓練の一つと考えるとよいでしょう。
面接準備にかける時間の目安は3〜10時間
絶対に落ちない面接対策はありません。とはいえ、上田は、通過の確率を上げたいなら受験勉強のようにしっかり準備するしかないと考えています。
30分では足りず、7〜8時間かかる人も珍しくない
タイグロンパートナーズの面接対策が30分程度で済むことはほとんどありません。少ない人でも3時間から5時間、多い人では10時間ほどを準備にかけます。フィードバックを重ね、回答を自然に話せるレベルまで仕上げていくと、7〜8時間かかる人も珍しくありません。十分な時間をかけないと、面接官に納得してもらえる準備はなかなかできません。
面接に落ちてしまう人の多くは、準備が不十分です。裏を返せば、過去に面接で落ち続けてきた人でも、準備次第で通過できる可能性があるということです。即興で考えて答える力も大切ですが、準備をしておけば面接そのものが楽になります。
準備の進め方:質問ごとに回答例を作り、指摘を受けて磨く
実際の面接対策では、よく出る質問と回答例、評価されるポイントをまとめた独自の資料をもとに、候補者自身に回答を作ってもらいます。資料には、過去に支援した方の回答例も数多く盛り込まれています。
さらに、3時間、5時間と時間をかけて回答を一緒に作り込みます。上田自身が面接官を務めた経験から、「〇〇より△△という表現のほうがよい」「〇〇とはどういう意味ですか」と指摘や質問を入れながら、模範となる回答を固めていく流れです。事前に作り込んでおけば、本番でも大きくずれることは少なくなります。
また、アピールすべきポイントは年齢によっても変わります。30代と40代でも強調すべき点が違うため、一人ひとりの年齢や経験に合わせて回答の方向性を調整しています。
準備の方向を変えて、結果が変わった例
準備で結果が変わった例として、実際にご支援したある方のケースがあります。支援を受ける1年ほど前、自力で20社ほどに応募したものの、書類選考を通過したのは2社だけで、通過した2社も一次面接で不合格になっていました。
上田が確認したところ、これまでの準備は正しい方向を向いておらず、書類でアピールするポイントもずれていました。そこからタイグロンパートナーズの支援のもとで再挑戦すると、書類の通過数が大きく増えました。さらに7〜8時間をかけて面接対策を行った結果、以降の面接は次々と通過するようになり、最終的には複数社からオファーを得たのです。1年の間に積んだ経験やご本人の頑張りがあったことは前提ですが、結果を分けたのは準備でした。
まとめ
コンサル面接で聞かれる質問そのものは、事業会社の面接と大きく変わりません。違うのは、5〜6回続く深掘りと、「クライアントにどのような価値を出せるか」という評価の観点です。質問ごとの回答のポイントは、次の通りです。
- 自己紹介は30秒ほどで要点だけを伝える
- 転職理由・志望動機は「クライアントのため」を先に話す
- キャリアプランは転職理由・志望動機と矛盾させない
- 入社後にやりたいことは、今の経験から近い内容を選ぶ
- エピソードはうまくいった部分を切り取って話す
どれも、事前の準備で大きく改善できるポイントです。面接官に「一緒に働きたい」と思ってもらえる回答を、時間をかけて組み立てていきましょう。
タイグロンパートナーズでは、未経験からのコンサル転職についても、一人ひとりの年齢や経験に合わせて面接対策を行っています。面接に不安を感じている段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。